2014年度公務労協情報 52 2014年7月29日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人勧期中央行動で職員福祉局長、給与局長と交渉−7/29
〜月例給・一時金の具体的回答が示されなかったため、給与局長と再交渉へ〜

 公務員連絡会は7月29日、全国から3千人の仲間を結集し、人勧期中央行動を実施した。13時30分から、日比谷大音楽堂で中央集会を開催したほか、霞ヶ関を一周するデモ行進と人事院前での交渉支援行動を行った上で、音楽堂に再結集し、人事院交渉の報告集会を行い、要求実現を求めて最後までたたかい抜く決意を固めあった。
 この中央行動を背景として行われた書記長クラス交渉委員との交渉で給与局長は、@勧告は例年とおおむね同様の日程、A官民較差は大手の自動車、電機等を中心にベア回答が行われた一方、業種、企業等によるバラツキも見られ、最終的に較差がどうなるか注目している。一時金も、自動車、電機等を中心に伸びている傾向があるが現在集計を行っている、B給与制度の総合的見直しについては、本年、勧告すべく作業を進めている、などの回答を示すにとどまった。また、職員福祉局長は、非常勤職員について、採用後3月継続勤務した場合、夏季に最大3日の年次休暇を付与することを考えていることを明らかにした。

 中央集会は、岩ア副議長(林野労組委員長)を議長として始まり、冒頭挨拶に立った氏家議長(自治労委員長)は、人事院勧告が目前に迫り、たたかいの正念場とした上で、給与制度の総合的見直しについて「俸給表水準の引下げによって職員の士気や組織活力が下がることがあっても、上がることは決してない。地域間配分の見直しは、被災地で頑張っている公務・公共サービス労働者の努力に水を差すものだ」と人事院を厳しく批判するとともに、「民間の月例賃金、夏季一時金は近年にない引上げとなっている。2007年以来、7年ぶりに月例給、一時金の引上げ勧告を行わせることができるかどうかが本年の課題だ」と訴えた。
 続いて激励挨拶に駆けつけた高橋連合副事務局長は、「春季生活闘争の取組みの結果、長い間一定の水準に張り付いていた賃金水準を引き上げることができた。この結果を踏まえれば、今年の人事院勧告は月例給、一時金ともにプラス勧告が出されて当然だ。公務員の労働基本権の問題は、すべての働く者の尊厳に関わる問題だ。連合は、公務員連絡会の皆さんと協力し、取組みを一層強化していく」と連帯の挨拶を行った。
 基調提起に立った吉澤事務局長は、正念場を迎える本年の人事院勧告について、改めて全力をあげて取り組む決意を表明した。
 構成組織の決意表明には、自治労・杣谷副中央執行委員長、全農林・二宮中央執行委員、日教組・清水書記次長が登壇し、たたかう決意をそれぞれ力強く表明した。
 集会を終えた参加者は、人事院前交渉支援行動と霞ヶ関一周のデモ行進を行い、「公務員の賃金を上げろ」「地域間配分の見直し反対」「技能労務賃金引下げ反対」「非常勤職員の賃金を上げろ」などと力強くシュプレヒコールを繰り返した。
 行動を終えた参加者は日比谷大音楽堂に再結集し、書記長クラス交渉の報告を受けた。吉澤事務局長は交渉の概要を報告した上で「給与制度の総合的見直しに関する議論について、2015年までとされている復興集中期間終了まで凍結するよう要求したが、給与局長はあくまで本年勧告の姿勢を崩さなかった。極めて遺憾ではあるが、人事院による一方的な勧告を許さないという意味からも、給与局長との再交渉では内容面の議論に入らざるを得ない」とし、今後の交渉に向けた基本姿勢を明らかにした。
 最後に、加藤副議長(日教組委員長)の団結がんばろうで集会を締めくくった。
 人事院職員福祉局長、給与局長との交渉経過は次の通り。

<職員福祉局長交渉の経過>
 井上職員福祉局長との交渉は、14時30分から行われた。
 冒頭、吉澤事務局長が「6月19日に総裁宛の要求を提出し、7月16日には職員団体審議官と交渉を積み上げてきたので、今日はわれわれの要求に即した回答をお願いしたい」と局長の回答を求めたのに対して、井上局長は、以下の通り答えた。

