人事院は本日13時に、内閣と国会に対して@月例給・一時金については改定を見送ること、A50歳台後半層における給与水準の上昇を抑制するため、昇給・昇格制度を見直すこと、B国家公務員制度改革や高齢期における職員の雇用問題、人事行政上の諸課題への取組みなどに関して報告するとともに、C55歳を超える職員は標準の勤務成績では昇給停止とする給与法改正勧告を行った。
公務員連絡会は、これを受けて、@国家公務員給与については、本年の月例給の官民較差が小さく、給与改定・臨時特例法に基づく減額措置が実施されているもとにおいて、改定見送りを判断したことは当然のことである、A高齢層職員における昇給・昇格制度の見直しについては、公務員連絡会との十分な交渉・協議を行わず、拙速かつ一方的に高齢層職員の給与引下げを強行しようとするもので遺憾なことと言わざるを得ない、B本来あるべき自律的労使関係を実現すべく関連法案の成立に向け全力を挙げるとともに、地方公務員の労働関係法案の早期国会提出に全力を尽くしていく、などを内容とする声明(資料1)を発した。
また、代表者会議で、本日の人事院勧告等を踏まえ、@全職場での時間外職場集会を中心とした第2次全国統一行動を9日を中心に実施すること、A政府に対し(ア)国家公務員の給与については、昨年の労使合意等にもとづいて臨時特例減額が実施されていることを踏まえて対応すること(イ)地方公務員の給与については、引き続き、地方公務員への国家公務員給与削減の影響を遮断することなどを要求し、その実現を迫っていくこと、などを確認した。
なお、連合においても2012人事院勧告について、資料2の通り事務局長談話を発している。
資料1−公務員連絡会の声明
声 明
(1) 人事院は、本日、官民較差がマイナス273円、同0.07%と小さいこと、給与改定・臨時特例法に基づく臨時特例減額が行われ、民間給与を7.67%下回っていることを勘案し、月例給を改定せず、一時金については民間と均衡していること等から改定しないとする一方、55歳を超える職員は標準の勤務成績では昇給停止とする給与法改正勧告と、高位号俸から昇格した場合の俸給月額の増加額を来年1月から縮減するとの報告を行った。
(2) 公務員連絡会は、本年夏季の取組みに当たって、@国家公務員の給与については「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」を踏まえて対処すること、A50歳台職員の昇給、昇格のあり方の検討については、十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて進めること、B実効性ある超過勤務縮減策を実行すること、C男女平等の公務職場を実現すること、Dメンタルヘルス対策を強化すること、E非常勤職員の処遇と制度を改善すること、などを重点要求課題に設定し、人事院交渉を強化し、公共サービスキャンペーン、公務員制度改革の取組みとも連携した闘いを進めてきた。
(3) 人事院が、本年の月例給与の官民較差が小さく改定する必要がなく、給与改定・臨時特例法に基づく減額措置が実施され、民間給与を7.67%下回っているもとにおいて、改定見送りを判断したことは、当然のことである。
また、一時金の据え置きについて、昨年は、人事院が東北3県について調査しなかったことを理由に引上げ改定を見送ったことは極めて重大な問題であったが、本年は、この夏の民間の一時金支給実態が厳しく、公務の支給月数と均衡する結果になったものと言える。
他方、55歳を超える職員は標準の成績では昇給しないこととする給与法改正勧告と、人事院規則を改正し高位号俸からの昇格時俸給増加額を縮減するとの報告を行ったことは、高齢層職員の給与が給与改定・臨時特例法により減額されている中にあって、公務員連絡会との十分な交渉・協議を行わず、来年1月から、拙速かつ一方的に高齢層職員の給与引下げを強行しようとするものであり、遺憾なことと言わざるを得ない。
公務をめぐる厳しい情勢のもとで、その他の労働諸条件の改善について、具体的な措置を講ずるには至らなかったことは残念なことである。
いずれにしても国家公務員給与については、2014年3月までは平均7.8%の臨時特例減額が実施されていることから、政府に対しては、これを踏まえた対応を求めるものである。
(4) 地方公務員の給与についての各人事委員会の勧告はこれからであり、あるべき地方公務員の賃金を勧告するよう取組みを強化するとともに、引き続き、財政上の措置を含め地方公務員への国家公務員給与削減の影響を遮断するよう取り組んでいく必要がある。
また、独立行政法人、政府関係法人等の闘いにおいても統一闘争態勢を堅持した取組みを進めることとする。
さらに、雇用と年金の接続、職域年金廃止後の退職給付のあり方、地域主権改革と国の出先機関改革、独立行政法人改革、そして来年度予算の編成など、公務労働者の雇用や労働条件を直接左右する重要な課題が山積している。
われわれは、民主党を中心とした政権との間において、引き続き緊張と信頼に基づく労使関係を追求するとともに、雇用と労働条件を確保する立場で積極的な取組みを推進する決意である。
(5) 昨年6月に労使合意に基づいて国家公務員給与を削減するための法案とともに、自律的労使関係制度を確立するための国家公務員制度改革関連四法案が国会に提出され、本年6月1日にようやく衆議院本会議で審議入りしたが、その後は膠着状態となっている。また、地方公務員の労働関係法案はいまだ国会提出に至っていない。
社会保障と税の一体改革をめぐって、政治情勢は混迷の度を深めており、一切の予断が許されない情勢が継続している。
公務員連絡会としては、本来あるべき自律的労使関係を実現していくため、公務労協・連合に結集し、これらの課題の実現に全力を尽くしていく。また、公共サービス基本法の活用と、公共サービス基本条例・公契約条例制定運動を中心に、国民生活の安心と安全を確保する公共サービスの再構築に向けた取組みを進めていくこととする。
2012年8月8日
公務員労働組合連絡会
資料2−連合事務局長談話
2012年8月8日
平成24年人事院勧告についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行
1. 人事院は、8月8日、本年度の国家公務員の月例給・一時金の据え置き及び50歳台後半層における給与水準抑制のための昇給・昇格制度の見直しについて、政府と国会に勧告・報告を行った。
国家公務員給与については、現在、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(以下、給与改定・臨時特例法)に基づく減額措置後の月例給が民間給与を7.67%下回っているところであり、政府にはこの措置を踏まえた対応を求める。
2. 給与の据え置きについては、官民較差が僅少・均衡である実態及び給与改定・臨時特例法による減額措置の実施を踏まえたものであり、当然の判断である。一方、50歳台後半層の昇給・昇格制度については、減額措置後の官民の給与差が考慮されなければならない。
3. 国家公務員制度改革については、国家公務員の給与引き下げのみが先行実施され、国家公務員制度改革関連四法案は未だ審議中である。また、8月7日には国家公務員の退職手当の支給水準引下げ等に関する閣議決定が行われたところである。
政府は、今回の勧告に関して、公務労働をめぐるこれらの状況や減額措置が実施されていることを踏まえた対応を行う必要がある。また、地方公務員の給与については、国家公務員の給与削減の影響が及ばないよう、各自治体における労使交渉を尊重すべきである。
4. 連合は、民主的公務員制度の確立に向け、引き続き、国家公務員制度関連四法案の速やかな成立ととともに、消防職員への団結権付与を含む地方公務員制度改革法案の早期提出・成立に全力で取り組む。
以 上