政府は本日朝、第2回給与関係閣僚会議を開き、本年の人事院勧告の取扱いについては、特例減額期間終了後に向けて高齢層職員の給与水準見直しの幅広い検討を行い、来年中に結論を得ることを確認し、その後の閣議で正式に決定した(資料1、2、3)。
公務員連絡会は、閣議決定に対する声明を発し、「政府が特例減額期間中は実施しない方針を正式に決定したことは、この間の労使合意に則った当然の判断」とした上で、2014年4月に向けた高齢層職員の給与水準見直しの幅広い検討に対しては、政府が公務員連絡会と真摯に向き合い、労使交渉・合意に基づいて進めていくことを強く求めた。また、地方公務員の給与については、財政上の措置を含め国家公務員給与引下げの影響を遮断することが政府との約束であり、各自治体の実態と労使交渉が尊重されなければならないこと、A独立行政法人等の給与については、法人の自主性・主体性のもとにおける労使交渉・合意に基づいて決定されなければならないこと、等を強調した(資料4)。
資料1−閣議決定の内容
公務員の給与改定に関する取扱いについて
平成24年11月16日
閣 議 決 定
1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月8日に人事院勧告が行われ、労働基本権が制約されている現行制度においては人事院勧告制度を尊重することが基本であるとの考え方の下、真摯に検討を進めてきたところである。
人事院勧告の指摘する昇給制度の見直しを含めた高齢層職員の給与水準等の見直しは重要な課題である。一方、現在、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成24年法律第2号)により、厳しい給与減額支給措置が講じられており、人事院の勧告時報告においても、国家公務員の月例給の水準は、民間と比較して平均7.67%低い状況にあるとされている。特に高齢層職員については、若年層職員に比較して、相対的に厳しい給与減額支給措置を受けている状況にある。
これらを踏まえ、政府としては、今回の人事院勧告で指摘されている昇給制度の見直しを含めた高齢層職員の給与水準の見直しについては、世代間の給与配分の適正化や雇用と年金の接続の観点から幅広く検討を行い、給与減額支給措置期間が終了する平成26年4月から実施する方向で、平成25年中に結論を得るものとする。
2 特別職の国家公務員の給与については、おおむね1の趣旨に沿って対応するものとする。
3 我が国の財政事情が深刻化している状況に鑑み、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要がある。そのため、次に掲げる各般の措置を講ずるものとする。
(1) 予算の執行に当たっては、優先順位の厳しい選択を行い、経費の節減に努めるとともに、今後、なお引き続き、経費の見直し・節減合理化を図ること等により、歳出の削減に努力する。
(2) 国家公務員の定員については、平成25年度において、大幅な採用抑制を反映して、徹底した業務の見直しを前提に、これまでの規模を大幅に上回る純減を目指す。
(3) 独立行政法人(総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第13号に規定する独立行政法人をいう。) の役職員の給与改定に当たっては、法人の自律的・自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与水準も十分考慮して給与水準を厳しく見直すよう要請する。
また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、同様の考え方の下、給与水準を厳しく見直すよう要請するとともに、必要な指導を行うなど適切に対応する。
(4) 地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切な措置を講じるとともに、地方公共団体の定員についても、適正な定員管理の推進に取り組み、行政の合理化、能率化が図られるよう期待する。
資料2−官房長官談話
内閣官房長官談話
(平成24年11月16日)
1 去る八月八日に提出された人事院勧告の取扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本方針の下、真摯に検討を進めてきましたが、現在、給与改定・臨時特例法により、高齢層職員については若年層職員と比較して相対的に厳しい給与減額支給措置が講じられている状況にあります。
2 これらを踏まえ、今回の人事院勧告で指摘されている昇給制度の見直しを含めた高齢層職員の給与水準の見直しについては、世代間の給与配分の適正化や雇用と年金の接続の観点から幅広く検討を行い、給与減額支給措置期間が終了する平成二十六年四月から実施する方向で、平成二十五年中に結論を得ることを決定いたしました。
3 政府としては、我が国の財政事情が深刻化している状況に鑑み、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要があると考えております。そのため、経費の見直し、節減合理化等による歳出の削減に努力するとともに、国家公務員の定員についても、平成二十五年度において、これまでの規模を大幅に上回る純減を目指すなど、各般の措置を講じてまいります。
4 地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切な措置を講じるとともに、地方公共団体の定員についても、適正な定員管理の推進に取り組み、行政の合理化、能率化が図られるよう期待いたします。
5 公務員諸君は、今回の決定が以上のような趣旨に基づくものであることを十分理解し、公務員一人一人が国民全体の奉仕者であることを強く自覚するとともに、改めて厳正な服務規律の確保と公務の適正かつ能率的な運営を図るよう強く期待するものであります。
資料3−総務大臣談話
総 務 大 臣 談 話
平成24年11月16日
1 政府は、去る8月8日に提出された人事院勧告を受け、その取扱いについて、労働基本権が制約されている現行制度においては人事院勧告制度を尊重することが基本であるとの考え方の下、真摯に検討を行ってまいりました。
