公務員連絡会は、17日、委員長クラス交渉委員が、片山総務大臣、江利川人事院総裁、とそれぞれ会い、春季要求書を提出し、2011春季生活闘争の火蓋を切った。要求書では、公務員労働者の賃金の維持・改善、非常勤職員等の雇用と労働条件の改善、65歳までの段階的定年延長の実現、労働基本権を含む公務員制度改革などを強く求めている。今後、3月3日の幹事クラス交渉、3.11中央行動時の書記長クラス交渉などを節々で配置し、3月23日の回答指定日に向け、政府、人事院を追い上げることとしている。
総務大臣、人事院総裁交渉の経過はそれぞれ次の通り。
<総務大臣交渉の経過>
17日16時20分から総務省内で行われた片山総務大臣との交渉には、棚村議長ほか委員長クラス交渉委員が出席し、春季要求書(資料1、2)を手交した。
要求提出に当たって棚村議長は、次の通り述べ、3月23日には春の段階の誠意ある回答を示すよう強く求めた。
(1) 日本経済は、緩やかに回復しつつあるものの先行きは不透明で、今なおデフレの進行や失業率の高止まり、とりわけ新卒の就職状況の深刻化など、国民生活は依然として厳しい状況にある。
(2) こうした中で連合は、デフレからの脱却と内需拡大を図り、経済を活性化していくため、非正規を含むすべての働く者の雇用確保と労働条件の復元に向けた配分を実現する方針を確立し、いま、まさに2011春季生活闘争を進めている。
(3) また、雇用不安や将来不安が蔓延する中で、国民の生活を支える公共サービスの役割は高まっている。公務員労働者が国民の期待に応えていくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件の確保が必要だ。大臣所管の公共サービス基本法に基づいて、公務員のみならず労働環境の整備にぜひご尽力願いたい。
また、公務員の労働基本権を回復し自律的労使関係を確立するための法案の国会提出が山場を迎えつつある。公務員制度の抜本的改革を含めて、改革が実現するよう総務大臣の立場でご尽力いただきたい。
(4) 他方、独法見直しやアクションプランに基づく国の出先機関の見直しに加えて、国家公務員の総人件費削減措置の検討が始まるなど、公務員の雇用、賃金に対する厳しさが増している。このため、組合員は自らの雇用や処遇に対する不安感を募らせている。これらの改革に当たっては、国民への安心・安全の公共サービスの提供を維持することを基本としつつ、雇用と処遇の確保に万全を期していただきたい。
特に、総人件費削減の検討については、少なくとも自律的な労使関係制度の法的措置を図り、削減の必要性を含め、労使合意が前提でなければならない。
貴職におかれては、これらのことを十分認識され、本年の賃金・労働条件改善にあたって、@非常勤を含めた公務員労働者の賃金を維持・改善すること、A65歳までの段階的定年延長を実現すること、B均等待遇の原則に基づき、非常勤制度をさらに改善すること、C超過勤務を縮減すること、などに最大限ご努力いただくよう、強く要求する。
(5) 公務員連絡会は、1月25日に開いた第2回代表者会議の決定に基づき、2011年春季の要求を提出する。これから事務当局との交渉を積み重ね、3月23日には、大臣から直接、春の段階の誠意ある回答を頂きたい。
続いて地公部会を代表して、阿部部会議長が次の通り述べた。
(1) 地方公務員給与については、地方財政が逼迫していることを理由にして既に6割以上の自治体において独自の給与削減措置が実施されている。さらに自治体財政健全化法に基づく健全化比率や公営企業の経営にあたっての留意事項の下で企業内努力を行っている職場もあり、それぞれの自主的な取組みに任せるべきである。
(2)このような私たちの努力に対し、非常勤職員等の含む地方公務員賃金の維持・改善、自律的労使関係の確立、段階的定年延長・高齢雇用施策などについて、地方公務員も国に遅れることなく実施できるよう要請する。
これらに対して総務大臣は、「労働基本権を含めた公務員制度改革、地方公務員の課題を含め要求の主旨は承った。3月下旬の回答に向けて検討を進めていく。また、昨年の11月の人勧取扱いの閣議決定で言及した国家公務員の人件費削減については、今通常国会に法案を提出するよう検討しており、法案がまとまり次第、皆さんにも提示して理解を求めたいと考えているのでよろしくお願いしたい」と答え、今後公務員連絡会と交渉・協議していく姿勢を示した。
最後に、公務員連絡会の棚村議長は、「人件費削減に対する考え方については、冒頭申し上げたが、順序と手続きがある。労働基本権を含めた公務員制度改革の道筋を立てたうえで、われわれと交渉・協議する舞台をしっかりつくり、合意を前提としていただきたい」と強く求め、交渉を終えた。
<人事院総裁交渉の経過>
