2013年度公務労協情報 18 2013年3月15日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2013春季要求で書記長クラスが総務省と交渉
−人事・恩給局長に現段階における明確な見解を迫る−

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は3月15日11時から、総務省人事・恩給局長と交渉し、2013春季要求に対する現段階における見解を引き出した。
 公務員連絡会側が、本日段階での総務省の見解を求めたのに対し、笹島局長は「2月19日に要求書を受取り、その後それぞれのレベルにおいて、皆さんと議論を重ねてきたところである。最終回答は3月26日に大臣から行うことを予定しているが、本日は現時点で、私の立場として申し上げられることについて回答する」として、次の通り回答した。

1.高齢者雇用施策について
 雇用と年金の接続については、今年度内に方針決定を行う方向で、国家公務員制度改革推進本部において準備が進められているところであり、総務省としても、雇用と年金の接続が円滑に図られるよう取り組んでまいりたい。
 なお、当局としても、雇用と年金の接続は同事務局はじめ、政府全体で取り組むべき重要な課題と認識しており、再任用職員の定員管理等に関し、ご指摘のような意見があったことについて、折に触れ、定員管理部局に伝えたい。
2.2013年度賃金について
 給与減額支給措置は、東日本大震災に対処する必要性等に鑑み、皆さんの御理解も踏まえ、来年3月まで講じられたものであることは重く受け止めている。
 その上で、2013年度の給与改定に当たっては、本年の人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。今後とも、皆さんとも十分に意見交換を行ってまいりたい。
3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 特に期間業務職員については、平成22年10月に制度を導入してから本年で3年目を迎えることもあり、総務省としては、人事管理官会議等の場を通じて、制度の趣旨を踏まえた適切な運用を行うよう各府省の人事管理担当者あてに改めて周知を行ったところ。
 また、非常勤職員の処遇に関しては、今後、皆様のご意見も伺いつつ、関係機関とも相談しながら検討してまいりたい。
4.労働時間、休暇及び休業等について
 超過勤務の縮減については、職員の健康、士気の向上はもとより、自己研鑽や家族との時間の確保のために重要であると認識しており、超勤縮減キャンペーンのほか、昨年は、総務省の超過勤務の管理縮減の取組を参考に、政府全体として更なる超勤縮減に取り組んでいくよう各府省にも適切な取組を要請したところである。
 引き続き、人事管理運営方針等を通じて、勤務時間管理の徹底と超勤縮減の一層の推進を図るとともに、皆さんとの意見交換も行ってまいりたい。
5.福利厚生施策の充実について
 福利厚生施策について、心の健康づくりの充実に当たっては、昨年度からe−ラーニングによる新任管理者のためのメンタルヘルス講習を開始したところである。次年度においては、更なる内容の充実を図ってまいりたい。
6.男女平等の公務職場実現、女性労働者の労働権確立について
 今後とも、第3次男女共同参画基本計画(平成22年12月17日閣議決定)で定める成果目標の達成に向け、意欲と能力のある女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けた取組みを政府全体として進めてまいりたい。
7.早期退職募集制度について
 制度の具体化に当たっては、皆さんからの御意見も十分に伺ってまいりたい。
8.その他事項について
 障害者雇用については、チャレンジ雇用の取組を推進しているところであり、これを受けて本府省における精神障害者の職場体験実習を実施したところである。また、平成24年度には発達障害者の雇用に向けた課題や対応策をとりまとめ、25年4月から法定雇用率が引き上げられること等について周知徹底を図ったほか、地方ブロックにおいて研究会を開催し、障害者の雇用促進を要請したところである。

