公務員連絡会は2月19日、委員長クラス交渉委員が尾西人事院事務総長、新藤総務大臣とそれぞれ会い、2014春季生活闘争の火蓋を切った。要求書では、非常勤職員を含めた公務員労働者の賃金を引き上げること、超過勤務を着実に縮減すること、雇用と年金を確実に接続し、生活水準を確保することなどを強く求めている。今後、3月12日の幹事クラス交渉、3月19・20日の書記長クラス交渉などを節々で配置し、3月27日の回答指定日に向け、政府、人事院を追い上げることとしている。
また3月5日〜7日に、給与制度の総合的見直しについて、地域ブロック別に人事院に対し要請署名を提出する交渉等(ブロック上京行動)に取り組むこととしている。
交渉の経過はそれぞれ次の通り。
<人事院事務総長交渉の経過>
19日13時30分から人事院で行われた尾西事務総長との交渉には、松原副議長ほか委員長クラス交渉委員が出席し、春季要求書(資料1)を提出した。
要求提出に当たって、松原副議長は次の通り述べ、今後十分交渉・協議を重ね、3月27日には春の段階の誠意ある回答を示すよう強く求めた。
(1) 未曾有の大震災、原発事故から、早くも3年が過ぎようとしているが、いまだに避難生活を続けている被災者は27万人を超えており、その深刻さは計り知れない。改めて、被災地域の一刻も早い復興・再生が、わが国の最重要課題であることを肝に銘じ、公務部門の労働組合としても、それぞれの職場で全力を尽くしていく。
大震災からの一刻も早い復興・再生、そして国民生活の安心と安全を確保していくため、深刻な要員不足のもと、公務員労働者は現場で日夜身を粉にして奮闘している。十分な労働条件を確保するため、人事院としての役割をしっかり果たすことを求めておきたい。
(2) 公務員連絡会は、連合に結集し2014春季生活闘争に取り組んでおり、「底上げ・底支え」と「格差是正」を図るため、すべての働く者の処遇改善をめざしている。
デフレ脱却と経済再生のために、雇用の安定・拡大と賃上げ実現による消費の拡大が必要だと考える。人事院としても、公務員労働者の賃金引上げに向け、積極的に対応して頂きたい。
(3) このような情勢のもと、国家公務員給与の特例減額は本年度で終了するが、昨年、人事院は「給与制度の総合的見直し」を報告し、給与の地域間、世代間配分の見直しなどを検討課題としている。公務員連絡会は、とりわけ、格差を拡大する地域間配分の見直しには反対であり、人事院に対し、われわれと十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて検討作業を進めること強く要求する。
貴職におかれては、これらのことを十分認識され、本年の賃金・労働条件改善にあたって、@非常勤職員を含めた公務員労働者の賃金を引き上げること、A超勤上限目安時間の完全遵守などにより超過勤務を着実に縮減すること、B雇用と年金を確実に接続し、生活水準を確保すること、などに最大限努力されるよう、強く要求する。
(4) これから、交渉を積み重ね、3月27日には、春の段階の誠意ある回答を頂きたい。
続いて、吉澤事務局長が要求項目のポイントを説明し、「公務員給与が民間給与に与える影響は大きい。賃上げの社会的な好循環を実現していくため、人事院に求められる側面も大きい。そうした観点も含めて、今後議論をしていきたい」と、回答日に向けた公務員連絡会との交渉・協議や要求内容の前向きな検討をさらに要請した。
これに対して、事務総長は「皆さんからの要求は承った。公務を巡る諸般の情勢には厳しいものがあるが、各要求事項については、今後、誠意を持って検討し、しかるべき時期に回答したい」と答え、今後公務員連絡会と交渉・協議していく姿勢を示した。
<総務大臣交渉の経過>
19日17時50分から総務省で行われた新藤総務大臣との交渉には、棚村議長ほか委員長クラス交渉委員が出席し、春季要求書(資料2、3)を提出した。
要求提出に当たって棚村議長は次のように述べ3月27日には春の段階の誠意ある回答を示すよう強く求めた。
(1) 未曾有の大震災、原発事故から、早くも3年が過ぎようとしているが、いまだに避難生活を続けている被災者は27万人を超えており、その深刻さは計り知れない。
反面、国の復興予算が未消化となる一方、被災自治体の深刻な財源難が報道され、国・地方の役割分担のみならず、復興予算・事業の在り方が問われている。被災地域の一刻も早い復興・再生に向け、公務部門の労働組合としても全力で取り組んでいるので、総務大臣におかれてもご尽力願いたい。
(2) 公務員連絡会は、連合に結集し2014春季生活闘争に取り組んでおり、「底上げ・底支え」と「格差是正」を図るため、すべての働く者の処遇改善をめざしている。