17日11時から行われた江利川人事院総裁との交渉には、棚村議長ほか委員長クラス交渉委員が出席し、春季要求書(資料3)を手交した。
要求提出に当たって、棚村議長は次の通り述べ、今後十分交渉・協議を重ね、3月23日には春の段階の誠意ある回答を示すよう強く求めた。
(1) 日本経済は、緩やかに回復しつつあるものの先行きは不透明で、今なおデフレの進行や失業率の高止まり、とりわけ新卒の就職状況の深刻化など、国民生活は依然として厳しい状況にある。
(2) こうした中で連合は、デフレからの脱却と内需拡大を図り、経済を活性化していくため、非正規を含めすべての働く者の雇用確保と労働条件の復元に向けた配分を実現するという方針を確立し、いま、まさに2011春季生活闘争を進めている。
(3) また、雇用不安や将来不安が蔓延する中で、国民の生活を支える公共サービスの役割は高まっている。公務員労働者が国民の期待に応えていくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件の確保が必要だ。
公務公共部門をめぐっては、労働基本権を回復し自律的労使関係を確立するための法案の国会提出がめざされており、その実現と法案の成立・施行が喫緊の課題と考えている。しかし、それが実現するまでは、人事院勧告制度を機能させることが重要だ。
他方、国家公務員の総人件費削減措置の検討が始まるなど、公務員労働者の雇用、賃金に対する厳しさは増している。
貴職におかれては、これらのことを十分認識され、本年の賃金・労働条件改善にあたって、@非常勤を含めた公務員労働者の賃金を維持・改善すること、A65歳までの段階定年延長を必ず実現すること、B均等待遇の原則に基づき、非常勤制度をさらに改善すること、C超過勤務を縮減すること、などに最大限ご努力いただくよう、強く要求する。
(4) 公務員連絡会は、1月25日に開いた第2回代表者会議の決定に基づき、2011年春季の要求を提出する。要求事項の重点は事務局長から説明させていただくが、これから事務当局との交渉を積み重ね、3月23日には、総裁から直接、春の段階の誠意ある回答を頂きたい。
続いて、吉澤事務局長が要求事項のポイントを説明し、「厳しい環境のなかで懸命に職務に奮闘している職員・組合員の切実な要求内容である。今後、要求の積極的な検討を十分行い、誠意ある交渉・協議をお願いしたい」と述べ、回答日に向け公務員連絡会と十分交渉・協議することを要請した。
これに対して総裁は、「現在の経済情勢について皆さんの問題認識と同様だ。公務を巡る情勢もさまざまな厳しい状況があるが、誠意をもって対応していきたい。本日の皆さんからの要求書の主旨を踏まえ、3月23日を念頭に、しかるべき時期の回答にむけ十分検討して参りたい」と回答し、本日の要請を終えた。
(別紙1)
2011年2月17日
総務大臣
片 山 善 博 殿
公務員労働組合連絡会
議 長 棚 村 博 美
要 求 書
日本経済は、緩やかに回復しつつあるものの先行きは不透明で、今なおデフレの進行や失業率の高止まり、とりわけ新卒の就職状況の深刻化など、国民生活は依然として厳しい状況におかれています。
2011春季生活闘争は、すべての労働者の処遇を改善することにより、デフレからの脱却と内需拡大を図り、経済を活性化していくことが最重要課題です。そのため、非正規労働者を含めたすべての働く者の雇用確保と労働条件の復元に向けた配分を実現しなければなりません。
雇用不安や将来不安が蔓延する中で、国民の生活を支える公共サービスの役割は高まっています。公務員労働者が国民の期待に応えていくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件の確保が必要です。
一方、労働基本権を回復し自律的労使関係制度を確立するための法案提出がめざされており、それが実現するまでの間は、労働基本権制約の下で、その代償措置とされる人事院勧告制度を機能させることが不可欠です。
また、国家公務員の総人件費削減措置の検討については、現行の賃金・労働条件決定システムのもとでは、自律的労使関係制度の法的措置を前提として、削減の必要性を含め、労使の協議と納得が必要となります。
こうした情勢の下、本年の賃金・労働条件の改定にあたっては、非常勤職員等を含めた公務員労働者の賃金を維持・改善することはもとより、2013年度からの65歳までの段階的定年延長を中心とする新たな高齢雇用施策の実現を図ることが重要課題となっています。
公務員連絡会は、1月25日に開いた第2回代表者会議の決定に基づき、下記の通り2011年春季の要求を提出いたします。貴職におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。
記
