2014年度公務労協情報 53 2014年8月4日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人勧期要求をめぐり人事院給与局長と2度目の交渉−8/1
−較差、給与制度の総合的な見直しなどについて追及−

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、8月1日13時30分から、2014年人勧期要求をめぐり古屋人事院給与局長と2度目の交渉を行った。

 冒頭、吉澤事務局長が「7月29日の交渉では、世代間の給与について議論したところ、この問題は配分の見直しであり、リスクのみを負う世代への配慮は不可欠である。そこで、現給保障と号俸延長を要求する。また、前回の議論を踏まえた現段階の検討状況を回答願いたい」と求めたのに対し、古屋局長は以下の通り答えた。

1.勧告について
 勧告日は、来週の後半で調整中である。具体的な日程は、総裁会見の際にお伝えすることができると思われる。
2.官民較差等について
(1) 官民較差と月例給について
 官民較差については、現在、最終的な詰めを行っているところであるが、今年の民間企業の春季賃金改定状況を反映して、若干のプラスとなる見通しである。
(2) 特別給について
 特別給についても、現在、最終的な集計を行っているところであるが、昨年冬及び本年夏の民間企業のボーナスの支給状況を反映して、支給月数が引上げとなる見通しである。
 なお、支給月数の引上げがある場合には、勤勉手当に配分することとしたい。
(3) 通勤手当について
 交通用具使用者に係る通勤手当について、公務における支給額が民間における支給額が相当程度下回っていることから、手当額を引き上げる必要があると考えている。
3.寒冷地手当について
 今般、気象庁から新たな気象データが提供されたことから、地域の区分の指定基準(現行と同じ)にこのデータを当てはめ、支給地域の改正を行い、平成27年度から実施することを考えている。
4.雇用と年金の接続について(再任用職員の給与)
(1) 給与水準について
 本年の「職種別民間給与実態調査」において、公的年金が全く支給されないこととなる60歳の再雇用者の4月分の給与額を調査したが、国の行政職俸給表(一)の再任用職員の大多数を占める係長級以下についてみると、その給与水準は公務が民間をわずかに下回っている。
 再任用職員の給与水準に関しては、今後も引き続き民間企業における再雇用者の給与の動向等を注視して参りたい。
(2) 諸手当の取扱い
 再任用希望者の増加に伴い、転居を伴う異動をする再任用職員の増加が避けられない状況が生じていること、民間事業所においても、定年前の従業員に単身赴任手当を支給する事業所においては、再雇用者に対しても単身赴任手当を支給する事業所が大半であることを踏まえ、異動等に伴い単身赴任となった再任用職員に対しても単身赴任手当を支給することを考えている。
 また、単身赴任手当、広域異動手当及び新幹線鉄道等に係る通勤手当について、定年退職前から引き続き支給要件を満たしている職員及び再任用される際に支給要件を満たすこととなった職員に対しても、再任用による採用を異動とみなして、これらの手当を支給することを考えている。
5.給与制度の総合的見直しについて
 先日の会見の際に、会見の時点における給与制度の総合的見直しの概要についてお伝えしたところであるが、その後の検討を踏まえて、以下のとおりお伝えする。
1 俸給表の見直し
○ 行政職俸給表(一)について、俸給表の水準を平均2%程度引き下げることを考えている。その際、各職務の級及び号俸について、俸給表の平均改定率と同率の引下げを行うことを基本とした上で、次の措置を行うことを考えている。
・ 1級の全号俸及び2級の初任給に係る号俸については、引下げを行わないこと。
・ 3級以上の高位号俸については、50歳台後半層における官民の給与差を考慮して、最大4%程度引き下げること。
 その際、50歳台後半層の職員の在職実態等を踏まえ、号俸の範囲を限定して引き下げること。
 また、40歳台や50歳台前半層の職員の勤務実績に応じた昇給機会を確保する観点から、5級及び6級について、8号俸の範囲内での増設を検討中である。
○ 行政職俸給表(一)以外の俸給表については、行政職俸給表(一)との均衡を基本とし、各俸給表における50歳台後半層の職員の在職実態等にも留意しつつ、引下げ改定を行うことを考えている。
 ただし、医療職俸給表(一)については、国の医療施設に勤務する医師の処遇を確保する観点から、引下げ改定は行わない。
○ 行政職俸給表(二)については、本年の「職種別民間給与実態調査」において、勤務先となる企業に直接雇用されている自動車運転手について調査を行ったところであるが、その給与水準に関するデータが少ない上に、勤務地域の違い等による差が大きく、行政職俸給表(二)適用職員の給与水準の指標となる具体的な数値を得ることは困難であったことから、他の俸給表と同様の考え方で引下げ改定を行うことを考えている。
2 地域手当の見直し
 俸給水準の引下げに伴い、級地区分を1区分増設し7級地(3%)を新設することを考えている。合わせて、各級地の支給割合は次のとおりとすることを考えている。
1級地20%、2級地16%、3級地15%、4級地12%
5級地10%、6級地 6%、7級地 3%
 東京都特別区は、民間賃金が前回の見直し時よりも更に高くなっている状況であるが、現行の給与水準を上回らない範囲内である2ポイントの引上げに留めることを考えている。
 また、2級地の支給割合については、このように1級地の支給割合を抑制すること等を考慮して16%とすることを考えている。
 なお、パーソントリップ補正については、現行程度の水準調整機能が維持できるよう、6級地(6%)への格付けも可能とすることを考えている。
 また、指定基準については、現行では賃金指数が95.0以上の地域を支給地域として、各級地の基準を定めているが、今般の見直しによる新たな指定基準は、現行の基準を基礎として、俸給水準の引下げ幅等を踏まえたものとしたいと考えている。
3 諸手当の見直し
 人材確保の重要性や円滑な人事の運営の要請等を踏まえ、次の見直しを行うことを考えている。
○ 単身赴任手当の基礎額及び加算額を引き上げること。また、交通距離の区分を2区分増設すること。
○ 円滑な異動及び適切な人材確保を図るため、広域異動手当の支給割合を引き上げること。
○ 本府省における人材確保に資するため、係長級及び係員級に対する本府省業務調整手当の支給額を引き上げること。
○ 管理職員特別勤務手当を、臨時・緊急の必要によるやむを得ない平日深夜勤務(午前0時から午前5時までの間)に対して支給できることとすること。
4 その他
○ ご要望のあった現給保障の経過措置を一定期間講ずる場合には、諸手当等の改正原資を確保するため、平成27年1月1日の昇給を1号俸抑制するなどの措置が必要である。
○ また、55歳を超える職員に対する俸給等の1.5%減額措置についても、経過措置を講ずる場合には、経過措置期間中存置することを考えたい。
○ 今回の総合的見直しについては、制度改正全体の改正原資との関係を考慮しつつ、平成30年4月1日までに段階的に実施することとしたいと考えている。


