公務員連絡会・地公部会は10月4日、今秋季確定闘争の課題と取組みについて共通認識をはかることを目的に、2012地方公務員賃金闘争交流集会を開催した。13時から東京・全電通労働会館ホールで行われた交流集会には、全国から400人が参加した。
冒頭、加藤副議長(日教組委員長)が主催者挨拶に立ち、自律的労使関係制度の実現について「連合の中央委員会に出席した野田総理は、『国家公務員制度改革関連四法案については次期国会での早期成立、地方公務員制度改革法案については次期国会への提出に向けて努力する』と決意表明した。地方公務員だけ人勧制度が残るというようなことはあってはならず、四法案の実現を図らねばならない」と決意を述べるとともに、「働く者の権利と生活を守らずして日本の社会はあり得ず、質の高い公共サービスの確立はあり得ない」と訴えた。
次に、棚村公務員連絡会議長は「第180回通常国会で国家公務員制度改革関連四法案を内閣委員会で審議入りはさせたものの、成立をさせられなかったこと、地公における制度改正も確かなものにすることができなかったことは痛恨の極みであり、極めて遺憾だ。この要因は政治の責任が大きく、今の民主党の中で国公及び地公の自律的労使関係制度の達成をしなければならない」と決意を述べた。雇用と年金の接続の問題についても、「政府は、再任用義務化を提案してきたが、われわれとしては段階的な定年延長がふさわしいという考え方は変えておらず、これを基軸として現在も交渉を続けている。組合員の利益を代表して奮闘したい」と挨拶した。
続いて、民主党政調会長を務める細野豪志衆議院議員が国会情勢について報告した。地方公務員の自律的労使関係制度の法案の閣議決定の見通しについて、「5月11日に総務省より地方公務員制度改革に関する素案が示されている。党としてもこれまで公務労協をはじめとする関係団体の皆さん、また地方六団体などとも議論を進めてきたし、現在は総務省に「地方公務員の自律的労使関係制度に関する会議」を設置し検討を進めている。国公関連四法案は審議入りはしたものの、地公については関係法案の提出に至らず大変遺憾であるが、党としては地公法案について次期国会に提出できるよう政府にも働きかけ、努力していきたい」と決意を述べた。また、国家公務員の給与減額を受けた義務教育費国庫負担金、地方交付税への影響遮断については、「党としては国と同様の給与削減を強要するようなことは考えていない」と明言した。さらに、臨時・非常勤職員の雇用安定や処遇改善に関わる法整備については、「臨時・非常勤職員数は増加しており、重要な役割を担っていただいているにもかかわらず、手当がなされていないことについて深刻な問題と受け止めている。今後も、課題の重要性を認識しながら対応していきたい」と述べた。
その後、藤川地公部会事務局長が基調報告を行い、地方公務員の賃金等をめぐる諸情勢を報告した上で、2012秋季闘争の取組みを提起した。2012秋季闘争では、@地方公務員の自律的労使関係制度に関わる法案の早期国会提出・成立、A国公の臨時特例減額の影響遮断、B段階的定年延長、C退職手当制度の見直し、D臨時・非常勤職員の雇用安定・処遇改善に係る法整備などについて、確定交渉でしっかりと取り組むよう訴えた。
続いて、島澤諭秋田大学非常勤講師より「地方公務員給与と地域経済」と題する講演があった。島澤先生は、各種データを用いながら、「日本経済及び世界経済の現状から、今後日本経済の成長率が低下していくことが予想され、民間給与が減少傾向にあるなかでは公務員給与を維持していくことが困難である」と指摘すると同時に、「公務員給与を引き下げることは周り回って民間セクター自身の首を絞めることにもつながることから、こうした負のスパイラルを断ち切るべく取組みを強化すべき」と語った。
その後各構成組織から、自治労・青木組織対策局長、日教組・馬鳥神奈川県高等学校教職員組合、全水道・乾大阪市水労調査部長が、賃金独自削減に対する取組みや非常勤職員の処遇改善に向けた取組みなどについて報告し、秋季確定闘争を全力ですすめていく決意を表明した。
最後に、徳永副議長(自治労委員長)の団結ガンバローで集会を締めくくり、秋季確定闘争への決意を確認し、集会を終えた。
以上