1.総人件費削減措置等について
(1) 公共サービス基本法に基づいて良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、公務員等公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保すること。
(2) 国家公務員の総人件費削減措置を検討するに当たっては、依然として労働基本権が制約され人事院勧告制度の下にあることを踏まえ、以下の事項の実現を前提とすること。
@ 連合・公務労協・公務員連絡会が求める自律的労使関係制度の法的措置の実現を確実にすること。
A 政府がめざす国家公務員の総人件費削減の必要性について、その全体像を含めて明確で納得がいく説明を行うこと。
B 必要な法案の国会提出については、公務員連絡会・国公連合との合意を前提とすること。
(3) 独立行政法人・政府関係公益法人や国の出先機関の見直しに伴って雇用問題が生じる場合には、政府として統一的な体制を確立するなど、国が雇用の承継に責任を持つこと。
2.2011年度の賃金改善について
(1) 2011年度の給与改定に当たっては、公務員労働者の賃金を維持し、改善すること。また、使用者の責任において、実態に見合った超過勤務手当の支給、独立行政法人等を含めた公務員給与の改定に必要な財源の確保に努めること。
(2) 公務員給与のあり方に対する社会的合意を得るよう、使用者責任を果たすこと。
3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 非常勤職員制度の抜本的改善をめざし、公務員連絡会が参加する検討の場を設置し、政府全体として解決に向けた取組みを推進すること。当面、非常勤職員制度について、法律上明確に位置づけることとし、勤務条件等について常勤職員との均等待遇の原則に基づき、常勤職員に適用している法令、規則を適用すること。
(2) 2011年度の非常勤職員の給与については、引き続き「非常勤給与ガイドライン」を遵守するよう各府省を指導するとともに、1時間当たり40円以上引き上げること。
(3) 期間業務職員制度については、当該職員の雇用の安定と処遇の改善となるよう、適切な運用に努めることとし、とくに、常勤職員と同等の勤務を行っている期間業務職員の給与を「均等待遇の原則」に基づき抜本的に改善すること。
4.労働時間、休暇及び休業等について
(1) 公務に雇用創出型・多様就業型のワークシェアリングを実現することとし、本格的な短時間勤務制度の具体的検討に着手すること。
(2) 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、@年間総労働時間1,800時間体制Aライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇制度の拡充B総合的な休業制度、などを実現すること。
(3) 政府全体として超過勤務縮減のための体制を確立し、超過勤務命令の徹底やIT等を活用した厳格な勤務時間管理と実効性のある超過勤務縮減策を取りまとめ、直ちに実施することとし、その具体化に向けて公務員連絡会と協議すること。また、超過勤務手当の全額支給を実現すること。
5.人事評価制度について
人事評価制度については、公正・公平性が確保され、円滑に運用されるよう、引き続き制度の周知や評価者訓練の徹底に努めるとともに、実施状況を検証し、必要に応じて指導、改善措置等を講じることとし、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。
6.新たな高齢者雇用施策について
(1) 65歳までの段階的定年延長を中心とする新たな高齢雇用施策を確立することとし、人事院の意見の申出がなされた場合には、それを尊重し直ちに法改正に着手し、関係法案を国会に提出すること。
(2) 定年延長に伴って、給与体系・水準や退職手当のあり方等を検討する場合には、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、合意に基づいて進めること。
7.福利厚生施策の充実について
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実を図ること。
(2) 改定後の「国家公務員福利厚生基本計画」の着実な実施を図るため、政府全体としての実施体制を確立し、使用者としての責任を明確にして積極的に対応すること。とくに、メンタルヘルスに問題を抱える職員が増加していることから、その原因追及と管理職員の意識改革に努めることとし、必要な心の健康診断、カウンセリングや「試し勤務」など復職支援施策を着実に実施すること。
