2010年度公務労協情報 9 2009年12月18日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

総務省、人事院から基本要求に対する回答引き出す−12/18

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、18日、総務省人事・恩給局次長及び人事院職員団体審議官との交渉を実施し、11月17日に提出した2010年度の基本要求に対する回答を引き出した。回答はいずれも具体性がなく不満な内容に止まったが、公務員連絡会は、秋季闘争で解決がつかなかった課題については、春季生活闘争に引き継いでいくこととし、基本要求に関わる交渉・協議に区切りを付けることとした。

<総務省人事・恩給局次長との交渉経過>
 総務省人事・恩給局笹島次長との交渉は、18日11時から総務省内で行われ、公務員連絡会側が11月17日の申入れに対する回答を求めたのに対し、笹島次長は「現時点において可能な範囲で回答させていただく」として次の通り答えた。

一、公務員の総人件費と給与等
(1) 配置転換等の取組みに関しては、内閣官房とも累次意見交換をされていると承知している。職員の配置転換も最終年度を迎えるが、個々の職員の新たな職場への定着化に向けて、引き続き、必要な対応が図られるよう努力してまいりたい。 なお、独立行政法人や国の出先機関の見直しについては、現時点でその詳細が必ずしも明らかではないが、その動向について今後も注視してまいりたい。
(2) 給与改定については、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、官民の給与実態の客観的調査に基づいて行われる人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢を今後も維持していく。
 2010年度の給与改定に当たっても、国家公務員の労働基本権がなお制約されている現状においては、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って、適正な給与水準を確保してまいりたい。
二、労働時間、休暇及び休業
(1) 近年、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組みを官民が一体となって効果的に展開することが求められており、国家公務員の勤務時間についても、仕事と生活の調和という観点からその在り方について考えることが重要であると認識している。大臣も強い関心を持っており、その意向も踏まえながら対応してまいりたい。
(2) 勤務時間制度・育児休業制度等については民間企業の状況を踏まえた人事院の意見の申出に応じ改正を行ってきたところであり、先の臨時国会においても法改正がなされたところである。
 なお、今般の法改正にあたり、超勤縮減のための具体的な取組みとして、人事評価の活用による部下の超過勤務の管理のためのマニュアル改正や、業務見直し等の対策についての各府省への通知、超勤代休時間制度の十分な周知を行うこととしている。
 また、国家公務員の労働時間の短縮については、「国家公務員の労働時間短縮対策について」(平成4年人事管理運営協議会決定)等に基づき、超過勤務の縮減や年次休暇の計画的使用の促進を中心に進めているところであり、各府省において、労働時間短縮対策に基づいた様々な取組みが的確に行われるよう徹底してまいりたい。
 今般の育児休業法の改正は、人事院からの意見の申出にかんがみ、平成21年6月の民間部門における「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の改正と同様の措置を講じるものであり、改正(平成22年6月30日予定)と同日の施行を予定している。
 なお、新たに導入される両立支援策のうち人事院規則の改正を伴うものについては、人事院において適切に対応されるものと認識している。
三、福利厚生施策等
(1) 国家公務員の福利厚生計画については、社会経済情勢の変化や職員のニーズに対応するとともに、国民の理解を得るべく効率的かつ効果的に推進していくことが重要と認識している。
(2) 今後の福利厚生の在り方に関し、研究会を開催して幅広い視点から議論いただいているところであり、年度内には報告がまとまる予定である。
 報告の扱いについては、次期の国家公務員福利厚生基本計画の改定に反映させるとともに、例えば、メンタルヘルスの問題など、個別の課題への対応の検討にもつなげていくことを想定している。
 議論の状況、報告の方向性等については、必要に応じ、適宜説明していきたいし、提言があれば伺いたい。
(3) 職員厚生経費の統一単価要求については、中身としては21年度要求と同様であり、個別項目の単価が変わる分、増額要求となっている。
 また、一定時間以上勤務する非常勤職員も一般健康診断の要求額に含めるよう、各省には伝えている。
四、新たな高齢雇用施策
(1) 昨年6月に成立した国家公務員制度改革基本法においては、雇用と年金の接続の重要性に留意して、再任用制度の活用の拡大を図るための措置や定年の段階的引上げの検討を行うこととされている。
 民主党政策集においては、「定年を段階的に65歳まで延長することによって、年金受給年齢まで働ける環境を整える。」とされている。
 また、本年8月の人事院勧告時に行われた「報告」においては、人事院の研究会の最終報告も踏まえ、定年年齢を段階的に65歳まで延長することが適当との基本的な考え方を表明したものと承知している。
(2) 今後、特に、定年延長等の検討に当たっては、総人件費の抑制、定員管理への影響、新規採用への影響、組織活力の維持等の課題への対応が必要であり、これらの課題も含め、国家公務員制度改革推進本部が基本法に基づき総合的に検討しているところである。
 関係機関と連携をしながら、政府全体として取り組んでまいりたい。
五、非常勤職員制度等の改善
(1) 非常勤職員の実態調査については、現在、その調査結果につき、数値の精査を行っているところである。調査結果については、取りまとまり次第、お示しさせていただきたい。
(2) 非常勤職員の処遇については、昨年8月に人事院から出された給与に関する指針を踏まえて、非常勤職員の俸給月額の決定、通勤手当の支給、長期勤務者への期末手当の支給等について、改善の取組みを推進していくことが必要と考える。
(3) さらに、日々雇用の非常勤職員の任用・勤務形態をめぐる問題については、本年の人事院の報告の中で、「引き続き政府の関係部局と連携して本年度内を目途に結論を得るべく検討を進める」こととされているところであり、非常勤職員の実態調査の結果も踏まえつつ、人事院などの関係機関と連携して鋭意検討を進めてまいりたい。
八、新たな人事評価制度
 制度が円滑に運用されるよう、制度の周知徹底はもとより、本年夏には評価者の評価能力を高めるための評価者講座を開催してきたところであり、今後とも引き続き行うこととしている。
 本制度については、引き続き、職員団体とも十分意見交換し、円滑に運用していきたいと考えているのでよろしくお願いしたい。