安倍政権も、デフレ脱却と経済再生をめざしているが、雇用の安定・拡大と賃上げ実現による消費の拡大がなければ、デフレからの脱却は困難である。ぜひとも、労働者の賃上げと内需拡大という政策を首尾一貫して展開していただきたい。
(3) このような情勢のもと、国家公務員給与の特例減額は本年度で終了するが、昨年、人事院が「給与制度の総合的見直し」を報告し、政府も見直しを進めるよう人事院に要請している。報告では、給与の地域間配分の見直しなどが課題とされているが、公務員連絡会は、格差を拡大する地域間配分の見直しには反対であり、総務大臣におかれても、われわれと十分な交渉を行い、合意に基づいて対応されることを強く要請する。
大震災からの一刻も早い復興・再生、そして国民生活の安心と安全を確保していくためには、深刻な要員不足のもと、現場で日夜身を粉にして奮闘している公務員に十分な労働条件を確保することが不可欠だ。
貴職におかれては、これらのことを十分認識され、本年の賃金・労働条件改善にあたって、@非常勤職員を含めた公務員労働者の賃金を引き上げること、A超過勤務を着実に縮減すること、B雇用と年金を確実に接続し、生活水準を確保すること、などに最大限努力されるよう、強く要求する。
続いて、永井地方公務員部会議長が「地方公務員給与については、昨年、政府から削減要請が行われ、多くの自治体で現実に引下げを強制されたことは極めて遺憾なことであった。今後、地方自治の本旨を蔑ろにするような、給与引下げを地方自治体に強制せず、労使の自主的交渉を尊重することを強く要請する。合わせて、地方自治体で働く臨時・非常勤職員は、不安定な雇用環境と、処遇面でも「正規公務員」との間に相当な格差が存在するなど深刻な事態は一向に改善されておらず、総務省として的確な対応を行うよう求める」と述べた。
最後に棚村議長が「これから事務当局との交渉を積み重ね、3月27日には、大臣から直接、春の段階の誠意ある回答を頂きたい」と求めたのに対し、総務大臣は、「ただいま、国、地方、それぞれの要求書を受けとり、皆さんのご意見、要求の趣旨は承った。各要求事項については、検討の上、しかるべき時期に回答する」と答え、今後公務員連絡会と交渉・協議していく姿勢を示した。
(資料1)
2014年2月19日
人事院総裁
原 恒 雄 様
公務員労働組合連絡会
議 長 棚 村 博 美
要 求 書
公務員連絡会は連合に結集し、2014春季生活闘争を、「デフレから脱却し、経済の好循環をつくり出す」ことを実現するための「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた取組みを最重要課題と位置づけ、すべての働く者の処遇改善の実現に向け、取組みを進めています。
安倍政権は、デフレ脱却と経済再生を最優先課題として、いわゆる「アベノミクス」と呼ばれる政策を進め、経済の好転による企業収益の増加を雇用拡大、賃上げによる消費や内需の拡大につなげようとしていますが、何よりも労働者の賃上げが重要です。
一方、国家公務員の給与については、昨年、貴院が「給与制度の総合的見直し」を報告し、政府も昨年11月15日の公務員給与に関する取扱い方針の閣議決定で、給与体系の抜本改革について2014年度中から実施に移せるよう人事院に対し要請する、としています。報告では、給与の地域間、世代間配分の見直しなどを検討課題としていますが、公務員連絡会は、とりわけ、格差を拡大する地域間配分の見直しには反対です。
公務員労働者が国民の期待に応え、東日本大震災からの一刻も早い復興・再生はもとより、解決を迫られるさまざまな課題に的確に対処し、国民生活の安心と安全を確保していくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件の維持・改善が不可欠です。
公務員連絡会は、下記の通り2014年春季の要求を提出いたします。貴院におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。
記
1.賃金要求について
(1) 給与制度の総合的見直しについて
昨年の人事院報告で示された給与制度の総合的見直しの検討にあたっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて進めること。
(2) 2014年度賃金の引上げについて
2014年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を正確に把握し、公務員労働者の賃金を引き上げること。また、水準・配分・体系等について公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
(3) 社会的に公正な官民比較方法の確立について