(3) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、予算及び事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
8.男女平等の公務職場実現、女性労働者の労働権確立について
(1) 公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題として位置づけ、女性公務員の採用、登用の拡大を図り、女性の労働権確立や環境整備を行うこととし、政府全体として取り組むこと。
(2) 男性の取得率の数値目標を明確にして、育児休業及び育児のための短時間勤務等の取得の促進を図ることとし、条件整備や必要な指導を行うこと。
(3) 改定された「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」に基づく実施計画を作成し、その目標の実現に向け、使用者として必要な取組みを着実に実施すること。
(4) 次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の着実な推進に取り組むよう、各府省を指導すること。
9.労働基本権確立を含む公務員制度改革について
(1) 国家公務員制度改革基本法に基づく公務員制度の検討に当たっては、自律的労使関係制度を措置することを基本として、ILO勧告に基づき、公務員の労働基本権、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を確立することとし、本通常国会で関係法律を整備すること。また、労使関係制度以外の課題を含めて、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、合意に基づいて抜本的な改革を実現すること。
(2) 国際労働基準確立の観点からILO第151号条約を批准すること。
10.退職手当制度の見直しについて
民間企業の退職金調査を実施する場合には、その結果に基づく退職手当制度の見直し検討を含めて、公務員連絡会と十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて作業を進めること。
11.その他の事項について
(1) 公務における外国人の採用、障がい者雇用を拡大すること。とくに、知的障がい者及び精神障がい者の雇用促進に関する具体的方策を明らかにすること。
(2) 国が民間事業者等に業務委託や入札等により、事務・事業の実施を委ねる場合においては、公正労働基準の遵守を必要条件とすること。
以上
(資料2)
2011年2月17日
総務大臣
片 山 善 博 殿
公務員連絡会地方公務員部会
議 長 阿 部 卓 弥
要 求 書
貴職の地方分権推進、地方公務員の処遇改善に向けたご努力に敬意を表します。
日本経済は、全体的には緩やかに回復基調にあるものの、大きな地域間のばらつきがあります。2011年度の地方財政計画案は、地方交付税を約0.5兆円増額し、地域活性化・雇用等対策費1兆2,000億円を設定したのをはじめ、地方経済の支援策などにも重点を置いたものとなっています。
地方公務員給与については、地方財政が逼迫していることを理由に、約6割以上の自治体において独自の給与削減措置が実施されています。このような事態は、労働基本権制約の代償措置とされる人事委員会勧告制度の空洞化につながると懸念しています。さらに、この間、総務省は、法的根拠のない「集中改革プラン」の策定を各地方自治体に求め、厳しい人員削減を強いてきました。その結果、地方自治体では、必要とされる質の高い公共サービスの提供に支障をきたす事態も起こっています。臨時・非常勤職員急増の背景にも、このような厳しい人員削減があります。
地方では雇用不安や将来不安、生活不安が深刻化しており、公共サービスを支える地方公務員の役割はますます高まっています。地方公務員が住民の期待に応えていくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件の確保が必要です。
こうした情勢の下、本年の賃金・労働条件の改定にあたっては、非常勤職員等を含めた地方公務員の賃金を維持・改善することはもとより、自律的労使関係制度の確立、2013年度からの65歳までの段階的定年延長を中心とする新たな高齢雇用施策を、国に遅れることなく実現することが重要課題となっています。
以上のことから、公務員連絡会地方公務員部会は2011年春季の要求を下記の通り提出いたします。貴職におかれては、下記事項の実現に最大限尽力されますよう要求します。
記
1.2011年度の賃金改善について
