2011年度公務労協情報 53 2011年10月3日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

民間の退職金等調査の実施に関わり人事院と交渉−10/3
−公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づき進めるよう求める−

 公務員連絡会は、本日11時30分から民間の企業年金及び退職金調査の実施に関わり人事院交渉を実施した。
 国家公務員等の退職手当については5年ごとに民間における支給状況を調査し、必要に応じて見直すこととされており、本年が調査を実施する年に当たることから、8月25日に政府から人事院に対し「民間の企業年金及び退職金の実態調査の実施」と「見解」を求める要請が行われた。本日の交渉は、政府からの要請を受けて調査を実施する人事院に対し、調査内容を確認するとともに、調査結果の公表や見解表明に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議、合意に基づいて進めるよう求めるべく行ったもの。交渉には、公務員連絡会からは石原専門委員長をはじめとする賃金・労働条件専門委員会交渉委員が出席し、人事院は平野職員団体審議官付参事官が対応した。

 冒頭、石原専門委員長が調査内容についての説明を求めたのに対し、平野参事官は以下の通り説明した。
(1) 退職給付制度等の調査について、総務大臣および財務大臣からの要請を受け、例年行っている勤務条件制度関係の民間調査と合わせて調査を実施する。
(2) 調査期間は、10月11日(火)から11月30日(水)。
(3) 調査対象企業は、常勤の従業員数50人以上の企業 約6,300社(調査対象母集団企業数 約35,700社)。
(4) 調査方法は、調査対象企業のうち約1,100社に対しては実地調査とし、約5,200社に対しては郵送による調査を行う。
(5) 調査内容については、平成18年調査をベースに、必要な調査項目を追加する。具体的には、定年制、退職給付(退職一時金・企業年金)制度、早期退職優遇制度の状況を調査するともに、今回、昨年6月22日に閣議決定された退職管理基本方針に盛り込まれた希望退職制度の状況について新たに追加し調査する。

 平野参事官の説明に対して公務員連絡会側は、以下の通り質した。
(1) 企業規模50人以上の調査では、精確な調査を行う上ではやはり問題があるのではないか。また、実地調査は1,100社とのことであるが、調査の正確性、客観性を確保するために実地調査を増やすなど出来るだけ確実に調査してもらいたい。
(2) 退職に伴って給付されるものすべてをもれなく把握することが大切であり、調査項目を見る限り「退職給付制度に基づかない、退職に伴う補助・給付」を含めて調査することにしているが、もれがないかどうかきちんと点検してもらいたい。
(3) 民調を実施しなかった東北3県も調査の対象となるのか。
(4) 調査期間は、今月11日から来月いっぱいとのことだが、その後の集計・分析、政府への報告・見解表明についてはどのようなスケジュールを想定しているのか。

 これに対し、平野参事官は以下の通り回答した。
(1) 平成18年調査においては、実地調査が1,115社、郵送調査が5,117社であり、今回の調査はほとんど変わらない。またこの調査は、給与と違い制度調査の性格が強く、郵送においても給与ほどの拒絶感はなく協力してもらえる調査であり、統計上の回収率においては問題はないと考えている。
(2) きちっとした調査になるよう努める。
(3) 産業別企業別による層化無作為抽出調査を行うこととしており、東北3県の企業についても調べる。
(4) 今後のスケジュールであるが、平成18年調査では、調査を開始してから、集計・分析し、結果を報告するまで5ヵ月を要している。今回の調査でも、前回調査と同じような期間を想定して、政府への調査結果の報告・見解表明というスケジュール観である。

 平野参事官の回答に対し、石原専門委員長が「特に報道されているように公的年金制度の一元化が具体化していくということになると共済年金の3階部分をどうしていくかという議論も行う必要が出てくる可能性がある。そういう意味では調査結果に基づいて、どういう見解を述べるかは極めて重要である」と述べた上で、調査結果の集計、及びその公表の仕方、人事院として見解を表明する場合にはその内容などについて、公務員連絡会と前広に交渉、協議を行い、合意に基づいて進めるよう求めたのに対し、平野参事官は「承知した」と回答したことから、これを確認しこの日の交渉を終えた。

以上