2014年度公務労協情報 12 2013年12月26日
公務公共サービス労働組合協議会

事務・権限の移譲等に関する見直し方針について分権改革推進室と協議−12/26
−今後も節目毎の交渉・協議と合意に基づく対応を強く要請−

 公務労協は12月26日、政府が20日に閣議決定した「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」(以下、「閣議決定」)に関し、地方分権改革推進室と協議を行った。
 公務労協から花村副事務局長をはじめ、該当組織担当役員らが参加、地方分権改革推進室からは七條参事官らが対応した。

 冒頭、七條参事官が閣議決定の概要について、以下の通り説明した。
(1) 閣議決定の基本的考え方に書いてある通り、第1次安倍内閣で設置した地方分権改革推進委員会の勧告があり、それを随時実現させてきた。残された課題が国から地方への事務・権限の移譲であったことから、今年の春以降、これまでの経緯も踏まえ検討してきた。
(2) 本年9月に「当面の方針」(2013年9月13日地方分権改革推進本部決定)として、各省庁と地方の意見を踏まえ、別紙1〜4という形で整理した。そのうち別紙1が各省庁と地方とが移譲の方向で一致していたものであるが、これらを中心に見直し方針では、各項目ごとに移譲する事務・権限を具体的に列挙している。
 このほか、別紙2〜4の関係も、移譲以外の見直しを行うものも含め、調整の整ったものについて記載している。
(3) この結果、閣議決定には、国から地方公共団体への移譲等が48事項+18事項で66事項、都道府県から指定都市への移譲等が29事項+4事項で33事項を盛り込んでいる。また、国から地方、都道府県から指定都市、双方の共通事項として、移譲に伴う財源措置その他必要な支援の実施について記載している。
(4) 「当面の方針」でも書いてあるが、法律改正事項については、一括法案等を平成26年通常国会に提出することを基本とするとしている。

 説明に対し、公務労協側は以下の通り質した。
(1) 「出先機関改革に係る工程表」(2009年3月24日地方分権改革推進本部決定)では、「8府省15系統の機関を中心に出先機関の改革を進める」とされた。こうした「組織の見直し」はどう扱われるのか。
(2) 今回の改革に伴う、組織・定員に関して想定されるものはあるのか。動きがあるとすれば、法案が成立した後か。
(3) 今回閣議決定が行われたということは、基本的に自治体との協議が終わったと考えてよいか。移譲ができる法案を整備しておいて、それ以降は各府省と都道府県が協議をしていくというイメージか。また、移譲が決まったところは、2015年から具体的に移譲するということでよいか。例えば、道路の箇所出しの部分で、今までに移譲に合意したところと、協議継続中のところもあるが、協議中のところは引き続きか。
(4) 「当面の方針」の別紙2における移譲というのは少なかったと受け止めるが、移譲と決定されないところは、具体的に予算や市町村などと相談しつつ、さらに検討していくのか。
(5) 今後の分権改革は一括法ではなく、個別法の対応になるのか。
(6) 道州制の議論が与党内でされているが、分権改革推進室では道州制に関する任務はあるのか。
(7) 閣議決定の35頁「(C)財源措置」のDで、「平成27年度から一定期間が経過した年度までの間に移譲された」とあるが、いつまでのことを指しているのか。来年の通常国会の法案でも出ないのか。

 これに対し、七條参事官は以下の通り回答した。
(1) 今般の検討は、平成21年の工程表を踏まえ、あくまで個々の事務・権限ごとに、国がやるべきか地方がやるべきかという役割分担について検討・調整した結果を見直し方針に盛り込んだものであり、組織論ありきということではない。
 地方分権改革推進委員会の勧告を受けた、いわゆる第二次分権改革は、今般の見直し方針、第四次一括法案で1つの区切りと考えている。今後は、新たに「地方分権改革の総括と展望」の取りまとめなどを踏まえ、分権改革を進めていくという流れである。
(2) 組織・定員というのは、まず仕事があって、それに人・金が措置されるもの。仕事が移るとなれば、それに係る人・金は移った先で、きちんと仕事ができるように措置するというのが基本的な考え方。
 平成26年の通常国会に法案提出なので、早くても施行は平成27年4月になる。それに向けて、どのような財源措置などを行うかは、平成27年度予算編成過程などで議論されることになる。
(3) 今回の閣議決定は、今年の春以降、各省庁の意見も聞き、地方側の意見も聞いた結果、現時点で調整が整ったものを記載している。道路・河川は、現時点での基本的考え方を記載しており、個別の路線などについては、今後の個別協議次第と認識している。
(4) 別紙2の関係は記載が少ないが、今般の閣議決定で第二次分権改革は一区切りと考えている。一方、今後の第三次分権改革で、例えば、地方からの提案募集などを1つの柱としており(「地方分権改革の総括と展望」概要参照)、今般記載のない別紙2の事項も、今後そのスキームの中で提案などがあれば、再度検討ということもある。
(5) 現時点では、地方分権改革の総括と展望の中間とりまとめがされたばかりであり、今後、来年春の最終とりまとめに向けて、地方懇談会などを開催し、いろいろな方の意見を聞きながらブラッシュアップしていくことになる。このようなとりまとめも踏まえ、今後も一括法方式をとるかどうかは、今後の検討である。
(6) 組織的には、内閣府地方分権改革推進室は道州制に関する任務を行っていない。政府としては、与党などの議論を注視している状況である。
(7) まだ決まっていない。道路・河川の関係は法案をどうするかも検討・調整中である。

 最後に、花村副事務局長は「来年の通常国会に法案を提出し成立すれば、早ければ再来年4月から動き出す。そこには予算と組織と人が影響するかもしれない。今日は節目の協議をさせてもらったが、今後とも、節目毎の交渉・協議と、合意に基づいて対応願いたい」と強く要請し、本日の協議を締めくくった。

【参考資料】
以下のURLを参照。
@ 「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」(2013年12月20日閣議決定)
http://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kakugiketteitou/kakugiketteitou-index.html
A 地方分権改革推進本部(第4回会合)(2013年12月20日)
・資料3「個性を活かし自立した地方をつくる 〜地方分権改革の総括と展望(中間取りまとめ)〜(概要)」
・資料4「個性を活かし自立した地方をつくる 〜地方分権改革の総括と展望(中間取りまとめ)〜」
http://www.cao.go.jp/bunken-suishin/honbu/honbukaisai/honbudai04/honbu04gijishidai.html
B 国から地方公共団体への事務・権限の移譲等に関する当面の方針について(2013年9月13日地方分権改革推進本部決定)
http://www.cao.go.jp/bunken-suishin/jimukengen/jimukengen-index.html

以上