(1) 地方公務員の賃金の維持、改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。
(2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使の自主的交渉を尊重すること。また、給与決定にあたって地方自治体に対して国と同様の取扱いをするよう求めないこと。
2.臨時・非常勤職員等の雇用安定・労働条件改善について
(1) 本格的な短時間勤務制度の具体的検討に着手すること。
(2) 地方自治法第203条の2、第204条の改正を行い、非常勤職員にも諸手当が支給できるようにすること。
(3) パート労働法の趣旨が地方公務員の臨時・非常勤職員にも適用されるよう法整備を行うこと。
(4) 労働基準法が定める賃金・労働条件の改善・確保、法律にもとづく健康診断、社会保険や雇用保険の適用等がはかられるよう、各地方自治体に対して強く要請すること。
(5) すべての臨時・非常勤職員が育児休業等を取得できるよう、所要の対応を地方自治体に要請すること。
3.労働時間について
(1) 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、@年間総労働時間1,800時間体制、A時間外労働の縮減と年休取得の促進、B「不払い残業」の解消を地方自治体に要請すること。
(2) 36協定締結義務職場での締結促進のための施策、労働基準法第33条3項の「公 務のために臨時の必要がある場合」について厳格に運用するよう地方自治体に要請すること。
4.人事評価について
自治体における人事・給与制度に係わる新たな評価制度の導入に当たっては、十分な労使協議を行うよう地方自治体に対して必要な対応を行うこと。
5.新たな高齢雇用施策の充実について
段階的定年延長に関わっては、地方自治体においても国に遅れないよう制度設計を進めること。それに当たっては、地方公務員部会との十分な交渉・協議を行うこと。
6.福利厚生施策の充実について
自治体職場の安全衛生体制を確立するとともに、メンタルヘルス対策に関わる自治体の実態の把握と、その問題点や課題についての改善策を整理し、各自治体に対して、最低限、法令に基づく労働安全衛生体制を直ちに整備するよう強く要請すること。
7.男女平等の公務職場実現について
(1) 国の第3次男女共同参画計画に基づき自治体職場での男女平等・共同参画のための諸施策を推進するよう助言すること。
(2) 次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の着実な推進に取り組むよう地方自治体に要請すること。
(3) 改正育児休業法及び両立支援策にもとづき、仕事と子育ての両立支援策等を一層進め、男女ともに子育てをしながら働き続けることができる雇用環境の整備に取り組むよう地方自治体に要請すること。
8.労働基本権確立を含む地方公務員制度改革について
(1) 国家公務員制度改革基本法に基づく公務員制度の見直しと整合性をもって検討すること。
(2) 自律的労使関係制度を措置することを基本として、ILO勧告に基づき公務員の労働基本権、団体交渉制度による賃金・労働条件決定とし、本通常国会で法律の整備を行うこと。
(3) 労使関係制度以外の課題も含めた、法案の検討に当たっては、地方公務員部会との十分な交渉・協議を行うこと。
9.その他
(1) 刑事事件での起訴にともなう休職や禁錮以上の刑に処せられた場合の失職のうち、公務にかかわる事項については任命権者の判断で失職させない措置を行えるよう分限条例の改正を促進すること。
(2) 自治体財政健全化法の運用については、国の関与は最小限に止め、自治体の自主的・主体的な財政健全化を基本とすること。また、公営企業の経営の健全化については、「公営企業の経営に当たっての留意事項について」(2009年7月)による指導関与は最小限に止め、各自治体における自主的・主体的な取組みに委ねること。
(3) 公契約に際しては、公正労働基準の遵守を必要とすることを地方自治体に要請すること。
以上
2011年2月17日
総務大臣
片 山 善 博 殿
公務員連絡会地方公務員部会
議 長 阿 部 卓 弥
要 求 書
貴職の地方分権推進、地方公務員の処遇改善に向けたご努力に敬意を表します。
2010年度の地方財政計画案において、地方交付税が1.1兆円増額されました。地方交付税の増額は、私どもをはじめ多くの地方自治体関係者が強く求めてきたことであり、高く評価しているところです。また、民主党マニフェストにあるように「地域主権」確立のため、地方が自由に使える自主財源を大幅に増やし、地方自治体が地域のニーズに適切に応えられるようにするための一歩とも言えます。
