2013年度公務労協情報 17 2013年3月8日
公務公共サービス労働組合協議会

2013春季生活闘争・公共サービスキャンペーンを本格的に開始
−拡大地方代表者会議、国会議員要請行動、中央集会を実施(3/6)−

 公務労協は6日、@連合の春季生活闘争への積極的参加と国営関係部会及び公務員連絡会、各構成組織における取組みの強化、A2013年の「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」の取組みの意思統一、B今後の政治的な展望に関する認識の共有などを目的に、拡大地方代表者会議、国会議員要請行動及び「2013春季生活闘争・2013公共サービスキャンペーン開始中央集会」を実施した。

主催者を代表してあいさつする加藤議長 14時30分から東京・イイノホールで行った中央集会には、全国から550人の仲間が結集した。
 集会の冒頭、加藤公務労協議長が主催者を代表して挨拶し、「私たちは、働く者の生活改善に向けた取組みが日本社会の改革・改善につながるという思いで、労働運動を進めている。しかしその一方で、私たちの活動が社会的共感を得ているかどうか、そこに私たちの運動の弱さはないか、考えてみる必要があるのではないか」と問いかけた。また地方公務員給与の引下げ問題については、この間安倍政権が行っているデフレからの脱却に向けた政策と全く整合性を欠いたものであると指摘し、「私たちの生活を守ることは地域社会、地域経済を守ることにつながるという思いを強く持って取組みを進めなければならない」と強調した。
 その上で、今春季生活闘争や公共サービスキャンペーンにおいては、「7月の参議院議員選挙を展望しながら、安倍政権下で進められる政策が本当に国民の生活を守ることにつながるものなのか世論に訴えながら、中央・地方一体となって社会的共感を得るような運動を進めよう」と、取組みへの決意を表明した。
 続いて、来賓の古賀連合会長が、働く者の所得の低迷、非正規労働者の増大、総実労働時間の高止まりや生活保護世帯が過去最高を更新しつづけていることなど日本社会の持続可能性が大きく脅かされている中で、連合の2013春季生活闘争を傷んだ雇用と労働条件を復元し、すべての働く者のディーセントワークを実現する取組みと位置づけ全力で取り組んでいることを報告した。またデフレ脱却のためには、家庭の所得を増やし、雇用不安、将来不安を払拭することで、働く者が安心して消費を拡大できる政策を推進することこそが重要であると強調し、安倍政権が進めるデフレ脱却や経済再生に向けた政策の矛盾や限界を指摘した上で、「7月の参議院議員選挙では、組織内の立候補者9名全員の必勝に向け、組織の総力を結集し、すべての働く者とその家族の幸せの実現のため、最後までともに闘い抜こう」と訴えた。

 来賓挨拶に続き、山口二郎北海道大学大学院教授と民主党の荒井聰衆議院議員がそれぞれ講演を行った。
山口二郎教授 山口教授は「民主政治の危機をどう凌ぐか −政治を諦めないための処方箋−」と題する講演を行った。教授は、「政権交代には大きな意義があり、民主党政権は重要な政策転換を実現した。二大政党の一翼を担うという誇りを失えば、民主党だけでなく、日本の政党政治は瓦解するかもしれない」と指摘した。その上で、昨年12月の衆議院議員選挙に表れた民意と民主党の敗北をめぐって、「メディアが作り出した民主党嫌悪など敗北の原因はあったが、民主党自らが明確な対立軸を形成することができなかったことが一番の原因だ。しかし、民主党政権は国民に全否定されるほどではない」とし、「コンクリートから人へ」「チルドレン・ファースト」などの政策によって、自殺者が減り、高校の中退者も減少したという効果があったことを、データなどに基づいて紹介した。
 今後の民主党について、「右派でも革新(左派)でもない現実主義で常識に応える中央(センター)政党になるべきだ」と指摘し、労働組合として政治的な対立軸をどう担っていくかについて、「『人間の尊厳・平等や弱者の権利を大事にしたい』という政党が存在することは不可欠であり、それを労働組合が支えることこそ、グローバルスタンダードだ。民主党が労働組合に支援されていることが不健全であるかのごとくいうのは、世界中どこを見ても、誠に不見識である。民主党がだらしないから支持するのをやめたと言ってしまっては、またしても日本は一党支配になってしまう。今は我慢のしどころだ。もう一度日本の政治を立て直すため、働く人の力を結集しともに闘っていこう」と激励した。


