公務員連絡会は、4日、全国から800名の組合員が結集し、第3次中央行動として、社会文化会館で中央集会を開くとともに、給与局長との2度目の交渉を行った。
この行動は、27日に実施した2010人勧期第2次中央行動の際の交渉で給与局長から明確な回答が示されなかったことから実施したもの。本日の交渉で局長は@勧告日は来週前半A月例給については、昨年より若干少ない程度のマイナスB行(一)6級相当級以上の50歳台後半層の給与を引下げC30歳台以下を除いて俸給表を引下げD一時金は4か月を下回ることが確実、などの回答を示した。このため、公務員連絡会は「50歳台後半層の給与引下げについて、範囲が縮小されたとはいえ、多くの組合員が対象となっているし、措置そのものについても納得できないことに変わりない。総裁回答に向けて再考を求める」として最後の努力を求めた。
公務員連絡会は、6日に委員長クラス交渉委員による人事院総裁との交渉を行い、最終的に勧告内容を確定することとしている。
午後1時30分から社会文化会館で開かれた公務員連絡会の中央集会は、新垣副議長(税関労組委員長)を議長に選出して始められ、冒頭挨拶に立った棚村議長は、「50歳台後半層の給与引下げについては本日段階においても決着していない。本日の書記長クラス交渉は最後の実務的な交渉であり、いよいよ決着の時期を迎えた。意味のある人勧がなされるよう、本日の行動を全力で取り組もう」と、要求を実現するため全力で闘い抜くことを訴えた。
続いて吉澤事務局長は、臨時国会での議論を含め、人勧期最終盤の厳しい情勢を報告し、正念場の闘いへの最後までの結集を強く訴えた。
構成組織決意表明には、国交職組・木付書記長、日高教・麦倉栃木高教組書記次長が登壇し、たたかう決意をそれぞれ力強く表明した。
集会を終えた参加者は、人事院前に移動し、交渉支援行動に取り組み、「月例給の水準を維持しろ」「一時金の支給月数を確保しろ」「50歳台後半層の給与引下げを撤回しろ」などと力強くシュプレヒコールを繰り返した。交渉終了後、書記長クラス交渉の報告を受け、この日の行動を締めくくった。
人事院給与局長との交渉経過は次の通り。
<人事院給与局長交渉の経過>
人事院尾西給与局長との交渉は、午後2時30分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
冒頭、公務員連絡会吉澤事務局長が今日時点での局長の回答を求めたのに対し、尾西局長は、以下の通り回答した。
1.勧告日について
「来週の前半」で、調整中である。
具体的な日程は、総裁会見の際にお伝えする。
2.官民較差について
月例給については、昨年より若干少ない程度のマイナスとなる見込みである。
3.50歳台後半層の給与抑制及び俸給表の改定について
@ 官民較差是正の方法としては、これまで「50歳台後半層の公務員の給与水準は民間を大きく上回っていることから、本年、マイナス較差が出た場合は是正に着手し、当該年度に56歳以上となる職員の給与に一定率を乗じて引き下げる措置をしたい」と皆さんに提案し、議論してきたところである。
これまでの議論を踏まえ、今回の措置は、俸給月額の支給に当たって俸給月額に一定率を乗じて得た額を減ずる措置とし、また、この減額措置の対象者を絞ることとしたい。
併せて、残ったマイナス較差分は、俸給表の引下げによって解消することとしたい。
A 具体的には、当該年度に56歳以上となる職員の俸給月額及び俸給の特別調整額の支給に当たって、それぞれの額に一定率(2%未満を考えている。)を乗じて得た額を減ずる措置とする。経過措置額についても同様とする。
また、地域手当、広域異動手当等についても、俸給月額の減額措置を踏まえ、同様な取扱いをすることとする。
この措置の対象者は、当該年度に56歳以上となる職員のうち、行政職(一)6級以上に相当する職員としたい。したがって、行(一)6級以上に担当する級のない行(二)、海事(二)及び教育(二)は、この措置の対象とならないことになる。
B 残りのマイナス較差については、俸給表の引下げ改定で用いることとしたい。引下げの対象として、民間の給与水準を下回っている30歳台までは除外することを念頭に置いた改定を行いたい。
また、医(一)については、俸給表の引下げ改定及び50歳台後半層に係る措置は行わない。
改定の配分については、職員団体のご意見も踏まえながら最終的に決めたいと考えている。
C 民間企業における定年前給与減額措置の状況については、概ね次のとおりである。
1,000人以上の企業をみると、一定年齢で減額措置があるのは、管理職(課長以上)で約4割、非管理職で約3割となっている。
また、減額措置があるとする企業についてみると、減額時に役職・資格が同じとする企業は、管理職で5割弱、非管理職では6割強となっている。
