2012年度公務労協情報 50 2012年9月13日
公務公共サービス労働組合協議会

「地方公務員の自律的労使関係制度に関する会議」はじまる−9/12

 9月12日、総務省において、第1回「地方公務員の自律的労使関係制度に関する会議」が行われた。会議は、地方公務員における自律的労使関係制度について、当事者である地方公共団体の労使の関係者に意見を聞きながら検討し成案を得ることを目的に、総務大臣が主宰し、5人の有識者を構成員として今後複数回開催される予定である。

 冒頭、川端総務大臣より「地方公務員の自律的労使関係制度については、これまでも関係者の方々の意見を踏まえながら検討を進めてきたが、十分な理解を得るには至っていないことから、今後理解を深める取組みを強め、次期臨時国会に法案を提出するべく努力を進めていきたい。当事者の労働団体からは、国の労使関係制度の法案が出され、地方公務員の制度もセットでとの強い要望があり、一方、地方団体からは反対意見が出されているが、労働組合の使命、役割は何か、労使関係はどうあるべきか、公務員の制度の中でその意義は何か、懸念すべきことはあるのか、国際的な状況はどうなのか、という点で共通の認識が形成されていない。この会議では、地方公務員に労働基本権を付与することの意義と課題について整理していただき、労使の当事者が今回の改正について共通認識に立てるようにしていきたい」といった趣旨の挨拶があった。

 第1回の会議は、まず総務省公務員部から、地方公務員制度の改革の経過や「地方公務員制度改革について(素案)」、関係団体からの意見などについて説明があり、その後フリーディスカッションが行われた。

 各委員からは、制度に関わって、公平性、納得性のある労使関係の観点から、現行公務員制度で交渉が行われない場合に救済方法がないことや書面協定に法的な効力がないこと、苦情処理システムがないことなどの問題点についての意見が出された。また、中央協議が労使紛争を回避する手立てとなることや、協約には労使関係を安定させる重要な機能があることなど、基本的人権やILO勧告などの国際的な権利の基準を認識した上で、消防職員を含めた公務員の労働基本権について検討していくべき、などの意見が出された。

 最後に稲見総務大臣政務官より、「東日本大震災の復興財源のために国家公務員の給与を平均7.8%削減する臨時特例法案と国家公務員制度改革関連4法案の関係で言えば、自律的労使関係の先取りとして連合系の労働組合と労使合意をされたにもかかわらず、本来同時決着という性格のものが分離せざるを得ない状態になってしまったことは、地方公務員の2法案の閣議決定ができていないことも含めて約束違反なのかなという忸怩たる思いでいる。法案成立には強い思いをもっているので、今後ともよろしくお願いしたい」との挨拶があり会議は終了した。
 次回会議は、9月末に開催予定である。




地方公務員の自律的労使関係制度に関する会議 構成員(五十音順)

 下井 康史 (しもい やすし)   筑波大学大学院教授
 平  勝典 (たいら かつすけ) 元郵政省東北郵政局長
 西村 美香 (にしむら みか)   成蹊大学教授
 長谷川 真一(はせがわ しんいち) 日本ILO協議会理事
 渡辺  章 (わたなべ あきら) (財)労委協会理事長