2011年度公務労協情報 56 2011年10月7日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

委員長クラスが給与勧告を実施しないことを小宮山厚労大臣に要請−10/7

 公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、9月30日に人事院勧告・報告等が内閣・国会に提出されたことを受けて、7日13時15分から小宮山厚生労働大臣交渉を実施し、人事院勧告に基づく給与改定は実施しないことを求めた(別紙参照)。

 冒頭、棚村議長が「総人件費2割削減に関して、われわれと片山前総務大臣との信頼関係のもとで交渉合意をしているにもかかわらず、人事院勧告が行われたことは遺憾である。片山前総務大臣との交渉とその経過を踏まえて、人事院勧告を実施しないよう給与関係閣僚会議の中で毅然としたご決断をお願いしたい」と要請した。
 これに対して小宮山厚生労働大臣は「今年の人事院勧告が6月に提出された国家公務員の給与に関する臨時特例法案との関係でなかなか例年通りにはいかないという事情があることについては、主には総務省と財務省と進める話ではあるが、私としても認識は持っている」と回答した。

 また、棚村議長は、給与臨時特例法案と協約締結権を盛り込んだ国家公務員制度改革関連四法案の関係について、「両法案をセットで進めていくということは5月の片山前大臣との交渉で確認している。ILOから協約締結権を付与するよう再三勧告を受けていること等も考慮し、両法案が同時に動くよう尽力いただきたい」と述べた。
 これに対し、小宮山大臣から「両法案の取扱いは工夫しないといけない。担当大臣と連携と取りながら進めていきたい。最大の問題は国会のねじれにあるが、私としては私の立場でしっかりと対応したい」との回答があり、この日の要請を終えた。

以上



(別紙)厚生労働大臣宛要求書

2011年10月7日


厚生労働大臣
  小宮山 洋子 殿

公務員労働組合連絡会
議 長  棚 村 博 美


人事院勧告及び意見の申出に関わる要求書


 常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力頂いていることに心から感謝申し上げます。
 さて、国家公務員の給与につきましては、昨年11月1日の「公務員の給与改定に関する取扱いについて」において、「次期通常国会に、自律的労使関係制度を措置するための法案を提出し、交渉を通じた給与改定の実現を図る。なお、その実現までの間においても、人件費を削減するための措置について検討し、必要な法案を次期通常国会から、順次、提出する」こととされ、本年5月13日に政府から、給与引下げの提案がありました。
 これに対し公務員連絡会は、政府自ら表明した「自律的労使関係制度を先取る形」での交渉に真摯に対応し、財政事情や大震災などわが国を取り巻く極めて厳しい環境の下、「日本の再生のために被災者・被災地とともに歩む」決意を持って、2013年度末までの間、月例給与を5〜10%、一時金を10%それぞれ引き下げることで合意し、国会に法案が提出されています。この労使交渉・合意に際し、政府は「人事院勧告制度は、本来労使交渉で給与額や勤務条件を決めるという原則が制約されていることに伴う代償措置である。今回、本来の姿を先取りした形で、交渉を行っており、そのことの意味は相当重い。労使交渉により給与改定が行われた場合には、それを踏まえて対応していきたい」と約束しています。また、政府は、地方公務員の給与について、財政上の措置を含め、国家公務員給与引下げの影響を遮断することを明確に確認したところです。
 この労使合意を踏まえ、公務員連絡会は人事院に対し、本年は給与改定勧告は必要がなく行わないよう要求してきたところです。しかし、人事院は9月30日に、労使合意とその意義を無視する形で、月例給を899円、0.23%引き下げるなどの給与改定勧告を強行しました。こうした経緯を踏まえ、われわれは政府に対し、労使合意における約束を踏まえ、この勧告を実施しないよう強く求めるものです。
 また、人事院は、定年延長を実施するための意見の申出を行いました。本格的な高齢化社会に移行していく中で、公務員労働者がその能力を十分に発揮し、わが国が直面している困難な諸課題について国民の期待に応えられるよう取り組んで行くためには、雇用と年金を接続する方法としては定年延長が最も相応しいと考えます。60歳超の勤務に対しては、給与水準が大幅引下げとなるなど公務員にとって厳しい内容が含まれていますが、定年延長は年金の支給繰り延べスケジュールに遅れることなく実現されなければなりません。
 政府におかれましては、これらのことを十分踏まえ、下記要求事項の実現に向けて最大限のご尽力をいただきますよう強く申し入れます。


 国家公務員の給与については、政府が自律的労使関係制度を先取って行った労使交渉で合意し、給与を引き下げる法案が国会に提出されていることから、人事院勧告に基づく給与改定は実施しないこと。

以上