2 人事院勧告の指摘する昇給制度の見直しを含めた高齢層職員の給与水準等の見直しは重要な課題である一方、現在、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律により、厳しい給与減額支給措置が講じられており、特に高齢層職員については、若年層職員に比較して、相対的に厳しい給与減額支給措置を受けている状況にあります。
3 これらを踏まえ、本日の閣議において、今回の人事院勧告で指摘されている昇給制度の見直しを含めた高齢層職員の給与水準の見直しについては、世代間の給与配分の適正化や雇用と年金の接続の観点から幅広く検討を行い、特例減額支給措置期間が終了する平成26年4月から実施する方向で、平成25年中に結論を得ることを決定いたしました。
4 政府としては、経費の見直し・節減合理化等による歳出削減に努力するとともに、国家公務員の定員についても、平成25年度において、これまでを大幅に上回る純減を目指すなどの措置を講じてまいります。
5 地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切な措置を講じていただくとともに、地方公共団体の定員についても、適正な定員管理の推進に取り組み、行政の合理化、能率化が図られるよう期待いたします。
6 なお、地方公共団体においても行財政改革の取組が進められているところであり、各府省におかれては、地方公共団体に定員の増加を来し、人件費の累増をもたらすような施策を厳に抑制されるようお願いいたします。
資料4−公務員連絡会の声明
声 明
(1) 政府は、本日の第2回給与関係閣僚会議で本年の人事院勧告の取扱いについて、2014年4月に向けて高齢層職員の給与水準見直しの幅広い検討を行い、2013年中に結論を得ることとし、臨時特例減額期間中は実施しないとの方針を確認し、その後の閣議で正式に決定した。
(2) 国家公務員給与の臨時特例減額が行われている下にあって、本年、人事院が給与改定勧告を見送ったことは当然のことであったが、55歳を超える職員について標準の成績では昇給しないこととする給与法改正勧告と、人事院規則を改正し高位号俸からの昇格時俸給増加額を縮減するとの報告を行ったことは遺憾なことであった。
(3) 勧告の取扱いについて、公務員連絡会は、政府に対し、2014年3月までは平均7.8%の臨時特例減額が実施されていることを踏まえた対応を求めてきた。本日の閣議で政府が特例減額期間中は実施しない方針を正式に決定したことは、昨年5月23日の当時の片山総務大臣との交渉における合意及び10月28日の「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(閣議決定)など、この間の労使合意に則った当然の判断である。
2014年4月に向けた高齢層職員の給与水準見直しの幅広い検討に対しては、政府が公務員連絡会と真摯に向き合い、労使間の交渉・合意に基づいて進めていくことを強く要請するものである。
(4) 本日の閣議決定は、現に高齢層職員の給与が厳しく抑制されていることをも勘案した対応であり、人事院に対し、高位号俸からの昇格時俸給増加額を縮減する人事院規則の改正についても同様の趣旨からの措置を求めておく。
(5) 地方公務員の給与については、財政上の措置を含め国家公務員給与引下げの影響を遮断することが政府との約束であり、各自治体の実態と労使交渉が尊重されなければならない。独立行政法人等の給与については、法人の自主性・主体性のもとにおける労使交渉・合意に基づいて決定されなければならない。
(6) 戦後60余年にわたって制約されてきた公務員の労働基本権について、民主党を中心とする政権の下で、自律的労使関係制度を確立するための国家公務員制度改革関連四法案及び地方公務員制度改革二法案が国会に提出されたことは歴史的な画期となった。これら法案は衆議院の解散により廃案とならざるを得ないが、政府及び国会に対し、これを決して無にすることなく、課題の解決に向けた引き続きの努力を強く求めるものである。
2012年11月16日
公務員労働組合連絡会
資料5−連合の事務局長談話
2012年11月19日
公務員の給与改定に関する閣議決定についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行
1.政府は、11月16日、人事院が本年8月8日に勧告した55歳を超える国家公務員の給与水準抑制を目的とする昇給制度の見直しを、2013年度までの臨時特例減額期間中は実施しない方針を閣議決定した。
2.今回の閣議決定は、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」の減額措置により、国家公務員給与が民間と比較して平均7.67%低い状況にあることや、特に高齢層職員については、若年層職員に比較して相対的に厳しい給与減額措置となっていることなどを考慮したものであり、妥当な判断である。
3.政府は、今後、高齢層職員の給与水準の見直しについて、昇給制度を含め、世代間の給与配分の適正化や雇用と年金の接続の観点から幅広く検討を行うとし、給与減額措置期間が終了次第実施する方向で、2013年中に結論を得るとしている。連合は、政府が、これまでの減額措置や高齢層職員の給与が厳しく抑制されていることなどを勘案するとともに、労使交渉を基本とした対応を行うよう求めるものである。また、地方公務員の給与については、国家公務員の給与削減が影響することのないよう、各自治体における労使交渉が尊重されなければならない。
4.連合は、国家公務員制度関連四法案の速やかな成立とともに、消防職員への団結権付与を含む地方公務員制度改革関連法案の早期提出・成立を政府・与党に求めてきた。地方公務員制度改革関連法案は11月15日に漸く国会に提出されたものの、これを含め、公務員制度関連法案は衆議院解散により廃案となった。連合は、これまでの取り組みを足掛かりとし、引き続き公務員の労働基本権付与などを柱とする民主的な公務員制度の確立に全力で取り組む。
以 上