公務労協は、本日11時40分から、退職手当の見直しについて大島総務副大臣と交渉を実施した。公務労協側は吉澤事務局長、各構成組織書記長が参加した。
冒頭、吉澤事務局長は、別紙要求書を提出し、以下の通り述べた。
(1) 退職給付に関わって、3月7日に人事院の調査結果及び見解が明らかにされ、それ以降政府内において有識者会議等の対応がなされたが、私どもとしてはそれは使用者である政府内での問題であると承知している。一方、人事院の調査結果から既に3ヶ月が経過し、先週1日に田中人事・恩給局長との間で交渉を始めるにあたっての環境整備をさせていただいたことも踏まえ、要求書を提出する。
要求事項3点について、私どもの問題意識を申し述べる。
(2) 1点目は、改正案の提出にあたってはわれわれとの合意の上での対応だ。この点については、特に昨年5月23日の国家公務員の給与の臨時特例に関わって、当時の片山総務大臣との交渉の最終場面において、大臣から「新制度(自律的労使関係制度)導入までの間にあっても、労使の交渉というものが本来的な姿であることを踏まえ対応していきたい」との明確かつ揺るぎないメッセージがあった。当然、退手の見直しについてもこれを前提として対応されたい。また、この間の公務員制度改革、総人件費問題などの全体的問題、さらに連合を含めた私たちとの関係を踏まえたときに、地方公務員の労働基本権付与に関わる法案よりも退職手当法案が先に出ていくということは断じてあってはならないことを強調しておく。
(3) 2点目、官民較差解消の措置を行う場合には、その較差の大きさを鑑みて、次回の調査時期までに較差解消を完成するような経過措置を求めておきたい。
(4) 3点目の早期退職のインセンティブを付与する措置の関係については、その制度化の意図、目的が不明だ。国家公務員制度改革基本法において明確に規定されている「定年まで勤務できる環境整備」との整合性、総人件費に与える影響、さらには雇用と年金の接続の課題等を考えたときに、なぜ早く辞める措置をとる必然があるのか意味が不明である。
(5)これら3点について、今後、交渉協議を十分に積み上げ、然るべき時期に川端大臣から直接回答されたい。
これを受けて、大島副大臣は、「皆さんの要求のご趣旨は承った。本日いただいた要求書については、よく検討し、皆さんとも真摯に話合いながら、然るべき時期に回答する」と答えた。
最後に、吉澤事務局長は「重ねて真摯な対応を求める」と要請し、本日の交渉を締めくくった。
(別紙)
2012年6月8日
総務大臣
川 端 達 夫 殿
公務公共サービス労働組合協議会
議 長 加 藤 良 輔
退職手当の見直し等に関わる要求書
貴職の公務員の人事行政に関する日頃のご尽力に敬意を表します。
さて、過日、貴職から「共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議」の「中間的な議論の整理」を踏まえ、退職手当の見直しに係る立案作業を進めるとともに職員団体との話し合いを開始する旨の閣議発言がなされ、公務労協に対し人事・恩給局長から説明があったところです。
貴職が所掌する退職手当は、公務・公共部門に働く労働者の退職後の生活設計の根幹をなすものであり、その水準見直しは労働条件の大きな変更となります。したがって、その見直し内容についてはわれわれと十分交渉・協議、合意すべきものと考えます。
つきましては、公務労協としての要求を提出しますので、下記事項の実現に向け最大限努力されるよう、強く求めます。
記
1.退職手当改正法案については、われわれと合意した上で国会に提出すること。
2.退職手当の水準引下げを行う場合の経過措置については、高齢公務員の生活設計や期待権等を考慮し、過去の経緯・実績を踏まえた十分な内容とすること。とりわけ、今回の官民較差が従来にない大きな額であり、退職者の生活に与える影響が極めて重いことや国家公務員給与の臨時特例減額が実施されていることを踏まえること。
3.早期退職にインセンティブを付与する措置については、「希望」に名を借りた退職強要としないことを基本に据え、慎重に検討することとし、再就職を支援するための措置を含め、われわれと十分交渉・協議し、合意すること。
以上