 これに対して、公務員連絡会側からは、次の通り質した。
(1) 府省間配置転換については、雇用調整本部を中心として、メンタルヘルスも含めて個々人のフォローアップをしっかり行っていただきたい。
 仕分けや地域主権推進の結果として、新たに人の流動化が課題になってくると思われるので、いまの配転をしっかり行うことが重要だ。
(2) 独法、国の出先機関の見直しに係わる雇用問題については、中央人事行政機関、使用者の立場で責任を持って必要な対応を行っていただきたい。
(3) この間、給与が下がり続けており、組合員は生活の苦しさを訴えている。来年も状況が良くなるとは思えないが、生活水準の維持に向けて努力してもらいたい。また、民間準拠であるとしても、給与が上がらない場合には労働時間や福利厚生の面で改善する取組みをしていただきたい。
(4) 超過勤務の縮減は、20年、30年にわたって進めてきたが一向に減らない。労使が向き合って、真剣に話し合わなければならない。人事評価のマニュアルを少し改正しただけで成果が上がるとも思われないので、しっかり取り組んでほしい。
(5) 福利厚生については、重要な勤務条件であるという位置づけをはっきりさせてほしい。例えば宿舎が仕分けで削減対象とされたり、本年度からレクリエーション費が削られているが、その整備と復活に努力していただきたい。
 福利厚生施策については、公務員連絡会としても積極的な提案をさせていただきたいので、われわれと十分交渉・協議させていただきたい。
 特にメンタルヘルスの問題は重要であり、府省別の自殺者数などを把握し、対策を講じるべきである。メンタルヘルスを理由として休職する職員について「本人が弱いからではないか」と決めつけているという話も伝わっている。しっかり啓発に取り組むべきだ。
(6) 高齢雇用施策は、人事院が来年意見の申出を行うので、政府としてしっかり受け止めて積極的な対応をしてほしい。前政権の「公務員制度改革の工程表」にこだわらず、政権交代を踏まえて、段階的定年延長の施策を確立すべきだ。
(7) 非常勤職員の実態調査結果の報告はいつになるのか。われわれも重大な関心を持って取組みを進めてきたが、年度内結論に向けてもう時間がない。できるだけ早く考え方を示してもらって、議論させてほしい。公務員連絡会としては、任期を1年以内とし、再任ありの仕組みにしていただきたい。国会でも議論になると思うのでスピード感を持って取り組んでもらいたい。

