2013年度公務労協情報 19 2013年3月25日
公務公共サービス労働組合協議会

書記長クラスが雇用と年金の接続で公務員事務局交渉-3/22
−当面の措置として希望した場合に再任用することを閣議決定へ−

 公務労協は3月22日、国家公務員の雇用と年金の接続に関わって、国家公務員制度改革推進本部事務局との交渉を行い、方針決定に向けた検討状況を質した。
 交渉には、公務労協からは吉澤事務局長をはじめ書記長クラスが出席し、公務員事務局からは川淵審議官らが対応した。
 川淵審議官は、国家公務員の雇用と年金の接続について、国家公務員の年金の支給開始年齢が2013年度(今年4月)以降、今の60歳から段階的に引き上げられるのを受けて、60歳の定年後も希望する職員を再任用するなどとした方針を、国家公務員制度改革推進本部において決定した上で、今週の閣議で正式に決定したい旨明らかにした。

<川淵審議官との交渉経過>
 冒頭、吉澤事務局長が雇用と年金の接続に係る方針決定に向けた検討状況を質したのに対し、川淵審議官は以下のように回答した。
(1) 雇用と年金の接続については、平成25年度以降年金の支給開始年齢が段階的に引上げられることに伴い、無収入期間が発生しないようにするのは、官民問わず社会的な要請である。国家公務員の雇用と年金の接続を確保し、長年培ってきた知識と経験を活かし、安心して働き続けられる充実した制度を確立する必要がある。
(2) 民間企業では、高年齢者雇用安定法に基づいて、8割以上が継続雇用制度を導入していること等を踏まえ、再任用を義務化することで雇用と年金の接続を図るという昨年3月の「国家公務員の雇用と年金の接続に関する基本方針」の考え方を踏襲することにしている。一方、厳しい定員、人件費の状況下で、希望する職員の再任用の機会を確保することが必要なことから、今回は任命権者において柔軟な対応を可能とすべく、当面の措置として、現行再任用制度の活用の仕方として、内閣の意志決定としての閣議決定により、任命権者が希望者を再任用することとしたい。
(3) 定年退職した職員が再任用を希望する場合、任命権者は職員をフルタイムで再任用することを原則とするが、年齢別構成の適正化を図る観点から、再任用が困難な場合、あるいは個別事情を踏まえる必要があるときは短時間再任用を可とする。
(4) 再任用希望者が、民間の解雇、退職事由に相当するような国家公務員法の欠格事由又は分限免職事由に該当する場合は、再任用しない。
(5) 関連する給与制度上の措置について、人事院に対して要請する。
(6) 年金支給開始年齢の段階的な引上げの時期ごとに、段階的な定年の引上げも含め雇用と年金の接続のあり方について改めて検討する。
(7) 以上の点などを明記し、来週(3月25日の週)の閣議決定に向けて調整している。

 これに対し、吉澤事務局長は以下のとおり公務員事務局の見解を質した。
(1) 雇用と年金の確実な接続については、「官民問わず」という説明があったが、高年齢者雇用安定法で事業主に求められることと同じという理解でよいか。
(2) フルタイム再任用が困難で短時間再任用を可とする場合、どのような基準で判断するのか。
(3) 雇用と年金の接続に係わって、任命権者間の調整は少なくとも各府省段階で完結するということを前提にしていると考えてよいか。
(4) 短時間勤務の場合について、兼業規制は緩和すると考えてよいか。
(5) 定員事情によって各府省で対応がまちまちで、不公平が生じては困る。公務員事務局の役割は大きく、これを担保してほしい。また、地方公務員は各自治体の実情に応じた対応が必要なので、円滑に運用されるようお願いしたい。
(6) 「年金支給開始年齢の段階的な引上げの時期ごとに」という説明があったが、支給開始年齢が61歳から62歳に引上がる時と考えてよいか。

 これに対し川淵審議官は以下の通り回答した。
(1) 高年齢者雇用安定法そのものが理念や目的は官民を問わずであり、公務の世界においても趣旨を踏まえるべきである。今回の閣議決定は、任命権者である各大臣に内閣として責任をかけるものであり、各人事担当者にそれを受け止めてもらうことになる。
(2) 職員が希望する職域や仕事の内容のマッチングがうまくいかないこともあるだろうが、各任命権者で工夫していくことが必要だ。現時点での明確な答えはない。新年度前に方針決定するのは、新年度から各府省においてのマッチング作業、シフトの組み方や予算要求の検討等の取組みを実施してもらうことが必要であるからだ。
(3) 府省間の調整が否定されているわけではないので、場合によっては調整の仕組みがあった方がそれぞれの能力や経験を活かして、ふさわしいところに再任用されるなど、きちんと仕事ができる形にしたらいい。
(4) 兼業については、国家公務員法104条で任命権者から許可を得れば可能と規定されており、元々、育児短時間勤務制度を導入した時、兼業について制限に該当しない場合は原則として承認することし、その際、短時間再任用も同様とした。それが必ずしも政府内で共有されていないので、もう一度きちんとした扱いで伝える。フルタイムの場合は、兼業すると本業に差し支えるということがあるが、短時間の場合は、公務に支障がなければ柔軟に対応できるようにする。
(5) 公務員事務局は国家公務員制度改革基本法による設置期限が7月10日であるが、その時点できちんと引き継いでいけるようにする。
(6) 「年金支給開始年齢の段階的な引上げの時期ごとに」という文字通り受け止めてほしい。60歳から61歳に引上がる時と、61歳から62歳に引上がる時では、年金支給までの空白期間が、平均半年と1年半でインパクトが全然違い深刻な問題だ。希望する人すべてにポストが与えられればいいが、仕事は限られている。使用者の責務だけでは前に進まないので、皆さんからもご意見をいただき一緒に考えていきたい。

 最後に、吉澤事務局長は、「今後は、閣議決定を踏まえて各府省段階で進めていかなければならない。雇用と年金の接続について、円滑に運用していくことがお互いの共通目標である」と念押しした上で、引き続き協議をしていくことを確認し、交渉を終えた。

以上