 局長の回答を受け、公務員連絡会側はポイントをしぼって、以下の通り局長の考えを質した。
(1) 総人件費に関わって、定員純減政策のもと、大震災からの復興・再生、大型補正予算執行が求められ、職場の労働条件は健康に影響するほど悪化している。給与の臨時特例減額分は、政権が代わっても大震災の復興・再生のために有効に活用されるという前提であることを、改めて強く求める。
(2) 短期間で予算執行が求められ、超過勤務の実態が一層厳しくなり、超勤予算も不足している。国家公務員の人事行政に責任を持つ立場で、職場実態を把握し、要員・新規採用・超勤予算確保と超勤縮減による職員の健康管理等に最大限対応されたい。
(3) 補正予算による大震災関連の公共事業の増加によって、東北にマンパワーが集中している。定員削減によって人が少なくなっているにも関わらず、年度末で忙しい上、新たな事業を早急に行うのは、現場の実態として大変なことだ。補正予算には超勤予算などの事務費等が入っていないため、その確保が必要だ。深刻な事態を受けとめて定員も確保すべきだ。
(4) 北海道開発局は2006年からの1003人純減以降も3桁の定員削減が毎年行われている。公共事業が減ったから定員削減というが、業務委託を減らした分は職員がその仕事をやっているため、仕事は増えている。
 また、実際に超勤した時間が認められず、手当が支払われない未払い超勤になっている。定員管理と超勤について指導されたい。
(5) 雇用と年金の接続について、今年度内に方針決定を行う方向という回答であったが、今後の運用については、政府全体として責任をもって進めてもらわなければならない。今は公務員事務局が検討しているが、人事管理に責任を持つ人事・恩給局がより主体的に担うべきだ。
(6) 農水省は定員が厳しいため、本当に採用されるのか疑問を感じ、自ら定員事情を考えて再任用に手をあげない実態もある。府省間の公平を確保されたい。
(7) 「非常勤職員の給与に関するガイドライン」の制定から5年経過したが、指針にある初号俸基礎、通勤手当、期末手当について、達成されていないのではないか。まずは、実態を把握すべきだ。
(8) 3年が経過しようとする期間業務職員制度についても、制度の検証に向け、運用状況を調査すべきではないか。

 これに対し、笹島局長は以下の通り答えた。
(1) 給与の臨時特例減額分については、復興会計の中で趣旨に沿って活用されることが前提だ。政府として、みなさんとの交渉の経緯、合意を経ていることは重々承知している。経緯を踏まえしっかり取り組んでいく。特例減額分は震災復興にまわすという大義は納得できるものであったし、趣旨は大臣に伝える。
(2) わが国の厳しい状況を考えると、今こそ公務の出番であると認識している。国民の要請に応える重要な時期なので、労使が一体となって取り組んでいくべきと考えている。定員であれば、震災復興に関わって時限を含めて一定の措置を講じている。超勤についてもいろいろな対策を講じている。業務運営については、工夫の余地があると考えている。
(3) 雇用と年金の接続については、国家公務員制度改革基本法に基づき、国家公務員制度改革推進本部事務局で検討されている。閣議決定後の運営については、推進本部の設置期限である7月以降の体制はわからないが、総務省としては、これまでの再任用制度のように人事管理官会議などの場を通じて各府省に適切な運用をするよう努めていくこととし、人事管理の調整に一定の責任を有する立場でみなさんと意見交換しながら円滑に接続できるよう進めていきたい。農水省の定員が厳しいことは承知している。閣議決定後は、早い段階から来年4月に向けて取り組んでいく必要がある。
(4) 「非常勤職員の給与に関するガイドライン」は、人事院から出されたものであり、その見直しや処遇の改善も人事院によって行われるものと考えている。非常勤職員の問題については、普段から人事院と連携しているが、今後もいろんな論点について人事院と共有していきたい。
(5) 期間業務職員の人数等は定期的に把握しており、3年目は重要な節目であり、人事管理官会議でも制度の趣旨を周知している。各府省でも毎年必要な業務か検証していると思う。公務は常勤で対応するのが基本であり、期間業務職員制度の現状について問題があるので実態を把握する必要があるという状況とは思っていないが、必要があれば調査を行う。

 最後に、吉澤事務局長が「本日示された回答は不十分であり、26日の最終回答に向け、積極的な検討を重ねてもらいたい」と強く要請し、本日の交渉を終えた。

以上