公務員連絡会地公部会は10月29日12時から、地方自治体に働く臨時・非常勤職員の処遇改善、雇用安定を実現する法整備を求める院内集会を開催した。集会には全国から臨時・非常勤職員の仲間のほか、民主党、社会民主党、公明党、国民の生活が第一、みどりの風、国民新党、みんなの党の国会議員及び秘書ら、250人にものぼる参加者が集まった。
集会の冒頭、木敏雄地公部会議長(都市交委員長)は「臨時・非常勤等職員は約70万人にも及び、全職員の1/3を占めている。常勤職員を置き換える形で進められ、常勤職員と同様の恒常的な業務に携わっているにもかかわらず、年収が200万円以下であり、任期も1年以内とされているため任用が更新されるかどうかの雇用不安もある。また、民間のように労働契約の概念が認められず、臨時・非常勤職員の雇用を守る法制度が存在していないのが実態だ。臨時・非常勤職員に手当支給を認める地方自治法の改正、民間のパート労働法の趣旨を公務員にも適用させるような法整備、任期の定めのない短時間公務員制度の実現なくしては解決できない。雇用継続の改善の取組みにむけてともにがんばろう」と主催者を代表して挨拶した。
次に、以下のとおり各政党からの挨拶が行われた。
○逢坂誠二衆議院議員(民主党)
公務員をバッシングすれば世の中が良くなるような風潮になっているが、かつては公務員は国民から尊敬され感謝される存在であった。それが小泉改革で、予算を絞り効率的に市場の原理で仕事をすればあらゆるものがうまくいくという考え方が公務においても持ち込まれ、公共サービスの切下げが始まった。しかし、非正規にすべてを任せていては公共サービスの質を保てない。今の公共サービスの提供の在り方はおかしいということ、臨時・非常勤職員がどんどん増えているという実態を国民にも理解してもらうことが大切。国は臨時・非常勤職員問題について一定の方向を出すことが重要だが、地域によって格差はあるので、差異に応じた対策をする必要がある。民主党はこの問題をこのまま放置しておくことはできないと考えており、この集会を一つの契機に、皆さんの思いを受け止め、取り組んでいく。
○福島みずほ参議院議員(社民党)
臨時・非常勤職員の労働条件はひどい実態で、変えていかなければならないと思っている。労働者派遣法、労働契約法の改正は通ったが、来年はパート労働法が国会で審議される。遅々とした歩みであるが、もっと国会の中で取り上げて改善を図っていきたい。雇用を守り、公共サービス実現のために頑張る。
○西博義衆議院議員(公明党)
表面上は定員削減すると言いながら、その裏でどうしても人員補充が必要ということで、臨時・非常勤職員の皆さんが公共サービスの現場を支えているという実態は看過できない問題だ。この問題をできるだけ多くの人に理解してもらうことが大切。国の非常勤職員については手当支給が認められているにもかかわらず、地方公務員においてはそれが認められないというのは問題であり、国として一定の方向を示すように私どもとしても積極的に取り組んでいきたい。
○鈴木克昌衆議院議員(国民の生活が第一)
臨時・非常勤職員の処遇問題の解決なくして日本の労働問題は解決できないと思っている。160万にも及ぶ署名をいただいたにもかかわらず、地方自治法改正が実現しなかったことはお詫びするが、各党の皆さんと力を合わせて、日本のために、国民のために頑張ることをお誓いする。
○行田邦子参議院議員(みどりの風)
みどりの風の理念は助けあう、譲りあう、ともに分かち合うという「日本型の共生社会の構築」である。私は民間企業に18年間勤め、その間非正規で勤めていたときもあった。その時を振り返ってみても、処遇改善や雇用継続の問題は、労使で解決できることではなく、政治が手を差しのべるべきということを実感し、それが政治活動の原点となっている。短期的には、臨時・非常勤職員の皆さんにせめて手当が支給できるようにしたい。長期的には、均等待遇の実現をはかることであり、まずは公務の職場からの実現をしたいと考えている。超党派で頑張りたい。
○寺田典城参議院議員(みんなの党)
地方自治体の首長であった経験から臨時・非常勤職員の皆さんの力を借りなければ、公共サービスは回らない。先の通常国会での参議院総務委員会質疑で、臨時・非常勤職員にも手当支給ができるよう政府に対して要望を行ったところ。義務付け、枠付けで地方自治体が身動きがとれなくしている法律は、見直しをしていく運動をしなければならないと考えている。
続いて、藤川地公部会事務局長は、自治労が実施した2012年度自治体臨時・非常勤等職員の賃金・労働条件制度調査結果(中間報告)を用いながら、@2008年の自治労調査から比較して4年間で10万人も臨時・非常勤職員増加していること、A週勤務時間数は30時間程度、平均時給は800円台がほとんどであり、主たる生計者であっても年収150万円という実態があること、B通勤手当の支給や、定期健康診断の実施、忌引き休暇などが未整備であること、などについて報告し、こうした厳しい労働実態を行政が放置していることを厳しく批判した。その上で、出席した国会議員らに対し、「自治体で働く70万人の悲痛な思いを受け止めてほしい。地公部会が求めている、@地方自治法の改正、Aパートタイム労働法の趣旨の自治体への適用、B雇用安定のための措置について、国政上の重い課題として位置づけ、法整備を進めてほしい」と訴えた。
その後、参加者を代表して高橋英津子自治労臨時・非常勤等職員全国協議会議長が「臨時・非常勤職員の存在なくして公共サービスの提供はできない実態をふまえ、手当支給の法改正の実現をお願いしたい」と求めた。また、川添まゆ美滋賀県教職員組合臨時採用教職員部副部長は「担任や主任を任される、部活動も担当するなど正規教職員と全く同じ仕事をしているにもかかわらず、非常勤の教職員の賃金は厳しい状況におかれている。臨時学校事務職員として私は働いているが、10年目で月給14万9800円、自立した生活は送れず、自分の将来をみつめられないことが辛い。民間非正規の法整備は進んで、公務の非正規に対する法整備が遅れているのはおかしい」と強く訴えた。
最後に、臨時・非常勤職員の処遇改善、雇用安定を実現する法整備を求めて、加藤良輔副議長(日教組委員長)の団結ガンバローで決意を固め、集会を終えた。
以上