公務員連絡会地公部会は、9日10時から、2012年度地方公務員の給与勧告等について、全国人事委員会連合会に対する要請を行った。
公務員連絡会側は、岡ア地公部会議長(全水道委員長)、氏家企画調整代表(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長、地公部会幹事が出席し、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
冒頭、岡ア地公部会議長は、要請書(別紙)を手交し、以下の通り要請の趣旨を述べた。
現在、地方公務員を巡っては、厳しい定員削減政策、独自の給与減額措置が多くの自治体で実施されている中、地方自治体の公共サービスの向上をはかるため、職員は懸命な努力を続けている。地方公務員の労働基本権制約の代償機関としての人事委員会が十分に機能することが求められている。人事院は、昨日、月例給及び一時金を据え置く一方、55歳を超える職員については標準の成績では昇給しないとする給与法改正勧告などを行った。各人事委員会は、この勧告を参考に検討を進めるにあたっては、地方公務員が置かれている現状を十分踏まえて検討頂くよう要請する。
続いて、藤川地公部会事務局長が要請書の主な課題について説明し、全人連としての努力を求めた。
こうした地公部会の要請に対し、関谷全人連会長は以下の通り回答した。
<全人連会長回答>
平成24年8月9日
ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
早速、役員府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えいたします。
さて、8月8日に、人事院勧告が行われましたので、改めてその概要について申し上げます。
国家公務員について、特例による給与減額支給措置が講じられている中での勧告となりましたが、本年の民間給与との較差は、減額前の給与額を基準とした場合で273円、率にして0.07%、公務員給与が民間給与を上回るとしております。
特別給につきましては、公務の支給月数は民間の支給実績と均衡しているとしております。
こうした較差等の状況を踏まえ、人事院は、月例給、特別給ともに改定は行わないとしております。
また、本年は、50歳台後半層を対象とした昇給・昇格制度の改正について勧告が行われております。
このほか、公務員制度改革等に関する報告が行われ、協約締結権付与や人事行政の公正の確保に関する論点が提示されているほか、新たな再任用に関する課題と取組など、高齢期における職員の雇用問題に関して、人事院の基本的な認識が示されております。
人事院勧告につきましては、必ずしも、これに従うべきものではございませんが、今後、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。
現在、各人事委員会では、勧告へ向け、鋭意作業を進めているところです。
今後は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの人事委員会が、地域の実情を踏まえつつ、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
公務員の給与を取り巻く環境は、厳しい状況にありますが、人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしてまいります。
全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております
(別紙)全人連への要請書
2012年8月9日
全国人事委員会連合会
会 長 関 谷 保 夫 様
公務員連絡会地方公務員部会
議 長 岡 ア 徹
2012年度地方公務員の給与勧告等に関する要請書
各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
地方公務員を巡っては、厳しい定員純減政策のもと、今日の複雑化、高度化した行政需要に対し、地方自治体における公共サービスの向上をはかるため、職員は懸命な努力を続けています。しかし、地方自治体においては、独自の給与減額措置や長時間労働が常態化しており、地方公務員の労働基本権制約の代償機関としての人事委員会が十分に機能することが求められています。
人事院は、8月8日、月例給及び一時金を据え置く一方、55歳を超える職員については標準の成績では昇給しないとする給与法改正勧告と、高齢者の昇格時昇給額を来年1月から引き下げるとの報告を行いました。各人事委員会は、この勧告を参考に検討を進められることと思いますが、その際には地方公務員が置かれている現状を十分踏まえ、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。
記
1.民間賃金実態に基づき公民較差を精確に把握し、人事委員会勧告制度の下で地方公務員労働者のあるべき賃金を勧告すること。当面、現行の比較企業規模を堅持すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。
2.50歳台職員の給与見直しに関わっては、地方公務員における昇給・昇格実態は国とは実情が異なることを踏まえた対応を行うこと。
3.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。
4.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。
5.臨時・非常勤職員の処遇改善に関わって、人事委員会として可能な対応を行うこと。
6.公立学校教職員の給与の見直しに当たって、各人事委員会が参考としうるモデル給料表等を作成する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。
7.新たな高齢者雇用施策については、65歳までの段階的定年延長を実現するため、直ちに意見の申出を行うこと。
8.公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。
(1) 実効ある男女共通の超過勤務規制のための積極的施策の推進
(2) 年次有給休暇取得の促進
(3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策の構築
9.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休業制度を確立すること。とくに、家族看護休暇、及びリフレッシュ休暇・有給教育休暇(リカレント休暇)の新設、夏季休暇日数の拡大をはかること。
10.育児休業、及び育児のための短時間勤務等について、臨時・非常勤職員を含めて制度を十分に活用できるよう、引き続き周知と取得しやすい職場環境の整備を図るとともに、「新成長戦略」(2010年6月18日閣議決定)に基づき、2020年までに男性の育児休業取得率13%を達成できるよう、実効ある具体的促進策を講じること。
11.セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントに対する実効ある防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。
12.公務職場における障がい者、外国人採用の促進をはかるため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。
以 上