 まず吉澤事務局長が「較差は俸給表で埋めるのか」と質したのに対し、給与局長がこれを確認したことを踏まえ、吉澤事務局長は「1回目の交渉で、月例給与については全世代に配慮すること、勤勉手当に配分することについては育児休業、非常勤職員との関わりで課題が残ることを申し上げた。配分については、別途協議させてもらいたい」と求めた。

 続いて公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質した。
(1) 行政職俸給表(二)については、「指標となる具体的な数値を得ることは困難であった」との回答だが、昨年報告で見直しの項目に入れていたのは、どういう理由か。
(2) 昇給の見直しについて、昨年の報告では「特に優秀な者の昇給の効果が標準者の2倍以上と大きく、結果としてチームで職務を遂行する環境に必ずしもなじまない」としていたが、やらないという認識でよいか。

 これに対し古屋局長は、次の通り答えた。
(1) 公務員給与について、民間等から様々な批判があり、その中の1つとして現業の給与が出ていた。官民比較から外したことによって、行(二)の給与水準が適正なのかという疑念に対して、説明が弱くなってきた面があり、代表的職種の自家用自動車運転手を改めて今年調査した。その結果、思ったよりも数が取れなかったので、比較することができなかった。行(二)の給与水準について説明していく立場から、今後とも注視していく必要があるというスタンスは変わらない。
(2) 現在、各省でも人事評価の運用上の見直しを行っていて、ようやく定着しつつある中で、直ちに見直すのはどうなのかという意見もあり、まずは運用の適正化を優先し、引き続き見守ることにした。

 また、地域間の見直しに関するこれまでの交渉を総括し、吉澤事務局長は、次の通り強く要求した。
 地域間配分の見直しについて、われわれが主張してきたのは大きく6点で、@国家公務員の統一性の問題、A同じ仕事・職務をやっている地方公務員の均一性に対する影響の問題、B12県を1つのグループとして格差を算出することの合理性、C地域の公務員の士気の問題、D関連並びに地場賃金、地域経済への影響の問題、E公務員給与への一般的・社会的評価への対応に係る認識の問題を議論してきたが、折り合うことができなかった。
 少なくとも、復興集中期間が終わるまで総合的見直しの議論を凍結すべきだと改めて申し上げ、総裁から回答していただきたい。

 そして、最後に「本年の最後の局長交渉となった。今日の回答について、最終の総裁回答交渉に向け、ギリギリまで要求を踏まえた検討を求める」ことを指摘し、本日の交渉を締めくくった。

以上