@ 官民給与比較方法については、当面、現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう改善すること。また、一時金についても、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。
A 比較対象職種の拡大への対応については、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて進めること。
(4) 諸手当の見直し・検討について
@ 住居手当について、公務員宿舎使用料引上げに伴って見直す場合には、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて進めること。
A その他の諸手当の改善については、官民較差及び民間実態を踏まえ、十分交渉・協議し、合意に基づいて進めること。
(5) 再任用職員の給与制度等について
「国家公務員の雇用と年金の接続について」(2013年3月26日閣議決定)に基づく再任用職員の給与制度等の措置についての検討に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて進めること。
2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 非常勤職員制度について、法律上明確に位置づけて、勤務条件等について均等待遇の原則に基づき、関係法令、規則を適用すること。
(2) 「非常勤職員給与決定指針」の実施状況を点検・報告するとともに、着実な処遇改善に努めることとし、2014年度については非常勤職員の給与を1時間当たり30円引き上げること。また、国に雇用される労働者の最低賃金(高卒初任給相当)を定める人事院規則を制定すること。
(3) 期間業務職員制度について、施行から3年が経過することから、制度の課題について検証し、当該職員の雇用の安定と処遇の改善となるよう、適切な運用に努めること。加えて、常勤職員と同等の勤務を行っている期間業務職員の給与を「均等待遇の原則」に基づき俸給表に位置づけること。
3.労働時間の短縮及び本格的な短時間勤務制度等について
(1) 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間1,800時間体制を確立することとし、本年については、次の事項を実現すること。
@ 本府省における在庁時間削減の取組みの実施状況を踏まえ、その取組みの強化・徹底を図り、人事院として積極的役割を果たすことにより、在庁時間の一層の削減に努めること。
A 他律的業務を含む超勤上限目安時間については、完全に遵守できるよう各府省に対する指導を強化すること。
B 超過勤務を縮減するため、超過勤務命令の徹底やIT等を活用した職場における厳格な勤務時間管理を直ちに行うこと。また、新たに上限規制を導入することを含め、実質的に効果がある超過勤務縮減策を取りまとめ、着実に実施すること。
C 1か月当たり45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率については、民間企業の実態を踏まえた引上げを行うこと。なお、超過勤務手当については全額支給すること。
(2) ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度を拡充するとともに、休暇・休業制度の利用実態を検証し、制度の改善や環境整備に努めること。とくに、家族介護を理由とした離職を防止するため、介護休業制度を整備すること。
(3) 公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現することとし、本格的な短時間勤務制度の具体的な検討に着手すること。あわせて、両立支援を推進するための多様で弾力的な勤務時間制度等の検討にあたっては、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。
4.人事評価制度について
中立・公正な人事行政や勤務条件を所管する立場から、人事評価制度の実施及び評価結果の活用状況を検証し、必要に応じて指導、改善措置等を講じることとし、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。
5.高齢者雇用施策について
雇用と年金の接続について、2011年の意見の申出を踏まえ、年金支給開始年齢が62歳になる2016年度までに段階的定年延長を実現するため、政府に対する具体的な対応を図ること。
6.男女平等の公務職場の実現について
(1) 公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題として位置づけ、必要な施策の確立を図ること。
