2011年度公務労協情報 27 2011年4月8日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

東日本大震災等による公務災害認定について地公部会が地公災基金に申入れ−4/7

 公務員連絡会地公部会は7日10時から、地方公務員災害補償基金本部において、東日本大震災による公務災害認定に関する申入れを行った。地公部会からは、藤川公務員連絡会地公部会事務局長、西田自治労法対労安局長、木下日教組書記次長、吉田都市交書記次長、永井全水道副委員長、高橋日高教書記長(公務災害認定指針対策メンバー)が出席した。地公災基金側は阿部健郎補償課長らが対応した。

 冒頭、藤川事務局長より、東日本大震災による公務災害認定に関し、7項目(別紙1)について説明し、地公災基金の十分な対応を求めた。
 これに対し、阿部補償課長は、「申入れの主旨は承った。基金としても、東日本大震災における公務災害の適切な認定の必要性については認識しており、上へ伝える。当面は、4月1日に発出した通知に基づき対応したい」と回答した。
続いて、各構成組織から、次の通り要請した。
(自治労)
@ 今回の震災の完全復興は10年は要するともいわれており、公務災害申請もかなりの数が予想される。しかし、現地では余震も続くなか、まずは生活の再建ということで、公務災害認定の申請どころではない。時効の緩和などは検討しているか。
(日教組)
@ 学校が遺体安置所になっており、そこに勤務する教職員にも相当なストレスがかかっていることを認識してほしい。また、行方不明者については公務災害の立証が困難であり、こうした場合の対応をどのように考えているか。
A 非常勤職員についても、公務災害認定で不利益を受けないようお願いしたい。

 これに対して、阿部補償課長は、「皆さんの問題意識として承った。いずれにせよ、今回の震災に係る公務災害の認定についても、適切に対応していきたい」と回答した。
最後に、藤川事務局長は、「今後も大震災に起因する公務災害認定の諸課題について情報提供含め、要請したい。申入れについて十分な検討をお願いしたい」と強く訴え、申入れを終えた。


(別紙1)

2011年4月7日




地方公務員災害補償基金
 理事長  橋 本  勇 様



公務員連絡会地方公務員部会
議 長  阿 部 卓 弥



東日本大震災による公務災害認定に関する申入れ


 平素より、地方公務員及び遺族の生活と福祉の安定に並々ならぬ努力を続けておられることに心から敬意を表します。
 さて、東日本大震災による犠牲者、行方不明者は2万8千人以上、避難生活を送っている方は16万人を超えています。この震災によって犠牲となった地方公務員も相当数にのぼると予想されます。
 職員は、震災直後から今日まで住民の救助、復旧・復興に全力をあげて取り組んでいます。また、福島第一原子力発電所の事故により多量の放射能が漏れ出し、半径20キロ圏内の自治体では、機能そのものが当該地域外の他の自治体に移転しました。移転先でも、職員は住民の安心・安全の確保などに懸命の努力を続けています。半径30キロ圏内の屋内待避の地域でも、放射線被曝の不安にかられながらも必要な公共サービスの提供や復旧などに務めています。
 このような、甚大かつ広範囲な震災の犠牲となった職員及び遺族、負傷した職員、心身の疾病に罹った職員に対して、地方公務員災害補償制度の趣旨に則り、下記のような対応を行うよう申し入れます。




1.被災した地方公務員、遺族は、勤務公署の被災や閉鎖、資料の散逸などにより、平常時に比較し公務災害申請に相当困難が伴うことから、請求の受付から支給決定まで、一層迅速、かつ丁寧な対応を行うこと。

2.請求に必要な書類等を可能な限り簡素化するとともに、勤務公署の崩壊などに伴い、必要な書類が整わない場合は、代替措置を直ちに講ずること。

3.各支部がもつ機能をはるかに上回る申請数になることから、各支部における調査、事務手続きなどを本部として十分に支援すること。

4.自治体機能が他県に移動した場合にあっては、移動先の支部でも申請を受け付けるなどの対応をすること。

5.心身の疾病、とくに、脳・心臓疾患、精神疾患に係る公務災害認定に当たっては、本震災と原発事故による広範囲な放射線被曝の懸念が生じているなどの状況は、従来の認定指針では想定していない事態であることから、それを十分、踏まえた認定を行うこと。

6.本震災に起因すると想定される公務災害申請に係わる様々な情報について、被災した職員、遺族に対して丁寧な情報提供を行うこと。

7.本震災に起因すると想定される公務災害認定の諸課題についても、引き続き、地公部会と十分な交渉・協議を行うこと。

以上




(別紙2)

地基補第91号
平成23年4月1日


地方公務員災害補償基金
     各支部事務長 殿

地方公務員災害補償基金補償課長
(公印省略)




東北地方太平洋沖地震における公務災害及び通勤災害の認定について(通知)



 今般の東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う津波により被災した場合の公務災害及び通勤災害の認定については、下記のとおり取り扱われることとなります。
 なお、個別事案の認定については、原則として本部に照会くださるようお願いします。



1  公務災害の考え方
 職務遂行中に、地震により建物が倒壊したこと、地震に伴う津波により建物が水没したこと等が原因で被災した場合にあっては、職務の性質、勤務環境や勤務公署施設の状況等から職務遂行に伴う危険が現実化したものとして、公務上の災害として認められる。

2  通勤災害の考え方
 公務災害と同様、通勤途上で津波や建物の倒壊等により被災した場合にあっては、通勤に通常伴う危険が現実化したものとして、通勤災害として認められる。

3  公務災害又は通勤災害となる事例
 (1) 公務災害
ア 地震により建物が倒壊したことにより被災した場合
イ 津波により建物が押し流された又は水没したことにより被災した場合
ウ 勤務場所から避難する際に津波に遭い被災した場合
エ 罹災地以外の地域から罹災地へ出張していた最中に被災した場合
オ 地震又は津波による住民の避難、被災者の救助等の緊急行為や職務命令により緊急災害対策業務等に従事中(罹災地に向かっている途中又は罹災地から戻る途中を含む。)に被災した場合

 (2) 通勤災害
ア 通勤途上で建物が倒壊したことにより被災した場合
イ 通勤途上で津波に巻き込まれて被災した場合

以上