1.労働諸条件の改善について
(1) 労働時間の短縮等について
 超過勤務を縮減し、超過勤務を伴わない働き方に転換していくことは、職員の健康保持、ワークライフバランス、人材の確保等のほか、女性の活躍促進に向けた環境整備を図る上でも極めて重要な課題であり、このような認識の下、引き続きその縮減に向けた取組を進めていく必要があると考えているところである。
 近年、民間企業においては、働き方や職場風土の見直し、具体的なマネジメントの方法等にまで踏み込んだ、より効果的に残業を抑制する方策を模索する動きが広まってきている。公務においても、国会関係業務など行政部内を超えた取組が必要なものについては、関係各方面の理解と協力を求めるとともに、超過勤務が生ずる要因をより詳しく分析し、その要因が解消できるような効果的な取組方法を検討していく必要があると考えている。
 このため、人事院としては、民間企業における残業時間抑制に向けた取組を把握するとともに、超過勤務が生じる要因や効果的と考えられる取組等について職員の意識調査を行うなど、関係機関とも協力しつつ、より実効性のある超過勤務の縮減策について検討を進めてまいりたい。
(2) 男女平等の公務職場の実現について
 本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2014」及び「「日本再興戦略」改訂2014」において、女性の活躍推進は政府全体として取り組むべき重要課題とされている。人事院としても、男女共同参画社会の実現は重要な課題であるとの認識の下、公務における女性の採用・登用の拡大、仕事と育児・介護の両立支援に取り組んできたところである。
 女性の採用・登用の拡大については、人事院が平成23年に改定した指針に基づき、各府省は平成27年度までの目標と目標達成に向けての取組等を定めた5カ年計画を策定し、具体的な取組を進めているところである。
 また、人事院では、平成26年度からの新たな取組として、女性職員自らのマネジメント能力開発の機会等を付与する「女性職員キャリアアップ研修」、男性・女性を問わず管理職員の意識啓発を図る「女性職員登用推進セミナー」を新設し、また、平成25年度の試行を踏まえて「行政研修(課長補佐級)女性管理職養成コース」を本格実施しているところである。
 女性の採用・登用の拡大については、具体的な人事を所掌する各府省において、必要な取組が着実に進められていると承知しているが、引き続き、各府省と協力しつつ必要な改善を進めて参りたい。
 育児や介護のための両立支援制度については、これらの制度がより活用されるよう、リーフレットの配布等を通じて制度の周知を図るとともに、「育児・介護を行う職員の仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針」に基づき、両立支援のための環境整備の推進や「仕事と育児・介護の両立支援に関する連絡協議会」を設置し、各府省における取組等に関する情報提供、意見交換等を積極的に行っている。今後ともこうした施策を通じて各府省の着実な取組を促して参りたい。
 また、育児については、育児休業、育児短時間勤務、育児時間、早出遅出勤務等の両立支援制度が整備されているが、早出遅出勤務は小学校入学後も放課後児童クラブ等に通う子を送り又は迎えに行く場合にも利用できるものの、 それ以外については、小学校就学前の子を養育する職員を対象としているところ、小学生の子の育児への配慮などの両立支援策の拡充に係る要望がある。職員の具体的ニーズ、民間企業における措置状況等を精査しながら、育児時間等の在り方について検討を進めて参りたい。
 介護については、介護休暇の利用実績が少ないが、昨年、公務における実態の調査をしたところ、実際に介護に関わる職員の多くは、必要に応じて年次休暇や短期介護休暇を取得するなどして仕事との両立を図っていることが認められたところである。各府省や職員団体等の関係者から、職員の家族が要介護状態になった場合の対処方法などの情報を提供してほしいとの要望も寄せられていることに鑑み、介護サービスや介護支援についてのセミナーや相談会を開催し、必要な情報の提供や職員の具体的なニーズを把握することとし、これらを踏まえ、今後必要な実効性のある仕事と介護の両立支援策について引き続き検討を進めて参りたい。
 男性の育児休業については、その取得促進に向けて各種の制度的な措置などを講じてきたところであるが、人事院が育児休業を取得しなかった男性職員を対象に実施した意識調査によれば、職員の育児に関する意識は低い傾向がみられた。また、男性の仕事と育児・介護との両立について、幹部職員や人事当局の理解がない又はどのような考えなのか分からないと受け止めている職員も多数存在したところであり、男性職員の意識を高めつつ、両立支援制度が利用しやすくなるように、各府省に対する働きかけを進めて参りたい。
(3) 福利厚生施策の充実について
 人事院では、心の健康づくりをはじめとする健康安全対策について、各職場において推進すべき重要な事項であるとの認識に立ち、各府省と連携しつつ、施策の推進に努めてきたところである。
 特に、心の健康づくり対策については、心の健康問題に対する職員の意識を高めた上で、心の不調者の発生防止を目指す「1次予防」、早期発見・早期対応を目指す「2次予防」及び円滑な職場復帰と再発予防を目指す「3次予防」を各府省と連携しながら総合的に進めてきたところである。
 今後も、心の不健康な状態が長期化し、再発しやすい傾向にある現状を踏まえ、引き続き「試し出勤」等の活用を促して参りたい。また、職員がセルフケアに関する知識を身につけるための自習用研修教材としてe−ラーニング教材を新たに作成し配布するとともに、職場のストレス要因等を職場単位で把握・改善するための「心の健康づくりのための職場環境改善」の取組を推進して参りたい。
 また、いわゆるパワー・ハラスメントの防止に関しては、「パワー・ハラスメントを起こさないために注意すべき言動例」を作成し、各府省の職員に周知するとともに、パワー・ハラスメントに関するアンケート調査を実施し、その結果を取りまとめ各府省にフィードバックしたところであるが、さらに、民間企業におけるパワハラ防止のための取組等をも参考としながら、パワハラをわかりやすく解説するハンドブックを作成し、各府省に配布するなど、職員の意識啓発を図って参りたいと考えている。
2.非常勤職員制度等について
 非常勤職員の休暇等については、従来より、臨時・緊急の必要に応じて任用されるという非常勤職員の性格を踏まえ、民間の状況等を考慮し措置してきているところであり、これまで、育児休業制度等の適用など勤務環境の整備を図ってきたところであるが、非常勤職員には夏季休暇が措置されていないこと等を踏まえ、採用後一定期間継続勤務した後の夏季における弾力的な年次休暇の付与について所要の措置を講ずることとしたいと考えている。
 具体的には、現行制度で年次休暇付与が見込まれる者(任期が6月を超える等、採用後の年次休暇付与が見込まれる者)について、3月継続勤務した時点で勤務日の一定割合以上勤務していた場合には、夏季(7月1日〜9月30日の期間内)において、年次休暇を最大3日付与する(6月間継続勤務した時点で年次休暇の付与要件を満たした場合には、残りの日数(最大7日)を与える)ことを考えている。

