総務省に設置されていた「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」は、12月3日の第9回検討会において報告書をとりまとめ、本日、公表が行われた。本報告書の公表を受けた公務労協の「見解」は別紙のとおりである。
この検討会は、昨年10月の自治労委員長との定期会談における原口前総務大臣の発言を起点に設置されたもので、公務労協は、連合および関係産別である自治労とともに労働側委員(木村裕士連合総合企画局長、岡本博自治労書記長、迫大助全国消防職員協議会会長)を通じて積極的な意見反映に努めてきた。
報告書に「団結権を付与すべし」と明記されなかったことは残念であるが、その一方、団結権を回復する場合の制度設計を示しており、今後の取組みに向け大きな一歩となるものである。また、「消防職員の団結権に係る制度を具体化する場合には、一般行政職員の労働基本権に関する制度改正の内容を十分に踏まえた上で、併せて検討することが適当である」と明記されたことは重要である。
政府は、次期通常国会に自律的労使関係制度を措置するための法案を提出するとしている。公務労協は、消防職員、そして刑事施設職員も含めて、ILO勧告をみたした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革実現に資する法制度の措置に向け、全力で取組みを進めることとしている。
報告書pdf(総務省HP)
(別紙)
消防職員の団結権のあり方に関する検討会報告に関する見解
2010年12月14日
公務公共サービス労働組合協議会
1.昨年10月の自治労委員長との定期会談における原口前総務大臣の「消防職員の団結権について、ILOから勧告が何度も出ている状況をいつまで放置するのか」との発言を起点に設置された「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」は、12月3日の第9回検討会において報告書をとりまとめ、本日公表が行われた。
この間公務労協は、連合および関係産別である自治労とともに労働側委員を通じて積極的な意見反映に努めてきた。
2.報告書は、団結権を回復することにより生じる課題・懸念や団結権を回復する場合の制度のあり方と対応策などについて整理を行った上で、@団結権を回復する場合の制度のあり方として、「A−1:団結権を回復し、一般行政職員と同様に当局との交渉を行う」「A−2:団結権を回復し、一般行政職員と同様に当局との交渉を行うが、消防職員には何らかの法律上の特例を設ける」「B−1:団結権を回復し、当局との交渉に代わる協議の仕組みを構築する。職員側の委員の選任方法について、職員の団体が直接指名する」「B−2:団結権を回復し、当局との交渉に代わる協議の仕組みを構築する。職員の団体の推薦に基づき当局側が指名する」「C:団結権を回復し、当局との交渉も協議も行わない」の5つのパターンを示すとともにA団結権回復に代えて消防職員委員会制度を改善するパターン、を提示した。その上で、「団結権を回復するか否かについては、今後、政府において検討の上、最終的に決定されるべきものであるが、検討会としては、団結権を回復する場合の制度設計に資する提示はできた」としている。
3.そもそも、団結権はすべての労働者に与えられた基本的人権であり、「消防職員に団結権を保障すべき」との長年にわたるILO勧告を踏まえ対応すべきである。また、団結権は、労働条件の改善等をめぐり当局と交渉・協議して初めて真価を発揮するものである。
消防職員の団結権・団体交渉権が回復することにより、対等な立場での労使の意思疎通がはかられ、目的意識の共有や公務能率の向上、消防職員の安全の確保、住民からの信頼の醸成につながると考える。
4.「団結権を付与すべし」と報告書に明記されなかったことは残念であるが、一方、報告書は、団結権を回復する場合の制度設計を示しており、今後の取組みに向け大きな一歩となった。また、「消防職員の団結権に係る制度を具体化する場合には、一般行政職員の労働基本権に関する制度改正の内容を十分に踏まえた上で、併せて検討することが適当である」と明記したことも重要な点である。政府は、次期通常国会に自律的労使関係制度を措置するための法案を提出するとしている。公務労協は、消防職員、そして刑事施設職員も含めて、ILO勧告をみたした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革実現に資する法制度の措置に向け、全力で取組みを進めていく。
以上