一方、地方公務員給与については、地方財政が逼迫していることを理由にして6割以上の自治体において独自の給与削減措置が実施されています。このような事態は、労働基本権制約の代償措置とされる人事委員会勧告制度の空洞化につながると懸念しています。質の高い公共サービスを実現するためには、地方公務員が意欲と誇りを持って働くことができる労働条件の整備が必要です。
以上のことから、公務員連絡会地方公務員部会は、2010年春季の要求を下記の通り提出いたします。貴職におかれては、下記事項の実現に最大限尽力されますよう要求します。
記
1.2011年度の賃金改善について
(1) 地方公務員の賃金の維持、改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。
(2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使の自主的交渉を尊重すること。また、給与決定にあたって地方自治体に対して国と同様の取扱いをするよう求めないこと。
2.臨時・非常勤職員等の雇用安定・労働条件改善について
(1) 本格的な短時間勤務制度の具体的検討に着手すること。
(2) 地方自治法第203条の2、第204条の改正を行い、非常勤職員にも諸手当が支給できるようにすること。
(3) パート労働法の趣旨が地方公務員の臨時・非常勤職員にも適用されるよう法整備を行うこと。
(4) 労働基準法が定める賃金・労働条件の改善・確保、法律にもとづく健康診断、社会保険や雇用保険の適用等がはかられるよう、各地方自治体に対して強く要請すること。
(5) すべての臨時・非常勤職員が育児休業等を取得できるよう、所要の対応を地方自治体に要請すること。
3.労働時間について
(1) 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、@年間総労働時間1,800時間体制、A時間外労働の縮減と年休取得の促進、B「不払い残業」の解消を地方自治体に要請すること。
(2) 36協定締結義務職場での締結促進のための施策、労働基準法第33条3項の「公 務のために臨時の必要がある場合」について厳格に運用するよう地方自治体に要請すること。
4.人事評価について
自治体における人事・給与制度に係わる新たな評価制度の導入に当たっては、十分な労使協議を行うよう地方自治体に対して必要な対応を行うこと。
5.新たな高齢雇用施策の充実について
段階的定年延長に関わっては、地方自治体においても国に遅れないよう制度設計を進めること。それに当たっては、地方公務員部会との十分な交渉・協議を行うこと。
6.福利厚生施策の充実について
自治体職場の安全衛生体制を確立するとともに、メンタルヘルス対策に関わる自治体の実態の把握と、その問題点や課題についての改善策を整理し、各自治体に対して、最低限、法令に基づく労働安全衛生体制を直ちに整備するよう強く要請すること。
7.男女平等の公務職場実現について
(1) 国の第3次男女共同参画計画にもとづき自治体職場での男女平等・共同参画のための諸施策を推進するよう助言すること。
(2) 次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の着実な推進に取り組むよう地方自治体に要請すること。
(3) 改正育児休業法及び両立支援策にもとづき、仕事と子育ての両立支援策等を一層進め、男女ともに子育てをしながら働き続けることができる雇用環境の整備に取り組むよう地方自治体に要請すること。
8.労働基本権確立を含む地方公務員制度改革について
(1) 国家公務員制度改革基本法に基づく公務員制度の見直しと整合性をもって検討すること。
(2) 自律的労使関係制度を措置することを基本として、ILO勧告に基づき公務員の労働基本権、団体交渉制度による賃金・労働条件決定とし、本通常国会で法律の整備を行うこと。
(3) 労使関係制度以外の課題も含めた、法案の検討に当たっては、地方公務員部会との十分な交渉・協議を行うこと。
9.その他
(1) 刑事事件での起訴にともなう休職や禁錮以上の刑に処せられた場合の失職のうち、公務にかかわる事項については任命権者の判断で失職させない措置を行えるよう分限条例の改正を促進すること。
(2) 自治体財政健全化法の運用については、国の関与は最小限に止め、自治体の自主的・主体的な財政健全化を基本とすること。また、公営企業の経営の健全化については、「公営企業の経営に当たっての留意事項について」(2009年7月)による指導関与は最小限に止め、各自治体における自主的・主体的な取組みに委ねること。
(3) 公契約に際しては、公正労働基準の遵守を必要とすることを地方自治体に要請すること。
以上
(別紙3)
2011年2月17日