 これらの回答に対して、吉澤事務局長は、次の通り、局長の見解を質した。
(1) 「女性の活躍促進」について、今年は日本再興戦略に掲げるなど、政府が思い切った内容を発信し、例年と環境が異なる。この機会に前に出るよう対応すべきだ。
(2) 超過勤務の原因として、国会対応は大きな課題だ。組合としても政党要請や意見交換を通じて、国会が対応可能な内容を追求していくが、第三者機関としての人事院はどのように取組むのか。
(3) 超過勤務の縮減に向けては、超過勤務の管理、すなわち超勤命令の有り様が問題だ。管理職は、職員の仕事の中身をしっかり把握すべきだ。
(4) 非常勤職員に、採用後一定期間継続勤務した後の夏季における年次休暇付与の考えが示された。非常勤職員の多くは女性であり、ワークライフバランスの主役だ。新しいメッセージとして受け止めるが、休暇、休業制度の全体の課題として、前に出す取組みを求める。

 これらに対し、井上局長は以下の通り答えた。
(1) 超過勤務の縮減、働きやすい職場という土台をしっかり作って、職員が能力を発揮できるようにいきたい。そういった必要性が高まりつつあると認識しており、できる限りの対応を取ることで、人事院の役割、責務を果たしたい。
(2) 超過勤務の縮減については、職員の意識調査を行い、超過勤務の要因を調べて、効果的な取組みを改めて把握していきたい。立証的に実態を把握した上で、必要な対応、提言を行っていく。
(3) 勤務時間法13条2項では「臨時又は緊急の必要のある場合に」超過勤務を命ずることができるとされており、こうした法令の理念を踏まえ、適切に対応する必要がある。
(4) 非常勤職員制度の中で、何ができるかを検討した。これでは不十分との意見も受け止めるが、1つの前進として、実施可能な範囲で検討したものだ。これで終わりとせず、育児や介護の両立支援、休業制度等についても検討していく必要があると考えている。

