2013年度公務労協情報 29 2013年7月30日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人勧期中央行動で職員福祉局長、給与局長と交渉−7/30
〜月例給・一時金の具体的回答が示されなかったため、給与局長と再交渉へ〜

 公務員連絡会は7月30日、3千人の仲間が参加し、人勧期中央行動を実施した。13時30分から、日比谷大音楽堂で中央集会を開催したほか、霞ヶ関を一周するデモ行進と人事院前での交渉支援行動を行った上で、音楽堂に再結集し、人事院交渉の報告集会を行い、要求実現を求めて最後までたたかい抜く決意を固めあった。
 この中央行動を背景として行われた給与局長との交渉で人事院は、@勧告は例年とおおむね同様の日程、A官民較差は今の段階では何とも言えず、一時金も同様、B今年の勧告時の報告で給与制度の総合的な見直しについての検討表明を行う予定であること、などの見解を示したが、勧告の具体的な内容については明らかにしなかった。また、職員福祉局長交渉では、配偶者帯同休業制度の法案化のための意見の申出を行うとの回答が示された。
 公務員連絡会は、本日の交渉で勧告・報告の具体的内容が示されなかったことから、再度給与局長との交渉を行った上で、勧告・報告の直前には委員長クラス交渉委員による人事院との交渉を行い、要求実現をめざしていくことにしている。

 13時30分から日比谷大音楽堂で開かれた公務員連絡会の中央集会は、加藤副議長(日教組委員長)を議長に選出して始められ、冒頭挨拶に立った棚村議長は、本日の行動を人勧期の山場を向かえた行動とした上で、「本年の情勢は近年と同様に厳しい。勧告をめぐっては、国公給与の臨時特例減額期間中でもあり、十分な交渉・協議、合意に基づく報告・勧告を行うよう求めていく。東日本大震災からの復興・再生に向けて合意した臨時特例減額は、来年3月で終了する。この期間をもって、特例措置を終了させることが最大の課題である。全力をあげてこの局面に臨んでいく」と訴えた。
 続いて激励挨拶に駆けつけた南雲連合事務局長は、「参院選で自民党が圧勝したが、私たちは歩みを止める訳にはいかない。政府は労働規制の緩和を強力に進めようとしており、働くものは大変厳しい状況にある。公務員の労働基本権はすべての働くものの尊厳に関わる問題だ。労働基本権の問題をこれ以上先延ばしにする訳にはいかない。連合も公務員連絡会と連携し、取組みを一層強化していく」と連帯の挨拶を行った。
 基調提起に立った吉澤事務局長は、正念場を向かえる本年の人事院勧告について、改めて全力をあげる決意を表明した。
 構成組織の決意表明には、自治労・荒金副中央執行委員長、国税労組・飯島中央執行委員、林野労組・田上中央執行委員が登壇し、たたかう決意をそれぞれ力強く表明した。
 集会を終えた参加者は、人事院前交渉支援行動と霞ヶ関一周のデモ行進に出発。「公務員の給与引下げは許さないぞ」「再任用者の給与を改善しろ」「実効性ある超過勤務縮減策を実行せよ」「非常勤職員の雇用を確保し処遇を改善しろ」などと力強くシュプレヒコールを繰り返した。
 行動を終えた参加者は再び日比谷大音楽堂に結集し、書記長クラス交渉の報告を受け、この日の行動を締めくくった。
 人事院職員福祉局長、給与局長との交渉経過は次の通り。

<職員福祉局長交渉の経過>
 井上職員福祉局長との交渉は、14時15分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、吉澤事務局長が「6月20日に総裁宛の要求を提出し、7月17日には職員団体審議官と交渉を積み上げてきたので、今日はわれわれの要求に即した回答をお願いしたい」と局長の見解を求めたのに対して、井上局長は、以下の通り回答した。

