公務労協委員長クラス交渉委員は、本日17時25分から総務省内で、国家公務員の退職手当の見直しについて、川端総務大臣と交渉を行った。この交渉は、6月8日に大島総務副大臣に退職手当の見直し等をめぐり要求書を提出し、7月23日に人事・恩給局長との交渉を行ってきたことを受けて、総務大臣からの最終的な回答を引き出すために行ったもの。
冒頭、川端総務大臣は以下の通り述べた。
(1) 国家公務員の退職手当の見直しについては、退職給付における官民較差402万6千円の全額を退職手当の引下げにより解消することとして、皆様からの御意見も承りながら具体的な検討を進めてきたところであるが、本日は、その改定方針をお示しする。
(2) 官民の支給水準の均衡を図るために設けられている調整率を、現行の「104/100」から「87/100」に引下げることとする。なお、調整率は、退職理由及び勤続年数にかかわらず、全ての退職者に適用する。
この措置は、平成25年1月1日から実施するが、平成25年9月30日までは「98/100」、26年6月30日までは「92/100」と、段階的に行うこととする。
今回の段階的引下げ措置は、従来よりも大変厳しい内容となっているが、平成22年度の調査結果であることから、できる限り早期に解消したいと考えたところであり、皆様には是非とも御理解いただきたい。
(3) 再就職あっせんの禁止等に伴い在職期間が長期化している状況等を踏まえ、年齢別構成の適正化を通じた組織活力の維持等を図る観点から、「早期退職募集制度」を導入する。
募集に応じて認定された退職者については、官側の都合による退職として退職手当を算定するとともに、現行の定年前早期退職特例措置の内容を拡充し、定年前15年以内に退職する勤続20年以上の者にあっては、定年前1年につき最大3%の割増を適用する。
(4) 上記の措置に併せ、公務においても、民間の再就職支援会社を活用した再就職支援を行うなどの方策について検討し、早急に実施に移す。
(5) 以上の方針については、明日の閣議において決定されるものと考えている。
給与減額支給措置がなされている中、過去に例のない大幅な引下げとなるが、一方で、退職給付の支給水準については、広く国民の理解と納得を得ることが重要であり、今回の方針については、何卒、御理解願いたい。
これを受けて、加藤議長は以下の通り質した。
(1) ただいま、川端大臣から回答をいただいた。
提案のあった退職手当の402.6万円の引下げについては、官民較差に基づくものとはいえ、公務員労働者の退職後の生活や生涯生活設計に極めて大きな影響を及ぼすものであることを、まずは川端大臣にしっかりと認識してもらいたい。
(2) その上で、実施時期及び経過措置については、来年1月から始めて9か月間隔で3段階で引き下げるという回答は、われわれの主張を踏まえ最低限の配慮を、大臣が決断されたものとして受け止めたい。
(3) また、早期退職募集制度については、事務レベルでも確認をしてきたが、改めて職員に強制することがあってはならないことを大臣にも申し上げておきたい。
(4) ところで、事務レベルでも要請したように、今後の民間退職給付の調査や公務との比較方法等について、国民が納得するとともに、退職手当制度が安定的に運営されるよう、ルールを明確にしていく必要があると考えており、われわれと話し合いながら検討を進めてもらいたい。
これに対し、川端総務大臣は「皆様の御意見は承った。今後の官民比較の調査頻度等については、更なる改善の必要性について検討し、納得性、透明性をより高める見地から、次回の調査までにはできる限り明確化する必要があると考えている。その際には、皆様の御意見もしっかり伺ってまいりたい」と回答した。
最後に、加藤議長は「われわれは、退職手当について重大な勤務条件として総務省との間で交渉・協議を行ってきたところであり、今日の回答は公務を取り巻く厳しい情勢の下で、この間の交渉・協議の到達点と受け止める。しかし、国家公務員の給与改定・臨時特例法が施行され、給与が減額されている中にあって、国家公務員制度改革関連四法案の国会審議が膠着状態にあり、地方公務員の労働関係法案は、いまだ国会に提出されていないことは、極めて遺憾なことである。退職手当法案の国会提出に向けては、これらの課題の動向を見極めながら、対応していくこととするので、総務大臣のみならず、政府が一体となって、かつ全力で努力してもらいたい」と要請し、本日の交渉を終えた。
以上