 最後に、吉澤事務局長が「女性の参画、両立支援について、常勤職員だけに光が当たり、非常勤職員との格差が拡大することのないよう、常勤・非常勤職員の双方が働きやすい環境の整備に向け、最終回答までにさらに検討を求める」と要請し、本日の交渉を締めくくった。

<給与局長交渉の経過>
 古屋給与局長との交渉は、15時から行われた。
 吉澤事務局長が、本日時点での検討状況について回答を求めたのに対し、古屋局長は、以下の通り答えた。

1.勧告について
 本年の勧告に当たっては、春闘期、勧告期の要求や給与制度の総合的見直しに関して皆さんから伺ったご意見も踏まえ、労働基本権の代償機関としての人事院の使命に沿って、例年とおおむね同様の日程を念頭に置いて、作業を進めているところである。
2.官民較差について
 本年の国公実態においては、高齢層での退職者の減少等の影響によって、行(一)職員の平均年齢は上昇している。
 官民較差については、現在集計を行っているところである。本年の民間企業における春季賃金改定状況についてみると、大手の自動車、電機等を中心にベア回答が行われた一方で、業種、企業等によるバラツキもみられ、現時点で発表されている各種調査結果を見ると、定昇分を含む賃上げ率は、前年比でプラスとなっている。最終的に較差がどうなるか注目している。
 また、一時金については、昨年冬のボーナスについては、各種調査では前年比プラスの結果となっており、本年夏のボーナスについても、自動車、電機等の製造業を中心に伸びている傾向にあるが、一時金についても現在集計を行っているところである。
3.雇用と年金の接続について(再任用職員の給与)
 雇用と年金の接続に関し、再任用職員の給与については、昨年3月に閣議決定された「国家公務員の雇用と年金の接続について」において、幅広い職域や勤務地で活用すること等再任用職員の今後の職務や働き方の実情等を踏まえ、給与制度上の措置について必要な検討を行うよう要請がなされており、人事院としてはこの要請を踏まえ検討を行っているところ。
 検討の一環として、本年の民間給与実態調査において、継続雇用制度の状況について調査を行ったほか、公的年金が全く支給されない民間の再雇用者の平成26年4月における個人別の給与額について調査を行ったところである。現在、これらの調査結果や再任用職員の職務や働き方の実情等を踏まえつつ、給与水準や諸手当の支給の可否等について検討を行っているところである。
4.非常勤職員等の処遇改善
 非常勤職員の給与については、平成20年に指針を定め、必要に応じてフォローアップを行っているところであり、指針に沿った給与の適正な支給が図られるよう努めて参りたい。
5.給与制度の総合的見直しについて
 給与制度の総合的見直しについては、昨年の報告においてその検討を行うことを表明して以降、これまでに、数次にわたり会見等を実施して意見交換を行い、職員団体をはじめとする皆さんのご意見、ご要望等を伺いながら検討を行ってきたところであり、本年、勧告すべく作業を進めている。
 現時点における見直しの概要は以下のとおりである。
1 俸給表の見直し
 地域の公務員給与について、地域ごとの民間賃金の水準をより的確に反映したものとなるよう、俸給水準を引き下げることとする。あわせて、世代間の給与配分の適正化を図るため、俸給カーブの見直しを行う。
(1) 行政職俸給表(一)の改定について
ア 民間賃金の低い地域(都道府県別の平均賃金が低い方から12県)における官民の給与差を踏まえて、俸給水準を引き下げる。
イ 各職務の級・号俸について、俸給表水準の引下げ率と同率で引下げを行うことを基本とする。ただし、世代間の給与配分の適正化を図るため、次のような調整を行う。
(ア) 1級及び2級の初任給に係る号俸は引下げを行わない。
(イ) 50歳台後半層の職員が多く在職する高位号俸の引下げ率は、50歳台後半層の官民の給与差を考慮して設定する。
 なお、その際には40歳台、50歳台前半層までの職員の給与水準に与える影響にも留意する。
 級構成の再編は行わない。
(2) 行政職俸給表(一)以外の俸給表(医療職俸給表(一)を除く。)について次のとおり改定を行う。
ア 行政職俸給表(一)以外の俸給表については、行政職俸給表(一)との均衡を基本とし、各俸給表における50歳台後半層の職員の在職実態等にも留意して見直しを行う。
イ 行政職俸給表(二)については、引き続き検討する。
(3) 俸給等の1.5%減額支給措置の廃止
 俸給表において世代間の給与配分の適正化のための措置を講じることから、当分の間の措置として実施されている55歳を超える職員(行政職俸給表(一)6級相当以上)に対する俸給等の1.5%減額支給措置は廃止する。
2 地域手当の見直し
 地域手当の支給割合等について、現行制度との連続性、円滑な制度移行等を考慮し、次のとおり措置する。
(1) 俸給水準の引下げに伴い、7級地(3%)を新設する。
(2) 各級地区分の支給割合は、次のとおり設定する。
ア 1級地(東京都特別区)及び2級地の支給割合については、俸給水準の引下げ幅、他の級地の支給割合とのバランス等を考慮して設定する。
イ 3級地以下の支給割合については、現行の支給割合を基本に設定する。
 各級地の指定基準については、俸給水準の引下げ幅を踏まえた修正を行う。
(3) 支給地域の指定に用いている「賃金構造基本統計調査」のデータを平成15年〜平成24年の10年分に更新し、これに基づき支給地域の見直しを行う。
 これに伴う下位の級地区分への変更は1段階までとする。上位の級地区分への変更についても同様に1段階までとする。
3 昇給の見直し
 昇給効果の在り方については、各府省における今後の人事評価の運用状況等を踏まえつつ、引き続き検討を行う。
 上位の昇給区分の適用については、各府省の職務の実情等を踏まえて、より適切かつ柔軟に勤務成績の反映が行えるよう、運用基準の見直しを行う。
4 諸手当の見直し
 人材確保の重要性や円滑な人事の運営の要請等を踏まえ、単身赴任手当、異動した場合の地域手当の取扱いその他職務・勤務実績に応じた手当の見直しについて引き続き検討を行う。
 なお、一時金の支給月数が引上げとなる場合には、一時金に占める勤勉手当の支給割合を拡大する。
5 その他
 新俸給表は平成27年4月1日から適用し、同日に俸給月額を新俸給表に切り替える。
6.寒冷地手当について
 気象データの10年ぶりの更新に対応し、寒冷地手当について地域区分の見直しを行う。