1.労働諸条件の改善について
(1) 労働時間の短縮等について
 超過勤務の縮減については、職員の健康保持、労働意欲や活力の維持、有為の人材の確保等の観点からも重要な課題であり、人事院としてもそうした認識の下、引き続きその縮減に向けた取組を進めていく必要があると考えているところである。人事院では、各府省における超過勤務縮減の取組を支援し促進するため、その取組の実施状況について定期的にフォローアップを行うとともに、各府省において特に効果を上げている取組例の収集やそれに基づく情報提供を行っている。また、疲労蓄積防止のための早出遅出勤務について各府省における利用実態の調査を実施し、調査結果の分析等を踏まえ、積極的な活用を促す方策の検討を行っているところである。
 一方、超過勤務縮減のためには、各府省における管理職員による勤務時間管理を徹底するとともに幹部職員が自ら率先して早期退庁に努めることなどにより不必要な在庁時間削減の取組を進めることが必要であることから、管理職員の意識啓発を図るなど、引き続き各府省とも連携して超過勤務の縮減に取り組んで参りたい。
(2) 配偶者の転勤に伴う離職への対応について
 配偶者の転勤に伴う離職への対応の検討については、休業制度の創設を念頭に置き、各府省における人事管理や公務運営への影響等について検証を行うとともに、制度化する場合の内容等について、各府省、職員団体の意見も踏まえつつ鋭意検討を進めてきたところであり、現在、成案を得るための最終的な詰めを行っているところである。
 人事院としては、成案がまとまり次第、配偶者の海外への転勤等に伴い、配偶者に帯同することを事由とする新たな休業制度の法案化のための所要の措置をとることとしたいと考えている。
(3) 男女平等の公務職場の実現について
 「第3次男女共同参画基本計画」においては、国の行政への女性の参画は、男女共同参画社会実現のために政府全体として積極的に取り組むべき重要な課題とされている。このため、人事院が平成23年1月に改定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」に基づき、各府省は平成27年度までの目標と目標達成に向けての取組等を定めた5カ年計画である「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定し、具体的な取組を進めている。
 人事院では、各府省と連携して募集・啓発活動に取り組むとともに、女性職員研修やメンターのための研修の実施、意識啓発や女性職員が働きやすい勤務環境の整備を行っているほか、各府省の人事担当課長からなる「女性職員の採用・登用拡大推進会議」を毎年定期的に開催し、各府省の取組が実効性のあるものとなるよう支援するとともに、各府省の取組状況をフォローアップしているところである。人事院としては、今後とも、女性職員の採用・登用の拡大に向けた各府省の具体的な取組を支援していくこととしている。
 育児や介護のための両立支援制度については、これらの制度がより活用されるよう、リーフレットの配布等を通じて制度の周知を図るとともに、「育児・介護を行う職員の仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針」に基づき、両立支援のための環境整備の推進や「仕事と育児・介護の両立支援に関する連絡協議会」を設置し、各府省における取組等に関する情報提供、意見交換等を積極的に行っている。今後ともこうした施策を通じて各府省の着実な取組を促して参りたい。
 また、男性の育児休業の取得促進については、配偶者の就労状況にかかわりなく夫婦が同時に育児休業が取得できる制度の導入や子の出生の日から57日以内に最初の育児休業をした場合、当該子について再び育児休業をすることができる特例の措置や、1か月以下の育児休業を取得した職員について、期末手当の在職期間から当該育児休業期間を除算しないよう人事院規則の見直しを行ったところである。
 人事院としては、公務における男性の育児休業取得が促進するよう、今後、男性の育児休業取得が進まない原因等について意識調査を実施し、今後行うべき環境整備の内容等について各府省に助言・指導を行うなど必要な対応を行って参りたい。
 なお、本年の勧告時の報告においては、人事院がこれまで取り組んできた育児や介護に関する両立支援制度の一層の拡充、推進を図る観点から、多様で弾力的な勤務時間制度等について検討を進める旨を表明したいと考えている。
(4) 福利厚生施策の充実について
 人事院では、心の健康づくりをはじめとする健康安全対策について、各職場において推進すべき重要な事項であるとの認識に立ち、各府省と連携しつつ、施策の推進に努めてきたところである。特に、心の健康づくり対策については、心の健康問題に対する職員の意識を高めた上で、心の不調者の発生防止を目指す「1次予防」、早期発見・早期対応を目指す「2次予防」及び円滑な職場復帰と再発予防を目指す「3次予防」を総合的に進めていく必要がある。これまでは、心の不調者の急激な増加に対処するため、2次予防及び3次予防にウェイトを置いた対策を講じてきたが、精神及び行動の障害による長期病休者の割合の増加傾向が落ち着いてきた状況を踏まえると、今後は、1次予防にもより一層力を入れていく必要があるものと考えている。1次予防の対策としては、心の健康づくり研修を強化するなどに加えて、過度のストレスがなく、いきいきとした職場の実現を目指す「心の健康づくりのための職場環境改善」の取組が効果的であり、平成24年10月に各府省に対して同取組の推進を求める通知を発出し、更なる取組を進めているところである。人事院としては、心の健康づくりをはじめとする健康安全対策について引き続き力を入れていきたいと考えている。
 また、いわゆるパワー・ハラスメントの防止に関しては、「パワー・ハラスメントを起こさないために注意すべき言動例」を作成し、各府省の職員に周知するとともに、パワー・ハラスメントに関するアンケート調査を実施し、その結果を取りまとめ各府省にフィードバックしたところであり、人事院としては、今後も、パワハラ、セクハラ防止のための施策等について検討して参りたいと考えている。
2.非常勤職員制度等について
 非常勤職員の休暇については、従来より、臨時・緊急の必要に応じて任用されるという非常勤職員の性格を踏まえ、民間の状況等を考慮し措置してきているところであり、引き続き民間の動向等を注視しつつ適切に対処して参りたい。