(2) 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の着実な実行と「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」の目標実現に向け、積極的な役割を果たすこと。
(3) 「第3次男女共同参画基本計画」及び「日本再興戦略」に基づき、2020年までに男性の育児休業取得率13%を達成できるよう、職員調査の結果も踏まえ、実効ある具体的促進策を講じること。
7.福利厚生施策の充実について
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実に向けた提言を行うこと。
(2) メンタルヘルスに問題を抱える職員が増加していることから、「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づいた心の健康診断、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策の着実な推進を図ること。
(3) パワー・ハラスメントについて、民間動向や2011年人事院調査の結果を踏まえ、適切な対策を講じること。また、セクシュアル・ハラスメントについては、実態把握に基づき、必要な対策を強化すること。
(4) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、予算及び事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
8.その他の事項について
(1) 公務職場の障がい者雇用を一層促進することとし、必要な職場環境の整備を行うこと。とくに、知的障がい者及び精神障がい者の雇用促進に関する具体的方策を明らかにすること。
(2) 国家公務員法等の一部を改正する法律案中、新設される国家公務員法第108条の5の2の規定に基づいて、人事院規則で定める内容を明らかにすること。
(資料2)
2014年2月19日
総務大臣
新 藤 義 孝 様
公務員労働組合連絡会
議 長 棚 村 博 美
要 求 書
公務員連絡会は連合に結集し、2014春季生活闘争を、「デフレから脱却し、経済の好循環をつくり出す」ことを実現するための「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた取組みを最重要課題と位置づけ、すべての働く者の処遇改善の実現に向け、取組みを進めています。
安倍政権は、デフレ脱却と経済再生を最優先課題として、いわゆる「アベノミクス」と呼ばれる政策を進め、経済の好転による企業収益の増加を雇用拡大、賃上げによる消費や内需の拡大につなげようとしていますが、何よりも労働者の賃上げが重要です。
一方、国家公務員の給与については、昨年、人事院が「給与制度の総合的見直し」を報告し、政府も昨年11月15日の公務員給与に関する取扱い方針の閣議決定で、給与体系の抜本改革について2014年度中から実施に移せるよう人事院に対し要請する、としています。報告では、給与の地域間、世代間配分の見直しなどを検討課題としていますが、公務員連絡会は、とりわけ、格差を拡大する地域間配分の見直しには反対です。
公務員労働者が国民の期待に応え、東日本大震災からの一刻も早い復興・再生はもとより、解決を迫られるさまざまな課題に的確に対処し、国民生活の安心と安全を確保していくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件の維持・改善が不可欠です。
公務員連絡会は、下記の通り2014年春季の要求を提出いたします。貴職におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。
記
1.総人件費について
(1) 公共サービス基本法に基づいて良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、公務員等公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保すること。
(2) 事務・事業の円滑な遂行とディーセントワークを保障するとともに、雇用と年金を確実に接続させるため、必要な定員を確保すること。
2.2014年度賃金について
(1) 公務員労働者の2014年度賃金については、引き上げること。
(2) 超過勤務手当の全額支給の実現、独立行政法人等を含めた公務員給与の支給に必要な財源の確保に努めること。
