公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、人事院勧告・報告が8日に内閣・国会に提出されたことを受けて、総務大臣および官房長官にそれぞれ要求書(資料参照)を提出した。
総務省への要求提出は、川端総務大臣に対して、9日16時過ぎから、棚村議長ほか委員長クラス交渉委員が出席して行われた。藤村官房長官への要求提出は、10日11時から首相官邸で行い、棚村議長、安岡副議長、吉澤事務局長が臨んだ。
要求書提出にあたり、棚村議長が「人事院が給与改定を見送ったことは、臨時特例減額をも勘案した判断であり当然なことであるが、昇給・昇格制度の見直しは、臨時特例減額中に人事院がわれわれと十分交渉せずに、来年1月から、拙速かつ一方的に高齢層職員の給与引下げを強行するものであり、遺憾である」と述べ、@国家公務員の給与については、昨年の5月23日の当時の片山総務大臣との交渉における合意や人勧による給与水準の引下げ幅より厳しい給与減額支給措置により人勧を実施しないこととした10月28日の「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(閣議決定)を踏まえて対応すること、A地方公務員の給与については、引き続き、地方公務員への国家公務員給与削減の影響を遮断すること、を強く求めた。
公務員連絡会の要求に対する川端総務大臣、藤村官房長官の回答は以下の通り。
<川端総務大臣の回答>
(1) 政府は、昨日、人事院勧告を受け取ったところであるが、総務省としては、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。
(2) 本年度の人事院勧告の取扱いについては、国家公務員の労働基本権がなお制約されている現行制度の下においては人事院勧告制度を尊重することが従来の基本姿勢である一方、本年4月から給与改定・臨時特例法が施行されていることも踏まえて検討する必要がある。
(3) いずれにせよ、政府としての対応については、給与関係閣僚会議において、検討を進めてまいりたい。政府は、本日、人事院勧告を受け取ったところであるが、総務省としては、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。
<藤村官房長官の回答>
(1) 本日、閣議の前に給与関係閣僚会議を開催した。会議では、何か結論を出したということではなく、さまざまな情勢や事情を考えながら今後さらに検討を進めていくことを確認した。
(2) 本年度の人事院勧告の取扱いについては、国家公務員の労働基本権がなお制約されている現行制度の下においては人事院勧告制度を尊重することが従来からの基本姿勢である一方、国権の最高機関である国会で決定した給与改定・臨時特例法が施行されている現状を考えながら今後検討を進めていく。
(3) 地方公務員の給与については、本日の給与関係閣僚会議で総務大臣からも発言があったが、地方公共団体においては、自主的かつ適切に対応されるものであり、地方公務員法及び給与改定・臨時特例法の趣旨を踏まえて、国家公務員の給与引下げと同様の引下げを地方公共団体に強制することは考えていない。
なお、藤村官房長官の回答にもある通り、政府は、本日朝、給与関係閣僚会議を開催し、本年の人事院勧告の取り扱いを協議したが、複数の閣僚から、給与改定・臨時特例法に基づき、給与の特例減額が行われていることを踏まえて検討すべきという趣旨の発言などがあったが、結論を得るには至らず、関係閣僚で検討し、改めて給閣を開催することとされた。
資料−政府宛要求書
2012年8月10日
内閣総理大臣
野 田 佳 彦 殿
公務員労働組合連絡会
議 長 棚 村 博 美
人事院勧告に関わる要求書
常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力頂いていることに敬意を表します。
さて、人事院は、8日、国会と内閣に対し、月例給及び一時金は改定しないとする一方、55歳を超える職員は標準の成績では昇給停止とする給与法改正勧告と、高位号俸からの昇格時の俸給月額の増加額を来年1月から縮減するとの報告を行いました。
月例給与の官民較差が小さく、給与改定・臨時特例法に基づく減額措置が実施され、民間給与を7.67%下回っているもとにおいて、人事院が改定見送りを判断したことは、当然のことです。
他方、55歳超職員昇給停止の給与法改正勧告と高位号俸からの昇格時俸給増加額の引下げ報告は、高齢層職員の給与が給与改定・臨時特例法により減額されている中にあって、公務員連絡会との十分な交渉・協議を行わず、来年1月から、拙速かつ一方的に高齢層職員の給与引下げを強行しようとするものであり、遺憾なことと言わざるを得ません。
いずれにしても国家公務員給与については、2014年3月までは平均7.8%の臨時特例減額が実施されていることから、政府においては、これを踏まえた対応を求めるものです。
政府におかれましては、下記要求事項の実現に向けて最大限のご尽力をいただきますよう強く申し入れます。
記
1.国家公務員の給与については、2011年5月23日の当時の片山総務大臣との交渉における合意及び10月28日の「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(閣議決定)を踏まえて対応すること。
2.地方公務員の給与については、各自治体の労使交渉を尊重することとし、引き続き、財政上の措置を含め地方公務員への国家公務員給与削減の影響を遮断すること。
以 上