 これらの回答に対して、吉澤事務局長は、次の通り、局長の見解を質した。
(1) 超勤時間が一向に減らない中で、目安の360時間、720時間を見直すべき時期に来ているのではないか。知恵を出すのが難しいのはよくわかるが、それでは何も進まない。超勤は管理職の人事評価項目に入っており、そのことも踏まえ、超勤縮減をもう一度掘り下げて検討すべきだ。
(2) 配偶者帯同休業制度について、事前に掌握するのは難しいと思うが、どの程度の対象職員数を想定しているのか。
 休業者の業務はどうするのか、また、離職防止の観点に立つと、海外だけではなく、国内の遠隔地などに、制度を発展させていくことも考えているのか。
 現場からは、介護休業を求める声が強い。「公務が先行して民間誘導」という報道もあるが、よいことは社会的取組みとして公務も進めていくというスタンスは極めて大事だ。
(3) 「1次予防」というのなら、職場環境改善が重要だ。心の健康づくり指針の中には「心の健康状況の定期的な把握」があるが、各省ではどのような状況か。
 組織的なレベルできちんと把握していかなければ、的確に職員の心の健康状況を把握できないと思うがどうか。
(4) 期間業務職員制度は導入から約3年になる。ある省の非常勤職員の採用募集で、採用期間が8月1日から3月31日の予定で、年休は採用から6ヵ月経過と書いてあり、実質2ヵ月しかない例がある。非常勤職員の休暇制度について、改善すべきではないか。

 これらに対し、井上局長は以下の通り答えた。
(1) 公務の業務は他律的な要素が多いため、超勤問題は対応が非常に難しい。仕事のやり方や処理の改善・効率化を地道にやって、超勤時間を小さくしていくしかないと思う。360時間、720時間という目安があるのだから、それに収斂していくようにやっていく。
(2) 配偶者帯同休業制度の具体的な対象職員数の把握は難しい。
 今回導入する制度の対象は海外であり、大きな文脈で言えば両立支援という認識をしている。配偶者帯同休業制度の拡充は、今の提案段階では何も言えない。
 介護休暇・休業は、官民問わず使用実績が少ない。これがどういう要因なのか、構造的に問題がないか、分析・研究して、どうすれば実効性があるのか考えていきたい。両立支援の制度は、民間準拠が基本で強弱がさまざまであるが、公務として適切に受け止めて、必要な対応をしていきたい。
(3) 各府省の状況は具体的には承知していないが、現在、人事評価制度がある中で、各期に管理者と職員が向き合って話し合う場があり、把握するプロセスができている。
 職場環境改善の取組みは、アンケート調査を行い、科学的知見で職場毎に一定の結果を把握できるということで、昨年から人事院でも各省に提案しているので、広がっていくように努力したい。
(4) 期間業務職員の休暇制度については、今の制度の枠組みから考えると、民間の同等の従業員の処遇との均衡を図っていくことが前提だ。今後、こうした制約条件の下で、何ができるのかを考えていきたい。

