26日、国家公務員制度改革推進本部の「国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会」(以下「争議懇」という)第1回会議が、内閣府地下1階講堂で開催された。争議懇は、@自律的労使関係を構築する上での争議権の意義A争議権を付与する場合における公務員の職務の公共性と争議権を調和させるための規制措置などを検討するために、蓮舫公務員制度改革担当大臣の下に有識者を集めて設置されたもの。労働組合関係では、丸山建藏元連合副会長(元国公連合委員長)が参加している(開催の趣旨及び委員については別紙参照)。
会議には、政府側から蓮舫公務員制度改革担当大臣、園田康博政務官が出席した。
冒頭、蓮舫大臣は、「11月1日、自律的労使関係制度を措置する法案を次期通常国会に提出することを閣議決定した。労働基本権付与の究極的な目的は、国民のニーズに合致した効率的で質の高い行政サービスをどうやって実現していけるのかであり、そのための制度設計が重要だ。この懇談会において労働基本権の付与及び争議権の在り方について、委員の皆さんの知見を最大限活用してもらって闊達な議論をお願いしたい。この懇談会の結果を踏まえ、最終的には政治で判断し法案を提出するが、早期に一定の取りまとめをしていただきたい」と挨拶した。
続いて、今野浩一郎学習院大学経済学部教授を座長に、飯尾潤政策研究大学院大学教授を座長代理に選出、会議は傍聴により公開することなどを確認し、事務局が公務員の労働基本権の現状やこれまでの公務員の争議権に関する議論の論点等について資料説明を行い、説明に対する質問等を含めてフリーディスカッションに移った。
議論の中で、丸山委員は「これまでは労働基本権の代償措置である人事院勧告制度が機能してきた。しかし、人事院勧告制度の下では、労使双方が第三者機関である人事院に依拠しすぎてきた実態があった。公務員制度改革は幅が広く、能力・実績主義や天下り規制などが先行しているが、労働基本権を付与し、自律的労使関係制度の確立が必要だ。争議権の付与については、付与した上で、公務の特殊性に応じたありか方を検討していけばよいのではないか」との考えを表明した。
そのほかの委員からは、争議権付与についての肯定、否定や議論のすすめ方などについて意見が述べられ、最後に今野座長が「争議権付与は給与引下げが目的との政治的な話もあるが、活発な議論を行い論理的に問題整理をし、争議懇としてのベストな結論をめざしたい」とまとめ、第1回会議を締めくくった。
公務労協は、労使が対等平等な交渉に臨むためには、争議権の付与が必要であるという基本姿勢にたち、自律的労使関係制度の実現に向けて、争議懇対策を強めていくことにしている。
(別紙1)
国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会について
1 開催の趣旨
国家公務員の労働基本権、特に争議権の在り方について検討するため、有識者で構成する「国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会」を開催する。
2 検討内容
@ 自律的労使関係を構築する上での争議権の意義
A 争議権を付与する場合において、公務員の職務の公共性と争議権を調和させるための規制措置
B その他
3 会議の庶務
国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会の庶務は、国家公務員制度改革推進本部事務局が処理するものとする。
(別紙2)
国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会 委員名簿
飯尾 潤 政策研究大学院大学教授
石原 信雄 地方自治研究機構会長
今野 浩一郎 学習院大学経済学部経営学科教授
櫻井 敬子 学習院大学法学部法学科教授
原田 清志 日本電信電話株式会社 総務部門 労働担当部長
丸山 建藏 元日本労働組合総連合会副会長
山川 隆一 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
吉崎 達彦 株式会社双日総合研究所取締役副所長
与良 正男 毎日新聞社論説副委員長
渡辺 章 専修大学大学院法務研究科教授
※ 敬称略、五十音順
以上