2012年度公務労協情報 14 2012年2月27日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

民間退職給付制度等の調査に関わり人事院交渉−2/27

 公務員連絡会は、本日13時30分から民間企業の退職給付制度等の調査に関わり人事院給与局長交渉を実施した。本日の交渉は、昨年秋に人事院が民間の企業年金及び退職金調査を実施するに当たり、公務員連絡会が調査結果の集計やその公表の仕方、人事院として見解表明する場合にはその内容などについて、前広に交渉、協議を行い、合意に基づいて進めるよう求めてきたことを踏まえ実施したもの。交渉には、公務員連絡会から吉澤事務局長をはじめ書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 まず、吉澤事務局長から「今回の民間企業の退職給付制度等の調査については、昨年11月に終了し、いよいよという段階だと認識している。本日は調査結果内容や状況等についてお伺いしたい」と、調査結果の公表と見解表明に向けた検討状況を質した。
 これに対し、尾西給与局長は以下の通り回答した。
(1) 平成23年8月、国家公務員の退職給付制度を所管している総務大臣及び財務大臣から人事院総裁に対し、民間企業における企業年金及び退職金の実態調査の実施と見解の表明について要請があった。
(2) これを受けて、人事院としては、職員の給与等を担当する専門機関として、平成18年に内閣からの要請を受けて調査を実施した経緯があることなどを踏まえ、平成18年と同様に退職給付(企業年金及び退職一時金)の調査を行ったところである。
(3) 現時点での状況についてお答えする。昨年11月末に調査期間が終了し、現在、調査の集計の整理・分析を行っているところである。3月上旬を目途に総務大臣、財務大臣に調査結果と見解を示せるよう作業を急いでいる。
(4) 民間企業の退職給付の調査については、55%を超える完了率となったことから、十分信頼できる調査結果が得られたものと考えている。
(5) 調査に当たっては、平成18年調査と同様、企業規模50人以上の企業を対象とし、退職給付支給額については、勤続20年以上で退職した事務・技術関係職種の常勤従業員を対象としている。 (6) 退職給付の官民比較に当たっては、退職事由別、勤続年数別に退職給付額を対比させ、国家公務員ウエイトでラスパイレス比較を行っている。
(7) 比較の結果については、鋭意集計中であり、まだ申し上げられる状況にはないが、非常に厳しい状況であると考えていただきたい。

 尾西給与局長の回答に対して吉澤事務局長は、以下の通り質した。
(1) 政治的には極めてデリケートな問題だと承知しているが、最終段階であるにも関わらず、「非常に厳しい」という抽象的な話だけで、具体的な数字が示されないのはいかがなものか。具体的に何がどう厳しいのか、踏み込んで説明してもらいたい。
(2) 意見の表明については、退職手当で対応すべきか、年金で対応すべきか、とくに職域年金が政治的に焦点になっている中、人事院はどのような意見の表明を考えているのか。

 これに対し尾西給与局長は、以下の通り回答した。
(1) 日本経済においては、リーマンショックはもとより、デフレ状態も続いており、企業経営が厳しくなり、退職時給付にも影響を与えている状況にある。それが今回の厳しい集計状況になっていると認識している。
(2) 具体的にどのような意見表明を行うかは、現在検討中であるが、年金を見直すのか、あるいは退職手当なのかなど具体的な意見を申す立場にはない。この調査は、総務大臣、財務大臣の要請を受けて行ったもので、具体的には制度官庁がその調査結果を踏まえて検討していくものである。

 これに対し、公務員連絡会側は@年金や退職一時金の意義は異なるが、労働条件であり、その見直しは公務員の生涯設計に重大な影響を与える。労使交渉で決める仕組みにない今日において、人事院として調査結果を踏まえ、言うべきことはきちんと言ってもらいたい、A調査結果は、科学的・客観的調査に基づくものであることを政治の場でも主張していただきたい、B退職一時金のみならず年金も含めて民間均衡を図るという基本姿勢を明確に示すべき、C過去の見直し例に照らして、見直しによる経過措置が必要な場合は、その旨しっかり意見表明していただきたい、と強くと訴えた。
 これに対し、尾西給与局長は「調査の合理性についてはしっかり説明していきたい。また意見の表明については、本日皆さんからいただいた意見を踏まえ、今後、人事院としてどのようなことが発信できるか検討してみたい」と回答したことから、最後に吉澤事務局長が、「極めて重要な事項なので、本日われわれが指摘した事項をしっかり踏まえ、調査結果の公表や意見の表明を行うよう重ねて要請しておく」と再度強調し、本日の交渉を終えた。

以上