 これに対して、笹島次長らから次の回答があった。
(1) 雇用調整については、内定はしているが、来年4月に人が動き仕事を始めるので、その人がしっかり働けるよう手当てすることが重要と認識している。今行っている配転は上手くいっている事例と理解しており、われわれも人材の再配置は重要と認識している。
(2) 給与以外にも勤務時間、福利厚生は人事管理の重要なツールなので、公務員に成果を出してもらうためにはどうしたらいいのか検討してまいりたい。
(3) 独立行政法人、国の出先機関については、今の段階ではなんとも申し上げられない。
(4) 福利厚生はかなり幅が広い概念だが、職員がきちんと働ける環境として重要であり、意見交換の場を設けたい。
 宿舎については財務省も単なる国有財産管理ではないことを認識しており、総務省としても適切に対処してまいりたい。
 メンタルヘルスについては、人事管理上も能率上も重要な影響があることから、研究会でもデータに基づいて分析し、検討している。メンタルヘルスは一定の割合で起こるので、初動の対応、ケアなどについてしっかりマネジメントしなければならず、啓発もして行かなければならないとの問題意識を持っている。
(5) 定年延長については法律上3年以内に結論を出すこととされ、年金の支給開始年齢の引上げが行われることに変わりはないことから、デッドラインに合わせ、何らかの措置は必要であり、国家公務員制度改革推進本部で検討していくことになっているが作業は進んでいないようだ。総務省としては、政策の優先順位を含めて、検討に協力していきたい。
(6) 非常勤職員の調査結果については、どういった対応をするのかを含めて、年明けにお示しできるよう対応したい。
 任用・雇用のあり方については、いま人事院と議論しているが、年度内に結論を得られたとしても、すぐ4月から実施できるものではないと思っている。来年度予算については、現行制度の下で要求しており、予算とセットでの運用は先になってくる。

 最後に、岩岬副事務局長が「来年度の賃金・労働条件改善の展望を求めたが、本日の回答の中身は抽象的であり具体性がなく不満である。これから予算案決定を通じて方向性も出てくるので、来年2月には改めて春季要求書を提出する。新政権になってこう変わったという回答が示されることを強く期待している。人事行政の改善に向けて引き続きの努力を強く求めておく」として、基本要求をめぐる交渉には一区切りをつけ、明確とならなかった課題については、引き続き2010春季生活闘争段階で交渉・協議するとの見解を述べ、この日の交渉を終えた。

<人事院職員団体審議官交渉の経過>
 人事院根本職員団体審議官との交渉は、18日13時30分から行われた。
 冒頭公務員連絡会側が、11月17日の申入れに対する回答を求めたのに対し、審議官は「今後、引き続き検討すべき事項が多いが、主な要求事項について、現時点における検討状況など申し上げる」として次の通り人事院の現段階の見解を示した。