荒井聰 衆議院議員 荒井議員は「民主党再生/公務員制度改革/参議院選挙に向けて」と題して講演した。その中で、民主党政権に対し「民主党は何もしてくれない」「マニフェスト総崩れ」とマスコミを中心に広言されたことについて、「民主党だからこそ実現した政策もたくさんある」と述べ、例えば、荒井議員がデフレから脱却する王道であるという信念の下で力を注いできた雇用政策においては、政労使による雇用戦略対話を行いながら、最低賃金の引上げ、派遣労働法改正などによる労働者保護規制の強化、パート労働者への社会保険適用拡大、「新成長戦略」による教育・医療・介護分野での雇用者約85万人の創出などを実現してきたことを強調した。
 また、民主党では昨年12月の総選挙の「敗北」を重く受け止め、党改革創生本部を立ち上げ、幅広く意見を聴きながら、党改革・再生に向けた議論を深めていることや、2月24日の党定期大会では、@「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立って政治・社会の変革に取り組む、A共生社会をつくる、B日本国憲法が掲げる「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義」の基本精神を具現化するなど、民主中道、リベラルの理念を活かした新綱領を確認したことを報告した。その上で、党の再生に向け党一体となって全力を挙げる決意を述べるとともに、各構成組織及び組合員の引き続いた協力・連携を求めた。

 講演に続いて吉澤事務局長が基調提案を行い、地方公務員給与引下げ問題の理不尽さを強調した。その上で、7月の参議院議員選挙も視野に入れながら、東日本大震災からの一刻も早い復旧復興のために、公務公共サービスに従事する労働組合としての社会的責任と役割をしっかり果たすとともに、国民の安心安全を確保する質の高い公共サービスの再構築に向け、連合に結集し、全力を挙げることを確認した上で、最後に団結がんばろうを行い、中央集会を締めくくった。

 中央集会を終えた参加者は、18時30分から日比谷公会堂で開催された連合「2013春季生活闘争要求実現集会」に結集し、賃上げ・労働条件の改善をはじめとする要求やデフレからの早期脱却に向けた政策の実現を求め、連合に結集し取り組む意思固めをするとともに、集会後にはデモ行進を行い、連合の政策を大衆にアピールした。


拡大地方代表者会議で、本年度公共サービスキャンペーンの取組みを意思統一


 10時30分から開催した拡大地方代表者会議(東京・連合会館)では、2013年度公共サービスキャンペーンの取組みについて、すべての地方自治体における公共サービス基本条例の制定をめざして継続した取組みを進めることを意思統一した。具体的には@民間労組やNPO、地方議会議員、大学教授等の有識者など幅広い関係者で構成する「公共サービス基本条例・公契約条例の制定をめざす会」を立ち上げる、A地方連合会と連携し、集会・学習会・シンポジウムなどを開催する、B都道府県が進めてきた「新しい公共」の担い手支援事業やモデル事業の状況について把握しつつ、NPOなど関係者との情報交換や交流を進め、公共サービス基本条例への理解と条例制定への協力を求めていくことを確認した。さらに2011年度から取組みを開始した「モデル地方公務労協(地方連合会官公部門連絡会)」を継続し、全国8ブロック(北海道・東北、関東・甲州、北陸・信越、東海、近畿、中国、四国、九州)毎、都道府県単位に選定し取り組むこととした。
 また、昨年度モデル公務労協に選定した秋田・奈良・徳島・福岡から取組み報告を受けるとともに、本年度の取組みにおいては、とくにNPOとの連携強化を柱にしていることから、NPO中間支援団体であるユニバーサル志縁社会創造センターの池本修悟専務理事を招き、公共サービスにおけるNPO活動の現状と課題、行政や公務労協に期待することなどについて学習を深め、公共サービス基本条例や公契約条例の制定に向け、公務労協構成組織のみならず、民間労組、労働福祉協議会、地域のNPO、地方議会議員など幅広い関係者と連携して取り組むことの重要性を再確認した。


