公務労協地公部会は、10月29日、2014年度の地方財政確立をめざし、中央行動(中央集会、議員要請行動)を行った。中央行動には、全国から約430人が参加、12時から東京・星陵会館で行われた中央集会には、連合と各政党を代表をして4人の来賓があいさつに立ったほか、衆参の民主党・社民党国会議員が出席した。
主催者あいさつに立った永井地公部会議長(全水道委員長)は、「地域を守るのは、私たち地方公務員だ。急速に高齢社会が到来する中で、公共の福祉の増進と、その基盤となる地方財政の確立をしておかなければ、地域住民の生活は守れない。地方6団体も指摘しているように、過去10年間で総額2兆円の地方財源が削減されてきた。私たちは、地方6団体とともに、国会議員要請、政党要請も含めたあらゆる手立てを尽くして、地方財政を守る運動を展開していかなければならない。それぞれの地域での取り組みを進めていただきたい」と訴えた。
続いて激励に駆けつけた神津連合事務局長は、「政労使会議の中で、古賀会長は『公務員の賃金カットは一刻も早く本来の形に戻さなければならない。決めた通りに、来年の3月末には特例減額は終了しなければならない』と発言をしていることを改めて申し上げたい。消費増税が行われる一方、公共工事を中心とした5兆円という『額ありき』のばらまきが復活した。各職場で汗をかいている公務員の皆さんこそが、最も真っ当な税金の使い方を分かっているのではないか。働く者の立場や思い、知恵、工夫が活かされるような財政になるよう、本日の要請行動に取り組んでいただきたい」と連帯のあいさつを行った。
続いて、民主党の原口一博ネクスト総務大臣が激励に駆けつけ、@国の借金の付け直しを地方に持って来ることは許されない。国と地方の協議の場を作り、地域で働く皆さんの人権を保障することが、公共サービス基本法で謳った大きな理念だ。A公共サービス基本法11条の精神は働く皆さんの権利を保障することだ。公共サービス基本条例を各地域で作り、私たちの権利をしっかりと守ることが重要だ。BILO勧告を踏まえ、公務員の労働三権の回復をめざす。また、非常勤や臨時職員の皆さんに対する今の政府のあり方に対し、民主党は、働く者の権利を保障する立場で厳しく対応していきたい、と決意を述べた。
また、社民党の吉田忠智党首は、@地方交付税は地方の固有の財産だ。政府が民間企業、経済団体に賃金の引上げを要求する一方で、地方交付税を恣意的に引下げる形で、地方公務員の給与引下げを迫ってきたことは極めて問題で容認はできない。A地方公務員は地域の貴重な守り手だ。いわれのない公務員バッシングが続いていることに対して、忸怩たる思いを抱いている。バッシングにひるまず、跳ね返していくために、公務の実態を国民の皆様に正確に理解してもらう努力を重ねていきたい。また、労働基本権の回復、地方行革を跳ね返すたたかいも皆さんと力を合わせ、全力で取り組みたい、と述べた。
生活の党の鈴木克昌代表代行・幹事長は、「様々な住民の声を最も受け止めている地方公務員の皆さんに対して、感謝と敬意を示したい。地域主体、地域主権、地域で働く皆さんが報われる制度に変えていくべく、しっかりと努力をしていきたい」と述べた。
また、公明党の桝屋敬悟政務調査会会長代理は急遽公務のため出席できなくなったが、「本日の集会の趣旨に則り、最大限の努力をさせていただきます」とのメッセージが届けられた。
次に、藤川地公部会事務局長が地方財政をめぐる情勢報告をし、@地方交付税総額の実質的な確保、A歳出特別枠の減額を行わないこと、B2014年度地方財政においても巨額の財源不足が見込まれることから、別枠加算の拡充とともに法定率の引上げなどの抜本的対策、C合併特例法による算定特例の段階的終了を踏まえ、新たな財政需要の把握と、小規模自治体に配慮した地方交付税の財政保障機能・財政調整機能の一層の強化、D地方公務員給与費の、2014年度予算での完全な復元、E地方交付税の算定における『行革努力』『地域経済の活性化の成果』に応じた算定方式の導入を慎むこと、F地方税財源の安定的な確保、G人事院報告「給与制度の総合的見直し」で示された地域間給与の配分のあり方の見直しを実施しないこと、を柱に掲げ、地方6団体・各政党・財務省・総務省要請を行った。引き続き、取組みを進めていく、と述べた。
その後、田中地公部会事務局次長の行動提起、永井議長による「団結がんばろう」を行い、参加者は衆議院・参議院議員会館へ移り、議員要請行動を実施した。議員要請書の内容については、別紙の通りである。
(別紙)
2013年10月29日
様
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 永 井 雅 師
地方財政確立にむけた要請書
日ごろより市民生活の向上にむけ、ご尽力いただいていることに敬意を表します。
さて、地方自治体においては、急速に高齢社会が到来する中で、社会保障の充実や環境対策、依然として厳しい地域経済の活性化や雇用対策など、地域の財政需要と自治体の役割は増大し続けています。
政府は、8月8日に閣議了解された中期財政計画において、「地方財政の安定的な運営の観点を踏まえ、国の歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源の総額については、平成26年度及び平成27年度において、平成25年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とされているものの、歳出特別枠の見直しなども言及されており、2014年度予算編成に向けて地方交付税総額が削減される懸念があります。
また、リーマンショック以降の財源不足に対する対応や、合併等により広域化した自治体、小規模自治体における的確な財政需要の反映などへの対応として、財源率や算定方式の見直しが検討されているなど課題が山積しています。
つきましては、安心できる社会保障制度を確立し、大震災からの復興とデフレ脱却を確実に進めるため、実態に即した的確な財政需要の把握と、生活に直結する分野への予算の重点配分をはかるなど、地方自治の本旨に鑑み地方交付税総額の確保を強く要請します。
貴議員におかれましては、今後年末の予算編成にかけて、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。
記
1.社会保障分野の充実や農林水産業の再興、環境対策などの増大する地域の財政需要を的確に把握し、地方財政計画、地方交付税総額を実質的に確保すること。
2.地域における経済情勢は依然として厳しいことから、地域経済の活性化や雇用対策の取組みを実施するための措置として設けられている、いわゆる歳出特別枠について減額を行わないこと。
3.2014年度の地方財政においても巨額の財源不足が見込まれることから、別枠の加算について拡充するとともに、法定率の引上げなど抜本的な対策を行うこと。
4.合併特例法による市町村合併の算定特例の段階的終了を踏まえ、新たな財政需要の把握について必要な対策を講じること。
また、小規模自治体に配慮した段階補正の強化など、地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の一層の強化をはかること。
5.2013年度地方財政計画において、地方公務員給与費が国の臨時特例措置に準ずるとして削減されたが、2014年度予算においては、減額した給与関係経費等に係る財源については、完全に復元すること。
また、地方公務員給与費に係る地方財政計画、地方交付税の算定については、地方自治体との協議、合意のもとで算定のあり方を検討すること。
6.地方交付税の算定について「行革努力」、「地域経済活性化の成果」に応じた算定方式の導入や2013年度の給与削減要請への対応状況に対する財政的制裁措置の導入などについては、厳に慎むこと。
7.地方法人特別税・地方法人特別譲与税の見直しや自動車取得税廃止に伴う代替財源を確実に確保すること。また、償却資産に係る固定資産税の確保などの課題は、地方自治体の意見を十分尊重し、自治体の財政運営に支障がないよう必要な地方税財源を安定的に確保すること。
以上