公務員連絡会地公部会は1月14日、特別交付税減額措置など地方公務員給与に関わって、総務省小川政務官への申入れを実施した。
地公部会から、岡本企画調整代表(自治労書記長)、藤川事務局長らが参加した。
冒頭、岡本企画調整委員代表が申入書(別紙)を手交し、以下の2点について申し入れた。
1.地方公務員給与に係る自治体への国の助言については、抑制的であるべきという趣旨の国会答弁を踏まえ、当該の通知等のあり方を見直すこと。
2.地域手当、寒冷地手当などに係る特別交付税の減額措置を行わないこと。特に、地域の実情を踏まえ、国・各人事委員会で勧告した年間調整措置と異なる対応を行った自治体、及び自宅にかかる住居手当を継続する自治体に対して、特別交付税の減額措置を行わないこと。
これに対し、小川政務官は以下のとおり回答した。
1の地方公務員給与にかかる国の助言については、昨年の給与法改正にかかる国会審議で原口総務大臣は、国の考えの一方的な押し付けにならないよう、通知のあり方を含めて見直す趣旨の答弁をしている。これを受け、その後の通知はその趣旨を考慮し、自治体にお伝えしていることころ。今後も誤解がないよう、スタイルも含めて対応したい。一方、地方交付税総額は、現場の皆さんの努力もあり1兆円増額できたが、全国どの地域でも一定の水準とする立場から、総務省として助言、情報提供を行う必要があると考えている。地域主権の政策理念とバランスをとりながら対応をはかっていく。
2の特別交付税の扱いについては、皆さんの申入れの趣旨は十分理解した。そのうえで、従来からの地域手当、寒冷地手当などにかかる算定についてはこれまでの積み重ねや経過もあり、毎年の特別な財政需要を踏まえ優先的に配分を行うものである特別交付税の趣旨から、合理性を踏まえた対応について、ご理解をいただきたい。
なお、昨年の勧告を受けての自宅にかかる住居手当の扱いについては、国家公務員、地方公務員の住宅環境は異なるものと考えており、また、手当の性質を考えれば、一律の基準を直ちに反映できるとは考えていない。
これを受け、公務員連絡会側は、以下のとおりさらに質した。
@ 国、都道府県、市町村の関係は対等・平等といいながら、まだ上下という意識がより強く、国の助言が自治体側にとって大きな圧力となる。自治体の意識改革も必要だが、政権の政策の柱である地域主権のメッセージをより強く発信していただきたい。
A 「わたり」調査について、原口総務大臣から再調査の指示が出されたが、国が自治体の運用について調査するのは、地域主権の理念に反するのではないか。国とのラスパイレス比較で一定水準の範囲で地方公務員の給与は抑制され、その中で対応を図っているのが現状であり、そのうえに「わたり」として調査されるのは納得がいかない。
これに対し小川政務官は、「皆さんの指摘について十分受け止めたい。しかし、総務省としても、地方財源の拡充を重視するなかで、一方で自治体の行政運営のあり方について説明責任を果たす必要があると考えている。先ほども述べたとおり、地域主権の理念とのバランスをはかりつつ、対応をはかりたい。「わたり調査」については、総務省側の問いかけが不十分であったため再調査という話になったが、総務省としても実態の把握が必要と考えている。今後とも、皆さんと十分に意見交換をさせていただきたい」と回答した。
最後に、公務員連絡会側は「特別交付税の減額算定は、自治体にとって実質的な強制である。本日の申入れの趣旨についてご理解をいただきたい」とし、申入れを終えた。
(別紙)
2010年1月14日
総務大臣
原 口 一 博 様
公務員連絡会地方公務員部会
議 長 佐 藤 幸 雄
特別交付税減額措置など地方公務員給与に関わる申入れ
貴職におかれましては、地域主権の実現、地方財政の充実に向け並々ならぬ努力を重ねておられることに心から敬意を表します。また、公共サービス基本法の理念に則り、公務に働く労働者の権利、労働条件・環境の整備について深く理解されていることに、私どもは大変心強く思っております。
旧政権は、地方自治体に対して、給与をはじめとした労働条件は国と同様の取扱いをすべきとして、強く指導してきました。このことは、労使間の交渉・協議にもとづくそれぞれの自治体の自主的な決定を阻害するものです。
旧政権のもとで定められた総務省令では、地域手当、寒冷地手当などの支給水準が国の基準を超えている自治体に対して、特別交付税を減額することとされています。これらの措置は、第三者機関としてある人事委員会の勧告制度、労使間の交渉、勤務条件条例主義などの給与決定の原則を否定することになりかねません。
つきましては、特別交付税減額措置などに関わる下記の事項について要請します。
記
1.地方公務員給与に係る自治体への国の助言については、抑制的であるべきという趣旨の国会答弁を踏まえ、当該の通知等のあり方を見直すこと。
2.地域手当、寒冷地手当などに係る特別交付税の減額措置を行わないこと。特に、地域の実情を踏まえ、国・各人事委員会で勧告した年間調整措置と異なる対応を行った自治体、及び自宅に係る住居手当を継続する自治体に対して、特別交付税の減額措置を行わないこと。
以上