人事院総裁
江 利 川 毅 殿
公務員労働組合連絡会
議 長 棚 村 博 美
要 求 書
日本経済は、緩やかに回復しつつあるものの先行きは不透明で、今なおデフレの進行や失業率の高止まり、とりわけ新卒の就職状況の深刻化など、国民生活は依然として厳しい状況におかれています。
2011春季生活闘争は、すべての労働者の処遇を改善することにより、デフレからの脱却と内需拡大を図り、経済を活性化していくことが最重要課題です。そのため、非正規労働者を含めたすべての働く者の雇用確保と労働条件の復元に向けた配分を実現しなければなりません。
雇用不安や将来不安が蔓延する中で、国民の生活を支える公共サービスの役割は高まっています。公務員労働者が国民の期待に応えていくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件の確保が必要です。
一方、労働基本権を回復し自律的労使関係制度を確立するための法案提出が今通常国会に予定されているものの、それが実現するまでの間は、労働基本権制約の下で、その代償措置とされる人事院勧告制度を機能させることが不可欠です。
こうした情勢の下、本年の賃金・労働条件の改定にあたっては、非常勤職員等を含めたすべての公務員労働者の賃金を維持・改善することはもとより、2013年度からの65歳までの段階的定年延長を中心とする新たな高齢雇用施策の実現を図ることが重要課題となっています。
公務員連絡会は、1月25日に開いた第2回代表者会議の決定に基づき、下記の通り2011年春季の要求を提出いたします。貴職におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。
記
1.2011年度賃金要求について
(1) 2011年度の賃金改善について
@ 2011年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を正確に把握し、公務員労働者の賃金を維持し、改善すること。また、水準・配分・体系等について公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
A 給与構造改革が終了したことを踏まえ、その進展状況について慎重な検証を行うこととし、新たな制度見直しの検討を開始する場合には、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、合意に基づいて進めること。また、給与構造改革における現給保障は堅持すること。
(2) 社会的に公正な官民比較方法の確立について
官民給与比較方法については、現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう、抜本的に改善すること。また、一時金についても、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。
(3) 諸手当の見直し・検討について
@ 住居手当については、全額支給限度額、最高支給限度額を引き上げるなど総合的に改善すること。
A その他の諸手当の改善については、官民較差及び民間実態を踏まえ、十分交渉・協議すること。
(4) 定年延長に伴う給与体系等の見直しについて
定年延長の実施に伴う60歳以降の給与のあり方については、職務給の原則を維持するとともに、ゆとりある豊かな生活が実現できる水準を確保することとし、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、合意に基づき検討作業を行うこと。
(5) 50歳台の給与見直しについて
@ 50歳台の給与のあり方については、官民較差を踏まえた配分の問題として、人勧期に向けて慎重な検討作業を行うこと。
A 50歳台後半層の格差については十分納得できる説明を行うこと。また、2010年勧告による一律削減措置は直ちに撤回し、見直しの方法については十分交渉・協議し、合意すること。
2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 期間業務職員制度については、当該職員の雇用の安定と処遇の改善となるよう、適切な運用に努めることとし、とくに常勤職員と同等の勤務を行っている期間業務職員の給与を「均等待遇の原則」に基づき俸給表に位置づけること。また、国に雇用される労働者の最低賃金(高卒初任給相当)を定める人事院規則を制定すること。
(2) 「非常勤給与ガイドライン」の実施状況を点検・報告するとともに、着実な処遇改善に努めることとし、2011年度については非常勤職員の給与を1時間当たり40円以上引き上げること。