 回答に対し吉澤事務局長は、次の通り局長の見解を質した。
(1) 今年は7年ぶりに月例給、一時金の増が見込まれるが、如何。
(2) 配分について、物価上昇分は全世代に影響することに配慮してほしいし、女性参画や両立支援の観点を踏まえ、育児休業者や女性の多い非常勤職員には勤勉手当は支給されず、期末手当だけが支給されることに配慮すべきだ。
(3) 段階的定年延長について、どのような対応をするのか。

 これに対し古屋局長は、次の通り答えた。
(1) 民間の各種調査を見ると、プラス傾向であるのは間違いないが、国家公務員の平均年齢が高齢化しており、それが較差にどのくらい影響するのかわからず、数字はまだだ。
(2) 段階的定年延長について、問題意識はもっており、国家公務員の任用状況等も調査している。われわれも、報告で言及すべきところは言及する。政府も検討しており、「人事院の意見の申出を踏まえ」となっているので、人事院としては資料提供を含めて積極的に関与する立場で進めたい。

 続いて吉澤事務局長は、局長が「給与制度の総合的見直しを今年の勧告で実施する」と回答したことに対して、「今年の勧告で、というのは、初めて聞いた。極めて遺憾だ。地域間配分が前に出すぎている」と人事院を厳しく批判した。その上で、公務員連絡会側は、世代間配分及び地域間配分の見直しについて、局長を問い質した。
(1) 高齢層は給与構造改革で7〜8%引き下げて、いったん解消したはずだが、また差が開いた要因は何か。 民間では60歳台の雇用を確保するために、50歳台の賃金でやり繰りしてきたことの影響が大きいのではないか。公務でも定年延長に決着を付けて、その上で50歳台はどうするということでないといけない。
(2) 府省によっては定員の問題で、再任用をあきらめている実態もある。民間は60歳以降も雇用が義務づけられ繋がっており、50歳台後半が下がる実態だが、公務では雇用と年金の接続が切断されてしまうにもかかわらず、50歳台後半で下がるのは何なのかということになる。
(3) 官民の人事管理上の土壌の違いがあり、公務のノンキャリは50歳台半ばで地方機関の課長に昇進するが、せっかく昇進しても俸給水準が下げられれば、モチベーションが大きく下がってしまう。
(4) 東日本大震災の被災地で働く公務員のモチベーションや職場の現状について、人事院としてどう思っているのか。
(5) 自治体に就職してすぐに退職することは現実的にはないと思っているが、被災地において大変な重圧を受けて辞めていることをどう思うか。地域間配分の見直しは、結果として、必死で業務を行っている被災地職員にリスクを負わせることではないか。

