公務労協労働基本権確立・公務員制度改革対策本部(本部長:中村讓日教組委員長)は2日15時50分から、「国家公務員制度改革関連4法案」(以下、「4法案」という。)の閣議決定を前に、これまでの交渉・協議を踏まえ、中野公務員制度改革担当大臣と交渉を行った。交渉には、公務労協対策本部からは中村本部長をはじめ各構成組織委員長らが出席した。
冒頭、中村本部長は、「この間、事務レベルそして園田政務官との交渉・協議を踏まえ、さらに民主党公務員制度改革PTの尽力のもと、4法案がまとまったことは、まさに政権交代を強く意義づけるものである」と評価するとともに、「公務員の労使関係の新たな扉は開かれた。お互い後戻りはできない。政府も執念を持って法案成立に尽力してもらわなければならない。その成否はわれわれとの信頼関係に関わることである。」と強調した上で、以下の通り中野大臣に要請した。
(1) 園田政務官をはじめ、この間の交渉・協議を通じて整理してきた課題について、大臣としてもしっかり受け止めていただきたい。
(2) 4法案の成立に向けて政府として執念を持って全力を挙げていただきたい。国家公務員の給与削減交渉で、政府代表としての片山総務大臣から「政府としては、両法案とも提出だけではなく、今国会で同時に成立できるよう努力を尽くしたい」との力強い回答をいただいた。公務員制度改革担当である中野大臣からも、直接、法案の同時成立に全力を挙げるとの決意を伺いたい。
(3) 消防職員の団結権を含めた地方公務員の労働基本権について、今回、国と同時に法案を提出することにはならなかったが、国と同時に実施されることを確信している。公務員制度改革の担当大臣として、総務大臣に強く要請するとともに、協力していただきたい。
これに対し中野大臣は「60年以上続いてきた第三者機関に依存した勤務条件決定の枠組みから本来民主的国家における労使関係のあるべき姿を取り戻すという歴史的な転換であり、その重みを改めて皆さんと共有しておきたい」と述べ、公務労協からの要請に以下のように回答した。
(1) 争議権の検討に当たっては労働側の皆さんと十分協議していくこと、給与法等の法律事項と政令事項の振り分けについては自律的労使関係制度の下で然るべく交渉していくことなど、これまでの経緯を踏まえ、担当大臣として、しっかり受け止めた。
(2) 自律的労使関係制度を措置するための4法案と、給与減額措置のための法案については、明日の閣議で同時に決定される予定であり、政府として両法案の成立を信念を持ってめざしていく方針である。
(3) 消防職員の団結権等をはじめ地方公務員の労働基本権の問題については、総務省において関係労使の意見を聴取しながら鋭意検討が進められているものと理解している。公務員制度全体として整合性をもった改革が実現するよう、今後とも総務大臣はじめ総務省政務三役と緊密に連携してまいりたい。
(4) 明日の閣議において公務員制度改革関連法案の国会提出を決定した上で、国会において速やかに審議の上、成立に向け最大限努力してまいる決意である。
(5) 新たな制度の下で、労使が真摯に向き合い、円滑かつ効率的な交渉を通じて時代の要請に応えていかなければならない。公務に働く皆さんとともに、新たな制度を築き上げていく所存である。
中野大臣の回答に対して中村本部長は、「4法案と給与削減措置のための法案の関係において、削減先行は絶対容認できないことであり、このことは連合も同一の立場から政府及び民主党に対し断固たる姿勢で指摘している。この点について、改めて大臣の明確な見解をお聞きしたい」と、再度両法案の取扱いにおける中野大臣の見解を求めた。また、徳永自治労委員長は、昨年のILO総会における細川厚生労働副大臣の演説等を踏まえ、消防職員への団結権の付与と地方公務員の労働基本権についてできる限り速やかな法案策定・国会提出を総務大臣へ働きかけるよう要請した。
これに対し中野大臣は以下の通り回答した。
(1) 同時成立を前提に執念を持って努力することを、片山総務大臣とも確認している。国会においてもそのような努力をするよう働きかけていきたい。
(2) すべての労働者に団結権が与えられることを前提として、考えられるべきことであると認識しており、努力していきたい。
これを受けて中村本部長は、@4法案については必ず成立するよう政府として全力を挙げること、A消防職員の団結権付与を含む地方公務員の労働基本権についても国家公務員と同時に実施すること、B制度が実施されるまでの期間においても誠実に交渉することを再度強く求めた上で、「60有余年にわたって制約されてきた公務員の労働基本権を回復するという歴史的に大きな一歩であり、実現に向けお互いに努力していきたい」と、公務労協としても法案の成立に向け取り組む決意を述べ、この日の交渉を終えた。
以上