 最後に、吉澤事務局長が「勧告・報告まであまり時間はないが、今日の議論が生きる形で、提出した要求事項を鋭意検討してもらいたい」と要請し、本日の交渉を締めくくった。

<給与局長交渉の経過>
 古屋給与局長との交渉は、14時50分から行われた。
 吉澤事務局長が、本日時点での検討状況について回答を求めたのに対し、古屋局長は、以下の通り答えた。

1.勧告について
 人事院としては、公務員の給与等の適正な水準を確保するため国会と内閣に必要な勧告を行うという国家公務員法に定められた責務を着実に果たすこととしている。
 本年の勧告については、例年とおおむね同様の日程を念頭に置いて、鋭意作業を進めているところである。
2.官民較差について
 本年の国公実態においては、高齢層での退職者の減少、新規採用の抑制等の影響によって、行(一)職員の平均年齢は上昇している。
 官民較差については、民間給与に対して、現行の給与法に基づく額、給与改定・臨時特例法に基づく減額後の額のそれぞれと比較することとし、その上で、勧告の前提となる官民比較は、給与法に定められた給与月額を基礎として行うことが適当と考えている。官民較差については、現在集計を行っているところであり、今の段階では何ともいえない。本年の民間企業における春季賃金改定状況についてみると、各種調査では、前年比で小幅な増減がみられる状況にあるが、最終的に較差がどうなるか注目している。
 また、一時金についても、現在集計中であり、現段階では何とも言えない。
3.50歳台職員の給与の見直しについて
 50歳台職員の給与については、官民の給与水準は人事院勧告を通じて全体として均衡させているものの、50歳台、特に後半層においては、依然として、公務の給与水準が民間を相当程度上回っている状況にあることから、引き続いて検討を行ってきているところであり、今年については官民較差の結果を踏まえ、適切に対応することとしたい。
 なお、50歳台職員の給与の見直しについては、今後も民間賃金の動向を踏まえつつ、引き続き検討を行っていく必要があるものと考えている。
4.雇用と年金の接続について(再任用職員の給与)
 雇用と年金の接続に関し、再任用職員の給与については、本年3月に閣議決定された「国家公務員の雇用と年金の接続について」において、幅広い職域や勤務地で活用すること等再任用職員の今後の職務や働き方の実情等を踏まえ、給与制度上の措置について必要な検討を行うよう要請がなされており、人事院としてはこの要請を踏まえ検討を行っているところ。
 しかしながら、公的年金が全く支給されない民間の再雇用者の給与の具体的な実態は来年度から把握できるようになること、各府省では、現在、来年度における再任用職員の具体的なポストや勤務地等を検討している段階であることから、再任用職員の給与の在り方について判断できる状況にはないところ。人事院としては、公務と民間の実態についてさらに詳しく把握をした上で、必要な検討を進めることとしたいと考えている。
5.非常勤職員等の処遇改善
 非常勤職員の給与については、平成20年に指針を定め、必要に応じてフォローアップを行っているところであり、指針に沿った給与の適正な支給が図られるよう努めて参りたい。
 期間業務職員制度は、職員団体を始め各方面の意見等を踏まえ、平成22年10月に導入したものであるが、人事院としては、引き続き、制度の周知等を行うなど、各府省において本制度を設けた趣旨に則った適正な運用がなされるよう取り組んで参りたい。
6.その他
 最後に、本年の勧告時の報告に関して申し上げる。
 国家公務員の給与については、給与構造改革において、俸給制度、諸手当にわたる総合的な見直しを行ったところであるが、この給与構造改革に関する勧告から10年近くがたっており、その間、社会経済情勢、雇用情勢は大きく変化し、高齢者雇用のための環境整備も官民を通じた課題となっている。こうした中、公務員給与の在り方について、50歳台職員の官民の給与差の問題や、地域における給与水準の在り方、成績反映の在り方など、一層の取組を進めるべき課題が生じてきている。
 このような状況を踏まえると、公務員給与に対する国民の理解を得ながら、人材確保や職員の士気・組織活力の維持・向上を図っていくためには、給与上の諸課題について取組を進めていく必要があり、俸給表構造や諸手当の在り方を含め、給与制度全体について総合的に見直していく必要があると考えている。
 今年の勧告時の報告では、こうした認識に基いて、給与制度の総合的な見直しについての検討表明を行う予定である。主な課題としては次の通り。
 @ 50歳台後半層の官民の給与差を踏まえ、世代間の給与配分の更なる見直し
 A 地域間の給与配分の更なる見直し
 B 人事評価の適切な実施と給与への適切な反映、昇給効果の在り方
 C 技能・労務関係職員の業務の見直しと民間の状況を踏まえた給与水準の見直し
 D 民間企業の組織形態の変化に対応した職種別民間給与実態調査における調査対象従業員の拡大
 等の課題がある。
 これらの課題は相互に関連するものであり、給与制度全体について総合的に見直し、早急に結論を得ることとしたい。
 なお、これらの課題の検討に当たっては、職員団体をはじめ関係各方面の意見も聞きながら進めて参る所存。