一、給与に関する事項
1.給与水準等について
(1) 公務員給与の改定については、今後とも、情勢適応の原則に基づき、民間準拠により適正な給与水準を確保するという基本姿勢は変わらない。
(2) 民間賃金の状況については、今年の冬のボーナスについて、公表されている資料によると、対前年比で1割以上のマイナスとなっており、また、連合が2010年春闘において統一的なベアの要求を見送ることを決定したとの報道がなされるなど、依然として極めて厳しい状況であることが伺える。今後とも、こうした公務員給与を取り巻く諸状況を注視していきたい。
(3) また、給与構造改革期間終了後の取組みとして、本年勧告時の報告において、様々な課題について検討していく旨を述べたところであるが、これらについては、皆さんのご意見を伺いながら進めていく。
2.高齢期雇用問題について
 高齢期の雇用問題については、本年の勧告時の報告において、現在60歳と定められている定年年齢を平成25年度から段階的に65歳までに延長することが適当である旨言及しているが、定年延長に伴う給与制度の見直しに当たっては、総給与費の増大を抑制する必要性等を踏まえつつ、民間の雇用及び給与の状況等を参考にして60歳台前半の給与水準及び給与体系を設計する必要がある。また、60歳前、特に50歳台の給与カーブや昇給制度のあり方について検討していくことが必要と考えている。
 いずれにせよ、これらの検討に際しては、公務員連絡会等の関係者と意見交換をしながら進めていきたい。
3.諸手当の見直し・検討について
 住居手当及び単身赴任手当の見直しについては、今後、民間の状況、較差の大きさや配分の優先順位等を踏まえ、総合的に検討していく。
 なお、特地勤務手当の見直しについては、皆さんからの意見・要望等を踏まえ、新たな官署指定基準を定めることとし、先般、その内容をお示ししたところである。
二、労働時間、休暇等に関する事項
(1) 平成20年度の平均在庁時間は、本府省の各局一課、各月の第一週の在庁状況をサンプル的に調査・把握したところ、週当たり13時間程度となっている。
 超勤時間の縮減については、まずは各府省において不必要な在庁時間を削減するとともに、超過勤務を命ずる業務についても、業務量を減らす取組み、厳正な勤務時間管理や現場における業務効率の向上の取組みを行う必要があると思っている。
 現在、政府全体として各府省における在庁時間削減目標やそのための具体的な取組み事項を設定し取組みを進めているところであり、本院としても、超勤縮減に向けて本年2月「超過勤務の縮減に関する指針」の改定を行い、新たに他律的業務に係る上限の目安を1年につき720時間と設定したところである。
 超過勤務等の縮減は重要であり、人事院としても引き続き取り組んでまいりたい。
(2) 超過勤務手当の支給割合の割増については、今後、民間において、どの程度の企業がどの程度の割増賃金を支給していくのか注視する必要があり、その状況を来年4月以降調査することとしたい。
(3) また、職員の休暇、休業等についても適宜見直しを行ってきたところであり、本年は育児休業法の改正等を行ったところである。本年の勧告時の報告で述べた病気休暇制度や運用のあり方等の検討に当たっても皆さんのお話を伺いながら検討を進めてまいりたい。
三、新たな人事評価制度の実施・活用に関する事項
 本年4月に導入された新たな人事評価制度が、各府省において公正・適正に実施されるよう、評価能力向上研修の実施などを通じて支援し、また、その評価結果の活用が適切に行われるよう各府省に指導を行ってきている。今後、各府省における人事評価の実施状況、評価結果の活用状況等を把握した上で、皆さんや各府省のご意見を伺いつつ、人事行政の公正の確保、職員の利益の保護を図る観点から、人事院としての役割を果たしていきたいと考えている。
四、新たな高齢期雇用施策の検討に関する事項
 新たな高齢期雇用については、先程述べたように定年年齢を平成25年度から段階的に延長することが適当であると考えており、そのため、人事院として、平成22年中を目途に具体的な立法措置のための意見の申出を行うことができるよう検討を進めている。
 今後、定年延長を実現するための具体的な施策内容について、皆さんはじめ関係者の意見を伺いながら検討を進め、内容を詰めていきたい。
五、福利厚生施策に関する事項
 人事院としては、福利厚生施策も公務員制度の重要な事項と認識し、メンタルヘルス対策(心の健康づくり)などについても充実に努めて来たところであり、今後とも、充実に努めていきたいと考えている。
六、非常勤職員制度の改善に関する事項
(1) 非常勤職員の給与については、その職務内容、勤務形態・時間など多種多様であり、人事院規則で統一的に定めることは困難であるが、先般発出した指針に沿った給与の適正な支給が図られるよう、今後とも、取り組んでいきたい。
(2) また、日々雇用の非常勤職員の任用・勤務形態の見直しについては、日々雇い入れるのではなく、業務の必要性に応じた適切な任期を設定することや再任のルールを設けることなどについて、現在、政府の関係部局と連携を図りつつ、本年度内を目途に結論を得るべく検討を行っているところである。