3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 非常勤職員制度の抜本的改善を目指し、公務員連絡会が参加する検討の場を設置し、政府全体として解決に向けた取組みを推進すること。当面、非常勤職員制度について、法律上明確に位置付けることとし、勤務条件等について常勤職員との均等待遇の原則に基づき、関係法令、規則を適用すること。
(2) 非常勤職員の給与については、引き続き「非常勤職員給与決定指針」を遵守するよう各府省を指導するとともに、2014年度については1時間当たり30円引き上げること。
(3) 期間業務職員制度について、施行から3年が経過することから、制度の課題について検証し、当該職員の雇用の安定と処遇の改善となるよう、適切な運用に努めること。加えて、常勤職員と同等の勤務を行っている期間業務職員の給与を「均等待遇の原則」に基づき抜本的に改善すること。
4.労働時間、休暇及び休業等について
(1) 公務に雇用創出・多様就業型のワークシェアリングを実現することとし、本格的な短時間勤務制度の具体的検討に着手すること。
(2) 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の拡充、などを実現すること。
(3) 政府全体として超過勤務縮減のための体制を確立し、超過勤務命令の徹底やIT等を活用した厳格な勤務時間管理と実質的に効果のある超過勤務縮減策を取りまとめ、直ちに実施することとし、その具体化に向けて公務員連絡会と協議すること。
5.高齢者雇用施策について
(1) 雇用と年金の接続について、当面、2013年3月26日の閣議決定に基づき、希望する者全員の再任用と生活水準を確保すること。
(2) 雇用と年金の確実な接続のために必要な定員の確保に向け、弾力的扱いなどについて公務員連絡会と十分交渉・協議すること。
(3) 人事院の意見の申出等を踏まえ、年金支給開始年齢が62歳になる2016年度までには定年延長を実現することとし、公務員連絡会との交渉・協議に基づいて具体的措置を講じること。
6.男女平等の公務職場実現、女性労働者の労働権確立について
(1) 公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題として位置付け、女性の労働権確立や環境整備に政府全体として取り組むこと。
(2) 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の着実な実行と「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」の目標実現に向け、総務省として積極的な役割を果たすこと。
(3) 「第3次男女共同参画基本計画」及び「日本再興戦略」に基づき、2020年までに男性の育児休業取得目標13%を達成できるよう、実効ある具体的促進策を講じること。
7.福利厚生施策の充実について
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握に基づき、その抜本的な改善・充実を図ること。
(2) 「国家公務員福利厚生基本計画」の着実な実施を図るため、政府全体としての実施体制を確立し、使用者としての責任を明確にして積極的に対応すること。とくに、メンタルヘルスに問題を抱える職員が増加していることから、引き続きその原因追究と管理職員の意識改革に努めることとし、必要な心の健康診断、カウンセリングや「試し勤務」など復職支援施策を着実に実施すること。
(3) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、予算及び事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
8.公務員制度改革について
国家公務員制度改革基本法第12条やILO勧告に基づき、公務員の労働基本権、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を確立することを着実に検討することとし、具体案を早急に提示すること。また、その検討作業に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて抜本的な改革を実現すること。
9.人事評価制度について
人事評価制度について、円滑に運営されるよう、引き続き制度の周知や評価者訓練の徹底に努めること。「人事評価に関する検討会」報告に基づいて、制度の見直し等を行う場合には、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。
10.その他の事項について
(1) 公務職場の障がい者雇用を一層促進することとし、必要な職場環境の整備を行うこと。とくに、知的障がい者及び精神障がい者の雇用促進に関する具体的方策を明らかにすること。
