公務労協は、21日13時10分から、片山担当大臣に対し、地域主権・国の出先機関改革にかかる要請を行った。この要請は、12月16日の第9回地域主権戦略会議において、出先機関改革のアクション・プラン(案)が提示され、年内に決定されるとの情勢を踏まえ実施したもの。交渉には、中村公務労協議長をはじめ該当構成組織の委員長等が参加した。
冒頭、中村議長は、「地域主権・出先機関改革の『アクション・プラン』を年内に決定するとの方針の下、その『案』が示され、出先機関で勤務する組合員は、日々不安を募らせており、また、受け入れ側の自治体組合員も大変注目している。明年以降、アクション・プランを踏まえた検討、具体化を進める際には、職員の雇用・労働条件の確保をはじめ、要請書の趣旨を十分踏まえ対応頂くとともに、今後とも、節目毎の話し合いをお願いしたい」と要請した。(要請書は別紙のとおり)
その後、棚村国公連合委員長、加藤国交職組委員長、高倉全開発副委員長、白石沖縄国公労委員長から次のとおり要請した。
(1)組合員は、自分たちの仕事はどうなるのか、雇用はどうなるのかとの不安な心境で改革の議論を見守っている。公務労協・該当組織と協議を行いながら、具体的検討を進めていただきたい。
(2)地方整備局は、国交省『自己仕分け』によれば、広域地方行政体の仕組みが政府全体として構築されれば一括して権限移譲が可能としている。広域的な調整および統治を行う『受け皿=広域地方行政体』が重要だ。この『受け皿』について、@永続する仕組みA『自治体の参加が出入り自由』の仕組みのなかで抜けた場合にどうするのかB利害が相反するとき意志決定をどうするのかC財源をどうするのか、の4つの論点についてしっかりと議論をしていただきたい。
(3)この間の定員削減に対応し、北海道開発局から地方整備局への府省間配置が行われてきた。これに加え、「今度はさらに地方移管か」と職場に不安が広がっている。身分移管の取扱いについて慎重に取り扱ってほしいし、我々との話合いをしながら進めていただきたい。
(4)沖縄では、国の機関が、全国的に蓄積された技術とノウハウでもって沖縄の経済発展をサポートしている。これが『国の責務』と考えている。この『国の責務』を念頭に置いて、具体の検討を進めていただきたい。
これを受けて、片山大臣は、「出先機関改革とは、国の仕事は中央政府が担うものに特化し、国内の行政をできるだけ自治体へ移していくということ。広域的にまとまるところはブロック単位で一括して移管するということだ。今、地域で手を挙げているところ、検討が進められているところは、九州7県、沖縄、関西広域連合、首都圏、北海道などである。こうしたところを対象に、直轄国道などの権限を移していく。今後は、権限の『受け皿』が適切かどうかについて、@出入り自由は不可A意思決定機構がしっかりしているかB住民の意思を踏まえたチェック機能が働いているかC財源はあるか、の4点について検討が必要となる。これら検討を踏まえ、広域行政機構が信頼のおける組織かどうかについて判断し、国会に法案を提出する予定」と述べた。さらに、具体的な検討に当たっては、「鳥取知事としての経験からも、様々な立場の方々と意見交換して、一人ひとりが納得しなければ改革は進まないということを経験している。人員の移動が伴う場合は十分ご意見をお聞きし、相談しながら進める。国の検討状況を説明したうえで、皆さんと話し合いながら進めていくつもりだ」と述べた。
最後に、中村議長より、「今後の改革の具体化にあたっては、私たちとの意見交換を十分に行いながら進めていただくよう重ねてお願いしたい」と要請し、交渉を締めくくった。
(別紙)
2010年12月21日
内閣府特命担当大臣(地域主権推進)
片 山 善 博 様
公務公共サービス労働組合協議会
議 長 中 村 讓
地域主権・国の出先機関の改革にかかる要請
菅内閣は、三つの重要政策課題である経済成長、財政健全化、社会保障改革の一体的実現の「鍵」に「地域主権改革の推進」を位置づけ、「ひもつき補助金」の一括交付金化、国の出先機関改革などの検討を進めておられます。
先に政府が閣議決定した地域主権戦略大綱には、その意義として、国が地方に優越する上下の関係から対等なパートナーシップの関係へ根本的に転換すること、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めることなどを挙げており、わたしたちも共感を持つものです。
一方、国の出先機関については、その事務・権限を地方自治体へ移譲し、「原則廃止」するとのものであり、該当機関で勤務する組合員は、日々不安を募らせています。
「地域主権」の具体の検討にあたっては、社会経済情勢の変化に対応した形で国と地方自治体の行政の役割分担を見直し、その上で、より地域に密着した基礎的自治体が国民生活に不可欠な公共サービスを住民のニーズにそって提供するとの観点で進めるべきと考えます。加えて、「地域主権」の本旨を踏まえた改革とすべきであり、「行革、総人件費削減」を目的とした改革であってはなりません。
また、国の出先機関の見直しについては、国家公務員の地方公務員への身分移管という雇用・勤務条件上の重大な課題を含んでおり、慎重かつ丁寧な対応が必要と考えます。
つきましては、下記事項について要請いたします。
記
1.地域主権改革については、公共サービス基本法の基本理念を踏まえ、「安全かつ良質な公共サービスが、確実、効率的かつ適正に実施されること」を前提として対応すること。
2.国の出先機関改革については、補完性の原理を踏まえ、国と自治体の役割分担と事務・権限、財源などのあり方を十分に検討した上で進めること。
3.国の出先機関が担う役割・業務のあり方について、公務労協及び関係組合との協議を行うこと。
4.国の出先機関改革に関する人員移管等の仕組みについては、国家公務員の地方公務員への身分移管という雇用・労働条件上の重大な課題を含んでおり、政府として雇用・労働条件確保に責任を持つ体制を確立することを前提に検討すること。
また、身分移管の際のルール等を検討する体制の構成員として、公務労協及び関係組合の代表者を参加させること。
以上