 回答に対し公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質した。
(1) 今年の勧告日については、来週と理解してよいか。
(2) 国公は臨時特例減額が継続中であり、非常に関心が高い。「集計中」ではなく、一時金も含めてもう少し踏み込めないか。合わせて一時金の実支給月数は3.56月であることは重いことを指摘しておく。
(3) 「官民比較は、給与法に定められた給与月額を基礎として行うことが適当」と言われると、国家公務員に実際に支給されている額は異なるのでいかがなものかと言わざるを得ない。慎重に対応してもらいたい。
(4) 50歳台職員に係る昇給、昇格については昨年で一定の決着が図られ、昨年の報告では「必要な対応について検討を進める」としていたが、今年、何か措置するのか。
(5) 再任用者の給与については、今年は措置しないという、いきなり結果ありきの回答だが、意見の申出を行った人事院としては定年延長の必要性を強く打ち出すべきだ。今年度の定年退職者は61歳まで年金が出ないので、再任用者の給与をどうするかは重大な課題だ。地方の人事委員会に与える影響が大きいので、定年延長を含め、人事院が方向性を示すことが重要だ。

 これに対し古屋局長は、次の通り答えた。
(1) 勧告日については、おおむね例年と同様の時期を念頭に置いている。
(2) 国公実態の平均年齢は上がっているが、ラスパイレス比較のもとで較差に影響を与えているかどうかは分からないし、集計中である。一時金についても同様だ。
(3) 民間準拠に基づく勧告が大前提であり、2年間の臨時特例減額は異例の措置であり、基本は給与法に基づく給与月額が基礎となるということである。
(4) 50歳台職員の給与については、民間と比較してかなり大きな差があり、去年の措置を講じても、まだやらざるを得ない優先度が高いが、今年何かということとは別にということで申し上げている。
(5) 年金支給開始年齢の引上げが差し迫る中、今回の再任用の義務化については、やむを得ないと受けとめている。一方で再任用は「当面の措置」で、年金支給開始年齢が62歳に引き上げられる段階で定年延長を再検討してほしいという人事院のスタンスに変わりはない。再検討の必要性を問い続けていく。再任用者の給与は、官民の状況がまだ分からないので、それぞれの状況を踏まえ、来年また考えようということだ。

