2011年度公務労協情報 52 2011年9月30日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

本日の人勧を受け、委員長クラスが給与勧告を実施しないことなど川端総務大臣に要請−9/30

 公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、人事院勧告・報告等が内閣・国会に提出されたことを受けて、本日16時15分から川端総務大臣交渉を実施し、@人事院勧告に基づく給与改定は実施しないこと、A地方公務員の給与については国公給与引下げの影響を遮断し、各自治体の労使交渉を尊重すること、B2013年度からの定年延長の実施に向け、法案策定と国会提出を速やかに行うことなどを求めた(別紙参照)。
 冒頭、棚村議長が次の通り要請の趣旨を説明した。
(1) 国家公務員の給与引下げ、地方公務員給与との関係、人事院勧告が出された場合の対応については、片山総務大臣との信頼関係に基づき、労使間でお互いに確認しているところであり、改めて繰り返さない。
(2) 本日午前中に、人事院が給与改定勧告と定年延長の意見の申出を行ったが、給与勧告は労使合意を蔑ろにするものとして、その内容を含め極めて遺憾だ。労使合意に基づく毅然とした対応を川端大臣にもお願いしたい。労使合意しっかり担保すべきだと考えており、大臣の見解を賜りたい。

 これに対して川端総務大臣は次の通り回答した。
(1) 政府は、本日、人事院勧告を受け取ったところであるが、総務省としては、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。
(2) 国家公務員の労働基本権が制約されている状況の下では、人事院勧告制度を尊重することが、従来の政府の基本姿勢である。
 一方で、先般、現行人事院勧告制度の下では極めて異例の対応として、自律的労使関係制度を先取る形で公務員連絡会と交渉し合意を経た上で、給与臨時特例法案を国会に提出し、審議をお願いしているところ。
(3) 本年度の人事院勧告については、このような経緯を重く受け止めた上で検討を進めてまいりたい。

 最後に棚村議長が「片山大臣との合意は微動だにしないとの考えであると、当然ではあるが受け止める。定年延長については、公務員の人事行政を所管する立場で、その実現に向け積極的に臨んでいただきたい」と要請したのに対し、川端大臣は「皆様の御意見は十分承った。いずれにせよ、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、早急に検討に着手したいと考えている」と回答したことから、これを確認しこの日の交渉を終えた。

(別紙)総務大臣宛要求書

2011年9月30日



総務大臣
  川 端 達 夫 殿

公務員労働組合連絡会
議 長  棚 村 博 美


人事院勧告及び意見の申出に関わる要求書


 常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力頂いていることに心から感謝申し上げます。
 さて、国家公務員の給与につきましては、昨年11月1日の「公務員の給与改定に関する取扱いについて」において、「次期通常国会に、自律的労使関係制度を措置するための法案を提出し、交渉を通じた給与改定の実現を図る。なお、その実現までの間においても、人件費を削減するための措置について検討し、必要な法案を次期通常国会から、順次、提出する」こととされ、本年5月13日に政府から、給与引下げの提案がありました。
 これに対し公務員連絡会は、政府自ら表明した「自律的労使関係制度を先取る形」での交渉に真摯に対応し、財政事情や大震災などわが国を取り巻く極めて厳しい環境の下、「日本の再生のために被災者・被災地とともに歩む」決意を持って、2013年度末までの間、月例給与を5〜10%、一時金を10%それぞれ引き下げることで合意し、国会に法案が提出されています。この労使交渉・合意に際し、政府は「人事院勧告制度は、本来労使交渉で給与額や勤務条件を決めるという原則が制約されていることに伴う代償措置である。今回、本来の姿を先取りした形で、交渉を行っており、そのことの意味は相当重い。労使交渉により給与改定が行われた場合には、それを踏まえて対応していきたい」と約束しています。また、政府は、地方公務員の給与について、財政上の措置を含め、国家公務員給与引下げの影響を遮断することを明確に確認したところです。
 この労使合意を踏まえ、公務員連絡会は人事院に対し、本年は給与改定勧告は必要がなく行わないよう要求してきたところです。しかし、人事院は本日、労使合意とその意義を無視する形で、月例給を899円、0.23%引下げるなどの給与改定勧告を強行しました。こうした経緯を踏まえ、われわれは政府に対し、労使合意における約束を踏まえ、この勧告を実施しないよう強く求めるものです。
 また、人事院は、定年延長を実施するための意見の申出を行いました。本格的な高齢化社会に移行していく中で、公務員労働者がその能力を十分に発揮し、わが国が直面している困難な諸課題について国民の期待に応えられるよう取り組んで行くためには、雇用と年金を接続する方法としては定年延長が最も相応しいと考えます。60歳超の勤務に対しては、給与水準が大幅引下げとなるなど公務員にとって厳しい内容が含まれていますが、定年延長は年金の支給繰り延べスケジュールに遅れることなく実現されなければなりません。
 政府におかれましては、これらのことを十分踏まえ、下記要求事項の実現に向けて最大限のご尽力をいただきますよう強く申し入れます。


1.国家公務員の給与については、政府が自律的労使関係制度を先取って行った労使交渉で合意し、給与を引き下げる法案が国会に提出されていることから、人事院勧告に基づく給与改定は実施しないこと。

2.地方公務員の給与については、財政上の措置を含め、国家公務員給与引下げの影響を遮断するという、総務大臣が政府を代表して示した回答を踏まえて対応することとし、各自治体の労使交渉を尊重すること。

3.雇用と年金を接続するため、人事院の意見の申出を踏まえ、2013年度から定年延長が実施できるよう、直ちに法案策定作業に着手し、速やかに必要な法案を国会に提出すること。
 また、退職手当や共済組合制度、定員の取扱いなど関連する事項については、公務員連絡会との十分な交渉・協議、合意に基づき、検討作業を進めること。

以上