(2) 国が民間事業者等に業務委託や入札等により、事務・事業の実施を委ねる場合においては、公正労働基準の遵守を必要条件とすること。
(資料3)
2014年2月19日
総務大臣
新 藤 義 孝 様
公務労協地方公務員部会
議 長 永 井 雅 師
要 求 書
わたしたちは、地域の公共サービスの質を守り、改善するため懸命に努力している職員の働きに相応しい処遇の実現をめざして、取組みを進めているところです。
さて、政府からの地方公務員給与の削減要請を受けた地方自治体の4分の3近くが給与削減措置を実施、または実施予定となっています。わたしたちは、給与削減を前提として地方交付税等を減額した政府の措置は、公務員給与引下げの実質的な強制であり、地方自治の本旨に反するもので、極めて遺憾なことであると指摘してきました。しかし、削減未実施の地方自治体に対して、幾度となく、国からの削減要請が続けられています。この間の給与独自削減や定員純減などの行革努力等を勘案し、自主的に削減をしないとした地方自治体の判断を国が評価することは、まさに地方自治への介入であり、言語道断です。
また、地方自治体で働く臨時・非常勤職員は、「官製ワーキングプア」と揶揄され、不安定な雇用環境と、処遇面でも「正規公務員」との間に相当な格差が存在するなど、深刻な事態は一向に改善されていません。とくに、時間外勤務に対する賃金や、費用弁償として認められている交通費の未払いといった脱法的な状態も散見されるところであり、直ちに的確な対応を求めます。
地方公務員部会は、1月28日に開いた代表者会議の決定に基づき、下記の通り2014年春季の要求を提出します。
貴職におかれては、その実現に向け最大限の努力を頂きますよう要求します。
記
1.2014年度の賃金改善について
(1) 地方公務員の賃金の改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。
(2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使の自主的交渉を尊重し、また、地方公務員給与引下げを地方自治体に要請しないこと。
2.臨時・非常勤職員等の雇用安定・労働条件改善について
(1) 地方自治法第203条の2、第204条の改正を行い、非常勤職員にも諸手当が支給できるようにすること。
(2) パートタイム労働法、改正労働契約法の趣旨を十分踏まえた法整備の実現をはかること。
(3) 労働基準法が定める賃金・労働条件の改善・確保、法律に基づく健康診断、社会保険や雇用保険の適用等がはかられるよう、各地方自治体に対して強く要請すること。
3.労働時間、休暇及び休業等について
(1) 公務に雇用創出・多様就業型のワークシェアリングを実現することとし、本格的な短時間勤務制度の具体的検討に着手すること。
(2) 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の拡充などを実現すること。
(3)「不払い残業」の解消を地方自治体に要請すること。
(4) 36協定締結義務職場での締結促進のための施策、労働基準法第33条3項の「公務のために臨時の必要がある場合」について厳格に運用するよう地方自治体に要請すること。
4.人事評価について
自治体における人事・給与制度に係わる新たな評価制度の導入に当たっては、十分な労使協議を行うよう地方自治体に対して必要な対応を行うこと。
5.新たな高齢雇用施策の充実について
段階的定年延長に関わっては、地方自治体においても国に遅れないよう制度設計を進めること。当面は、現行の再任用制度がすべての自治体で確実に実施されるよう総務省として格段の対応をすること。
6.福利厚生施策の充実について
自治体職場の安全衛生体制を確立するとともに、メンタルヘルス対策に関わる自治体の実態の把握と、その問題点や課題についての改善策を整理し、各自治体に対して、最低限、法令に基づく労働安全衛生体制を直ちに整備するよう強く要請すること。特に、東日本大震災の被災地に勤務する職員の労働安全衛生体制の充実を早急にはかること。
7.男女平等の公務職場実現について
(1) 自治体職場での男女平等・共同参画を人事行政の重要課題として位置づけ、女性の労働権確立や環境整備を進めるため必要な対応を行うこと。
(2) 「第3次男女共同参画基本計画」及び「日本再興戦略」に基づき、2020年までに男性の育児休業所得率13%の達成をめざし、具体的促進策を講じるよう地方自治体に要請すること。
8.その他
(1) 禁錮以上の刑に処せられた場合の失職のうち、公務にかかわる事項については任命権者の判断で失職させない措置を行えるよう分限条例の改正を促進すること。
(2) 公契約に際しては、公正労働基準の遵守を必須事項とすることを地方自治体に要請すること。
以上