 次に公務員連絡会側は、非常勤職員の課題について、人事院に対応を求めた。
(1) 期間業務職員制度は今年で3年目を迎え、それなりに制度の定着が図られてきたことは評価できるが、非常勤職員、期間業務職員の方がいて国の行政が回っている中、こうした人たちに光を当てて、処遇などについて切れ目なく見直していく必要がある。3年目の今年を節目と捉え、制度の検証を求める。
(2) 現場では、実質3年の雇用しか保障されない中で、働く側にとってみれば4年目の雇用に対する不安もあるし、雇う側にとってみても辞められたら困る問題もある。この点についてどう考えるか。

 これに対し古屋局長は、「給与については、適宜指導し、おおむね制度の趣旨の範囲で運用されていると理解している。最初の公募採用、以後同様の官職について2回の公募なしの採用が認められ、事実上3年間雇用している。一義的には、各府省が制度の趣旨に則って適切に運用していくということだ。各府省から問題を指摘されれば、人事院として然るべく対応していく。日々雇用に代えて期間業務職員制度を導入することで、育児休業等が整備されたなどの前進があるのではないか」と答えた。
 回答に対し、さらに公務員連絡会側は、「非常勤職員は、予算主義の中で使い勝手に良いように扱われ、非常に問題がある。働く者の目線で処遇を考えるべき」「給与法改正の際の附帯決議では地公の非常勤職員等の処遇に関する内容が盛り込まれたことも十分受けとめるべき」と要請するとともに、重ねて期間業務職員制度について検証すべきことを提起した。
 最後に、吉澤事務局長は、「その他」として勧告時の報告の中で、給与制度の総合的見直しについて検討表明する意向であることについて、「較差がどうなるか示さない中で、制度改革の具体的項目に言及するのは議論の順番を逸脱しているのではないか」と指摘した上で、「勧告を直前に控えた今日の段階でも、官民較差、一時金について具体的に答えておらず著しく不満だ。再度給与局長交渉を行い、具体的な見解を示してもらいたい。給与制度見直しの表明は、給与構造改革が大混乱の中でようやく落ち着いてきたところに、またかという思いであるが、然るべき時期に丁寧に議論をさせてもらいたい」と強く要請し、給与局長も再度の交渉に同意したことから、これを確認し、本日の交渉を締めくくった。


−地公部会は「2014年度の地方財政充実を求める中央集会」を実施−

 公務員連絡会地方公務員部会は、公務員連絡会人勧期中央行動にあわせ、11時から、全電通労働会館ホールで「2014年度の地方財政充実を求める公務員連絡会地公部会7.30中央集会」を開催、約500人の仲間が参加した。集会は、2014年度の地方交付税の確保をめざし、地方財政をめぐる諸情勢に対する共通認識をはかるとともに、今後の取組みについて意思一致を行うため、実施した。
 主催者挨拶に立った、永井地公部会議長代行は「昨年末の総選挙以降、政府は地公給与削減を地方自治体に要請してきた。しかし、地公給与は個々の自治体条例に基づき労使の自主的な交渉によって決定されるのであり、政府が介入することはあってはならない。地方自治の根幹に触れる問題だ。2014年度の地方財政のため、引き続き一致団結して頑張っていこう」と訴えた。
 続いて、藤川地公部会事務局長が、地方公務員給与及び地方財政をめぐる情勢認識の共有化と今後の取組みについて基調を提起。その中で、「2014年度の地方交付税について政府は、民主党政権が地方の雇用対策、経済活性化などを目的に充実をはかってきた。歳出の特別枠の約1.5兆円(2013年度)を見直すとしており、仮に全廃されれば地方財政危機が再び起こり、地方公務員給与削減が続く。それを阻止するために、本日の集会を契機に新たなステージの取組みをすすめる必要がある」と述べた。決意表明では、須田自治労島根県本部書記長、川崎千葉県教組書記長、高畠全水道九州地本書記長、黒崎島根高教組書記長が各組合の取組みを報告し、2014地方財政充実を求めて全力で闘い抜く決意を表明、最後に永井地公部会議長代行の音頭で団結ガンバローを三唱し、集会を終えた。

以上