2013年度予算案等の国会審議に向け、国会議員要請行動を実施


 また、衆参両院議員に対する要請行動は、各構成組織から222人の参加体制のもとで13時から14時に実施し、2013年度予算案等の国会審議において、@「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、真に国民の暮らしと雇用の安定・向上につながる予算等となるよう対応すること、A労働基本権が確立された民主的な公務員制度改革を実現すること、B給与法改正法案については、昨年11月に閣議決定された「公務員の給与改定に関する取扱いについて」に即して対応するとともに、独立行政法人等の勤務条件については、法人における自律的・自主的労使関係の下で定めるべきものであることを踏まえ対応すること、C国家公務員の給与減額支給措置を理由とした地方交付税や義務教育費国庫負担金の削減とならないよう予算案・予算関連法案等を修正すること、などを踏まえて対応するよう要請した。(別紙参照)


(別紙)衆参両院議員宛要請書

2013年3月6日


             様

公務公共サービス労働組合協議会
議 長  加 藤 良 輔


2013年度予算案等への対応について


 常日頃からの国政全般に対するご尽力に心から敬意を表します。
 さて、政府は、一般会計総額92.6兆円とする2013年度予算案を国会に提出しました。
 今、政治に求められているのは、@東日本大震災からの復興・再生の着実な推進、A日本再生と分厚い中間層の復活に繋げる経済・産業政策と雇用政策の一体的推進、Bディーセントワークの実現、C社会保障と税の一体改革の実現、Dくらしの安心・安全の確保と公平な社会の実現、E「新しい公共」と国民本位の行政システムの確立などです。
 雇用不安や将来不安が蔓延する中、国民の生活を支える公共サービスの役割はますます高まっています。公務員労働者が国民の期待に応え、東日本大震災からの復興・再生はもとより、解決を迫られるさまざまな課題に的確かつ確実に対処し、国民生活の安心と安全を確保してい
 一方、政府は、民主党政権においては「『地方交付税の交付額の減少あるいは義務教育費国庫負担率の引き下げ』を手段とすることを含め、国家公務員給与引下げと同様の引下げを地方公共団体に強制することは考えていない」とされた国家公務員の給与減額支給措置について、地方公務員給与についても国家公務員に準じて必要な措置を講ずるよう地方自治体に要請するとともに、2013年度予算案で地方交付税、義務教育費国庫負担金等を同様の観点で減額計上しています。
 地方公務員給与は当該労使交渉を踏まえ、自治体が主体的に決めるべきものです。地方自治体に対し国と同様の減額要請を行うことは、地方自治の本旨を蔑ろにするものであり、一方で地方交付税を減額し、他方で給与減額を「要請する」ことは、事実上の強制に他なりません。こうした公務員給与の削減は、民間給与、地域経済にマイナスに影響し、政府が最大かつ喫緊の課題としている「デフレからの脱却」からも道理に合わないものです。
 公務公共部門で働く組合員は、今、東日本大震災からの復興・再生をはじめ、各々の職務に精励し、安心・安全な日本をつくるために全力を挙げつつ、予算案・予算関連法案等の国会審議を見守っています。つきましては、政府予算案等に対し下記事項を踏まえて対応されるよう要請します。



1.「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、真に国民の暮らしと雇用の安定・向上につながる予算等となるよう対応されたい。
(1) 東日本大震災からの復興・再生を着実に進めること。
(2) 労働者の保護や雇用のセーフティネットの強化をはかること。
(3) 生活保護基準の大幅引下げについては、現行の生活保護基準を尊重するとともに、一般低所得世帯への影響等が生じないようにすること。
(4) 地方自治体の自由裁量の拡大に資するため、地域自主戦略交付金を維持すること。
(5) 35人学級の小学校3年生以上への拡大とそれに必要な教職員を確保するとともに、「高校授業料無償化」を維持すること。
(6) 「交通基本法案」、「水循環基本法(仮称)」の第183通常国会での法案提出・成立が実現するよう対応すること。

2.公務員制度改革基本法に基づき、労働基本権が確立された民主的な公務員制度改革を実現すること。また、非現業地方公務員への労働協約権付与、消防職員の団結権付与などを盛り込んだ地方公務員制度改革を実現すること。

3.国家公務員の高齢層職員の昇給抑制を旨とした給与法改正法案については、昨年11月16日に閣議決定された「公務員の給与改定に関する取扱いについて」に即して対応すること。また、独立行政法人等の勤務条件については、法人における自律的・自主的な労使関係の下で定めるべきものであることを踏まえ対応すること。

4.国家公務員の給与減額支給措置を理由とした地方交付税や義務教育費国庫負担金の削減は地方自治の本旨を逸脱したものであり、かかる削減とならないよう予算案・予算関連法案等を修正すること。

以上