D 50歳台の給与については、本年の措置を講じたとしてとしても民間を大幅に上回っており、今後、定年延長に伴う給与制度の見直しを行うことも念頭に置きつつ、50歳台後半層を中心とする50歳台の給与の在り方について引き続き皆さんと協議していきたい。
4.特別給について
特別給については、現在、集計の最終段階であり確定はしていないが、各種調査結果をみると、昨年冬のボーナスが大きなマイナスであり、本年夏のボーナスは一部でわずかながら改善も見られるものの、1年間の合計では大きなマイナスになっている。
したがって、年間の支給月数で、4か月を下回ることは確実な情勢である。
引き下げるに際しての「期末・勤勉手当の割り振り」については、民間ボーナスにおける配分の状況、また、今回の引下げ月数を勘案して、期末・勤勉手当に振り分けたいと考えている。
5.制度改正原資について
給与構造改革は、経過措置を設けて俸給引下げを段階的に行うとともに、制度改革に必要な原資を職員の昇給抑制により確保してきたところである。
来年4月までの経過措置解消により生じる制度改正原資については、当該原資の大きさに応じて、本年1月に昇給抑制された者のうちの若手・中堅層(40歳あたりまで)の給与を、来年4月1日に1号俸上位に調整することとしたい。
回答に対し公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質し、要求実現を迫った。
(1) 昨年は民間の賃上げ動向も厳しく、官民較差がマイナスとなることについて受け止めざるを得ない面があったが、今年は民間賃金水準が維持されている。どうしてマイナス較差となるのか、組合員が納得できるよう説明していただきたい。
(2) 一時金については、半年遅れで、しかも同種同格比較を行っていないという、制度上の問題があり、改善すべきだ。組合員の生活を防衛するというわれわれの要求に沿って総裁から改めて回答していただきたい。また、その期末・勤勉手当への割り振りについては交渉させてもらいたい。
(3) 45時間から60時間までの民間の超過勤務の割増率の調査結果と対応を示していただきたい。
(4) 制度改正原資の取扱いについては、較差の状況を見ながら対応することにしてきた諸手当の課題が残っており、それを含めて十分に交渉・協議をさせてもらいたい。
(5) 専門スタッフ職について検討していることが一部で報道されているが、人事院として検討しているのか。われわれも問題意識と要求を持っているので、一方的にやるのではなく議論させていただきたい。
(6) 50歳台後半層の給与引下げについては、当初提案から見れば範囲が圧縮されたが、多くの組合員が含まれているし、職務給、成績主義に反するという根本的問題は解決されていない。
これに対し尾西局長は、次の通り答えた。
(1) 今年は民間賃金水準は維持されたが、公務の方で平均年齢が上がった結果、平均給与も上がり、マイナス較差となったものである。適切な官民比較の結果である。
(2) 一時金については、同種同格比較に必要なデータを把握することが困難であり、いまの比較方法が適当と考えている。期末・勤勉手当の割り振りについては、皆さんの意見を伺う。
(3) 45時間〜60時間の民間の超勤割増し率が30%以上となっているところはまだ少なく、今年は見送ることとし、今後、その動向を把握しながら、対応することとしたい。
(4) 制度改正原資など配分については、皆さんと議論する。
(5) 専門スタッフ職の4級について、退職管理基本方針で政府から要請されていることから検討してきたが、その専門性、仕事の内容のイメージが先であり、政府から示してもらった上でさらに検討し、それが整えば勧告することも視野に入れている。皆さんとは、定年延長の課題も含めて議論して参りたい。
(6) 50歳台後半の給与引下げについては、民間でやっているからということではなく、官民格差が大きいところを是正するためにどのような措置が適当かという観点で行うことにしたものである。
以上の通り、50歳台後半の給与引下げを巡っては、本日の交渉でも議論は平行線をたどり、その他の課題について数字を含めた具体的な勧告内容も示されなかった。
このため、最後に吉澤事務局長が「2年連続で月例給マイナス、一時金が大幅引下げとなることについては、民間実勢を反映したものとはいえ、生活防衛の観点から極めて不満だ。少しでも下げ幅を圧縮するよう勧告日のギリギリの段階まで努力してもらいたい。また、50歳台後半層の給与引下げについて、本日も議論が平行線となったのは極めて残念だ。範囲が縮小されたとはいえ、多くの組合員が対象となっているし、措置そのものについても納得できないことに変わりない。総裁回答に向けて再考を求める。総裁交渉では、本日数字が示されなかった勧告内容を含めて回答していただきたい」として最後の努力を求め、本日の交渉を締めくくった。
以上