(3) 非常勤職員等の雇用・身分等の差別的取扱いを解消するため、非常勤職員制度を法律上明確に位置づけて、勤務条件等について均等待遇の原則に基づき、常勤職員に適用している法令、規則を適用すること。
3.労働時間の短縮及び本格的な短時間勤務制度等について
(1) 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間1,800時間体制を確立することとし、本年については、次の事項を実現すること。
@ 政府全体として超過勤務を縮減するための体制を確立し、超過勤務命令の徹底やIT等を活用した職場における厳格な勤務時間管理と、新たな上限規制の導入を含め、実効性のある超過勤務縮減策を取りまとめ、直ちに実施すること。また、本府省における在庁時間削減対策の実施状況を踏まえ、その取組みを継続、拡大・深化させることとし、在庁時間の一層の削減に努めること。あわせて、超勤上限目安時間の遵守状況を検証し、長時間勤務の原因を踏まえた縮減対策を講じること。
A 1か月当たり45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率及び超過勤務代休時間の取扱いについては、民間企業の実態を踏まえた見直しを行うこと。なお、超過勤務手当については全額支給すること。
(2) 非常勤職員への育児休業、育児時間及び介護休暇の適用について、円滑に活用できるよう周知徹底等の条件整備を図ること。
(3) 公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現することとし、本格的な短時間勤務制度の具体的な検討を開始すること。あわせて、介護のための短時間勤務制度導入のための検討を促進すること。
4.人事評価制度について
中立・公正な人事行政や勤務条件を所管する立場から、人事評価制度の実施及び評価結果の活用状況を検証し、必要に応じて指導、改善措置等を講じることとし、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。
5.新たな高齢者雇用施策について
(1) 新たな高齢者雇用施策については、65歳までの段階的定年延長を実現するための「意見の申出」を遅くとも2010年度内に行うこと。
(2) 雇用の確保は最も重要な勤務条件であることから、「意見の申出」に向けて、具体的な施策の内容等について、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、合意に基づいて進めること。
(3) 意見の申出後も、給与を含めた関連事項について、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、合意に基づいて検討作業を進めること。
6.男女平等の公務職場の実現について
(1) 公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題として位置づけ、必要な施策の確立を図ること。
(2) 男性の取得率の数値目標を明確にして、育児休業及び育児のための短時間勤務等の男性取得の促進をはかることとし、条件整備や必要な指導を行うこと。
(3) 次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の着実な推進に取り組むよう、各府省を指導すること。
(4) 改定された「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」に基づく実施計画を作成し、その目標の実現に向け、各府省を指導すること。
7.福利厚生施策の充実について
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実に向けた提言を行うこと。
(2) メンタルヘルスに問題を抱える職員が増加していることから、「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づいた心の健康診断、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策の着実な推進を図ること。
(3) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、予算及び事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
(4) 公務災害補償制度について、民間企業における精神障がいの認定基準見直しに遅れることなく対応すること。
8.その他の事項について
公務職場に外国人の採用、障がい者雇用を促進すること。とくに、知的障がい者及び精神障がい者の雇用促進に関する具体的方策を明らかにすること。
以上