 これらの回答に対し、公務員連絡会側は次の通り人事院の考えを質した。
(1) 給与構造改革終了後の取組みについては、本年勧告時の報告に書かれているように、ブロック毎の官民較差を慎重に検証するとのスタンスに変わりはないことを確認しておきたい。
(2) 今の回答では言及されなかったが、企業規模についての見解を示してもらいたい。
(3) 定年延長について、来年、人事院が意見の申出を行うとすれば、われわれと議論する時間が多くあるわけではないので、早く考え方を示してもらいたい。節々に交渉することは当然であるが、別途協議の場を設けて議論させていただきたい。特に給与については、納得できるまで十分議論させていただきたい。
 50歳代の給与カーブのあり方について問題意識が示されたが、われわれとしては定年延長に関わる給与の問題として、60歳以降はある程度下がることはやむを得ないとしても、50歳代が大きく下がったり給与カーブが大きく変わることには疑問である。50歳代の給与カーブは、90年代に行ってきた配分の見直し、すなわち中堅層までを引上げ、高齢層を抑制する観点で検討すべきである。そうでないと総人件費抑制のための高齢層引下げと受け止めざるを得ない。
(4) 民間企業の超過勤務の割増率については、来年の民調で調査することを確認したい。また合わせて、民間企業の超勤代替休の実施状況も調べてほしい。
(5) 非常勤職員の任用・雇用のあり方をどうするかの結論を得るのは年度内とされ、あまり時間がないので、早く考え方を提示し、十分な議論をさせていただいた上で成案を得ることとしてほしい。公務員連絡会としては、任期を1年以内とし、再任ありの仕組みとし、4月から実施することを要求しているので、しっかり受け止めてほしい。
(6) 在庁時間は平均13時間、とのことであるが、年間では676時間となり、上限目安の720時間に近い。超過勤務が長いとメンタルヘルスに関わってくるが、在庁時間が長いということは厳格な勤務時間管理が行われていないということだ。数年前にIT活用による勤務時間管理の検討が報告されていたが、何もされていないのではないか。ITによる勤務時間管理は今や常識になっており、公務部門でも直ちに実施すべきだ。
(7) 育児休業法改正に係る両立支援策の改正に当たっては、改正点を含めた施策全体について、リーフレット等を作成し、職員に対する事前の周知に努めていただきたい。
(8) 次世代育成支援の取組みが本年度末で10年間の半分の折り返しとなる。来年度からは新しい5年間の計画を作ることになるが、絵に描いた餅になっているので、実行状況を検証し来年度以降の取組みに結びつけられるよう、各府省を指導していただきたい。
(9) 人事評価が始まったが、業績評価の期末面談と期首面談が重なることから、評価結果が次期の目標設定や改善に活用されない心配がある。また、組合員は評価結果の活用について不安を持っているので、人事院が活用の仕方について資料を作成するなど、公正で信頼できる制度となるよう努めていただきたい。
 また、制度に関する苦情も出てくると思うので、人事院も関与しながら必要な改善を進めていただきたい。

 これに対し人事院側は次の通り答えた。
(1) 給与構造改革終了後の検討については、報告で示した考えに変わりはない。
(2) 官民比較方法については、公務と民間で同種・同等の業務を行っている者同士を比較することを基本に、民間企業従業員の給与をより広く把握し反映させることができるよう、比較対象企業規模を50人以上としているところであり、現在これを見直すことは考えていない。
 なお、地方を中心に公務員給与が高いとの声もあり、比較対象を現行よりも引き下げるべきとの議論や現行よりも小規模の事業所についてサンプル調査を行っている人事委員会があるということは承知しており、その動向については注視していきたい。
(3) 定年延長については、できるだけ早く人事院の考え方を提示できるよう努力したい。また、協議の場については、前向きに検討する。
 50歳代の給与については配分の問題であるという議論があることは承知しており、そういう点も含めて皆さんと議論することとしたい。
(4) 来年の民調で民間企業の超勤割増率を調査することは決めているが、中身の検討はこれからである。また、超勤代替休については4月からの実施なので定着してから調査を行うことが考えられるが、要望があったことは承っておく。
(5) 非常勤職員の任用・雇用をどうするかについてはできるだけ早く示したいと思っており、皆さんと話し合いながら検討を進めていくことは当然のことである。また、結論を年度内に得たとしても、予算措置をどうするかなど準備が必要であり、いつから実施できるかは中身によると考えている。
(6) 人事院としては厳格な勤務時間管理を行う必要があると考えており、その観点で対応していくが、IT活用などを含めどのような手法でそれを行うかは人事・恩給局がどう考えるかである。
(7) 両立支援策については周知に努めたい。
(8) 次世代育成支援策については、毎年その実施状況を公表することとされているので、それを踏まえて対応していきたい。
(9) 人事評価の実施、活用状況の把握については工夫していきたいし、苦情などについても関与していくこととし、皆さんのご意見も伺うこととしたい。

 以上の議論を踏まえ、岩岬副事務局長が「本日の回答は、抽象的で具体性がなく不満である。この間給与が下がり、本年は一時金が大きくダウンした。来年も希望が持てる状況にはないが、生活を防衛する観点で頑張ってほしい。給与が厳しいときは労働時間や両立支援策、福利厚生などを積極的に改善することによって、労働基本権制約の代償機関としての役割を果たすべきである。来年2月には改めて春季要求を提出するので、懸案事項を含め希望が持てる明確な回答を出すよう努力願いたい」と強く要望し、本日の交渉を締めくくった。

以上