 これに対し古屋局長は、次の通り答えた。
(1) 給与構造改革当時の7%引下げは官民それぞれの事情で水準が違うところを俸給表で見ていたので、全部解消する訳ではなかった。その後、民間の状況が大きく変わっており、公務員給与に対する国民の納得性を高めるため、是正していく必要が出てきた 。今回は、50歳台後半の格差について、前半とのバランスを含め総合的に検討している。なお、今の時点では、民間は再雇用の仕組みがほとんどで、定年延長はごくわずかだ。
(2) 雇用と年金の接続について同じ懸念を持っているし、意見の申出をしたとおり、将来的には定年延長というスタンスは変えていない。今の時点では、再任用の給与として何かできないか検討しているところである。
(3) 55歳以上が多くいる最高号俸の方を中心に見ていくことになる。前回見直したので、最高号俸あたりから昇格した場合であれば、大幅に引き下げられた号俸に飛びつくのか議論になるので、限定的にしたいと思っている。最高号俸近辺を厚めに引き下げざるを得ない。
(4) 被災地に限らず、どこでも業務が厳しくなっている。定員が非常に厳しい中で、苦労しているという話を聞く。応援部隊で長期で行っている人がいるとか、いろいろなご意見を伺っている。
(5) 被災地について配慮ができないかという話であるならば、その部分だけ地域手当について別の要素を入れることは難しい。

 各交渉委員からは、構成組織の職場の実態として、「災害等が起きた時に必要な対策についてやりたくてもできない、やっていることが理解されないというモチベーションの低下が今回の見直しでさらに拍車がかかる」「人員不足で仕事が厳しいのに、地域間格差が拡大することを人事院が助長しているのではないか」「メンタルによる休職者も増えている。これ以上格差が開いたら、全国均一の教育が受けられなくなる」「まずは働く公務員の理解を得ることも重要で、丁寧な議論が必要」と訴え、地域間配分の見直しをやめるよう強く求めた。
 それに対し、局長は「やや平行的だが同じ思いである。ただわれわれは、もう少し地域間配分について見直す必要があるという前提でものを言っている。一方で、全国で同じ行政サービスを均一に確保する国家公務員を考えれば、一定の限度があるだろうということは、強く意識して進めたい」と答えた。
 最後に、吉澤事務局長は、「較差について、今日段階で何ら明らかになっていないので、改めて局長と議論させてもらいたい」と強く要請し、給与局長も再度の交渉に同意した。その上で、吉澤事務局長は「今年勧告するのではなく、政府が定めた集中復興期間の2015年度まで、総合的見直しの議論を継続したらどうか」と強く求めたところ、局長は「昨年報告し、それに基づいていろいろと検討や作業を進めてきた。政府からの要請も重く受け止めざるを得ないことも踏まえると、今年の勧告で進めたい」と答えたことから、次回の交渉で議論を継続することとし、本日の交渉を締めくくった。

−女性・青年連絡会中央集会で人勧期の取り巻く課題を共有−

 公務員連絡会女性・青年連絡会は中央行動前段の11時より、東京・自治労会館ホールにおいて「2014人勧期7.29公務員連絡会女性・青年連絡会中央集会」を開催し、各構成組織・全国から200人が結集した。
 集会は、自治労の佐々木伸青年部長の開会挨拶に始まり、学習会では、公務員連絡会の花村靖副事務局長が「2014年人事院勧告に向けた青年・女性の課題について」と題し、講演を行った。
 また、各構成組織の代表より、女性、青年を取り巻く職場の実態や取組み報告が行われた。
 最後に、全駐労の小林智恵子女性部長より集会アピールが読み上げられ全体で採択し、国税労組の福留嘉浩書記次長の団結がんばろうで集会を締めくくった。

以上