2015年度公務労協情報 12 2015年3月5日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2015年春季要求事項で幹事クラスが内閣人事局・人事院と交渉−3/5
−中間的回答は具体性がなく、さらに誠意ある回答を求める−

 公務員連絡会は3月5日、内閣人事局内閣審議官、人事院職員団体審議官との交渉を実施し、2月18日に提出した2015春季要求に対する中間的な回答を引き出した。しかし、この日の回答は内閣人事局、人事院ともに抽象的で不満な内容にとどまった。
 このため、公務員連絡会は、11日〜12日の書記長クラス交渉委員との交渉ではさらに誠意ある回答を行うよう要求し、回答指定日に向けて交渉を積み上げていくこととした。

<内閣人事局内閣審議官交渉の経過>
 川淵内閣審議官との交渉は、13時30分から行われた。
 冒頭、大塚副事務局長が「重点事項についての中間的な回答を伺いたい」と求めたのに対し、川淵審議官は「主な事項について、現時点における回答をさせていただく」と述べ、次の通り答えた。

1.2015年度賃金について
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
 本年の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 非常勤職員の処遇改善については、平成22年10月から期間業務職員制度を導入したところ。また、育児休業等の取得も平成23年4月から可能になったところである。
 非常勤職員の給与については、各府省において人事院から出された給与に関する指針を踏まえた給与の支給に努めることとされており、また、休暇については、人事院において、一定の非常勤職員に対する夏季における弾力的な年次休暇の取得が措置されたものと承知している。
 内閣人事局としては、人事管理官会議等の場を通じて、期間業務職員制度の適正な運用や非常勤職員に対する適正な給与の支給など、非常勤職員に対する適正な処遇に努めるよう各府省に対し引き続き周知を図ってまいりたい。

3.労働時間、休暇及び休業等について
 女性活躍・ワークライフバランスとも密接に関わるものであり、男女全ての職員の「働き方改革」を進めることが重要であるとの観点から昨年10月に「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」を取りまとめたところであるが、この中で、超過勤務縮減に向けた取組として、@超過勤務の必要性の事前確認の徹底、A事務次官等による部局ごとの超過勤務等の状況把握、B各府省等にまたがる調整業務による超過勤務の縮減等についても盛り込んでいるところである。各府省においては、同指針を踏まえて策定された取組計画の下、具体的な取組が行われているものと承知している。
 引き続き、皆様のご意見も伺いながら、政府一丸となって、超過勤務の縮減に向けて取り組んでまいりたい。

4.ワーク・ライフ・バランスの推進、女性の労働権確立について
 女性の活躍推進については、「隗より始めよ」の観点から国が率先して取り組むとともに、職員のワークライフバランスについても一体的に推進しているところ。
 各府省においては、昨年10月に取りまとめられた取組指針を踏まえ、それぞれの実情を踏まえて創意工夫し、実効的な取組等を盛り込んだ取組計画を策定したところ。各府省は、この計画に基づき、総合的かつ計画的な取組を進めることとしている。
 内閣人事局としても、各府省の取組を毎年度フォローアップするとともに、必要に応じて各府省の取組の促進に資するようなサポートを行うことで、男女全ての職員のワークライフバランスの実現と女性職員の採用・登用の拡大に向け、取組を推進してまいりたい。

5.高齢者雇用施策について
 雇用と年金の接続については、平成25年3月の閣議決定に沿って、定年退職者の再任用を政府全体で着実に推進してまいりたい。
 なお、平成26年8月の人事院勧告を受け、所要の法改正等を行い、再任用職員に対し、単身赴任手当を支給することとしたところであるが、人事院の報告では、再任用職員の給与水準について、民間の動向等を注視するとともに、各府省における今後の再任用制度の運用状況を踏まえ、諸手当の取扱も含め、必要な検討を行っていくこととされており、政府としても人事院における所要の検討を踏まえ、適切に対応してまいりたい。
 また、雇用と年金の接続については、平成26年4月に成立した国家公務員法等の一部を改正する法律の附則第42条の規定において、平成28年度までに、定年の段階的引上げ、再任用制度の活用の拡大その他の措置を講ずることについて検討するものとされているところ。政府としては、同規定及び平成25年3月の閣議決定を踏まえ、再任用制度の活用状況や民間の高年齢者雇用確保措置の実施状況等を勘案し、雇用と年金の接続の在り方について改めて検討しているところであり、検討に際しては、職員団体も含めた関係者の意見を聞いて進めてまいりたい。

6.公務員制度改革について
 自律的労使関係制度については、国家公務員制度改革基本法第12条において「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」とされている。
 この自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、今回のような意見交換の機会を活用し、引き続き意見交換をさせていただきたい。

 これに対して、大塚副事務局長は次の通り内閣人事局の見解を質した。
(1) 総人件費について、回答になかったが、公務員の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することは内閣人事局の使命であり、人件費や定員の課題について、国家公務員の人事行政を推進する立場である内閣人事局という傘のもとでしっかりと対応していただきたい。
(2) 本年の春季生活闘争では、昨年を上回る賃上げの実現が課題だ。職場では、給与制度の総合的見直しや物価上昇で生活が厳しいとの声が多く、とりわけ地方に勤務する組合員の賃上げに対する期待は大きい。賃上げが必要だという認識を持って臨んでいただきたい。
(3) 非常勤職員については、国公法上明確に位置付けることが、権利の保障、適切な処遇の確保の基礎だ。抜本的改善に向けて、検討の場を設けるべきだ。
  手当を含め、適正な給与を支給するため、必要な予算を確保し、給与ガイドラインの遵守、社会保険への加入を各府省に徹底してもらいたい。また、非常勤職員の時給37円の賃上げ要求は連合の格差是正要求をふまえたもので改善を求める。
(4) 超勤削減目標は思い切って「半減」とすることなどを求めてきた。職場からは圧倒的に要員不足だとの声が多く出されており、問題の原点はそこにある。
  新年度の定員について、産前産後休暇の実績を踏まえた措置がなされたが、さらに拡大してもらいたい。
  超勤縮減に向けては、事前確認の徹底が重要で、その徹底を期してもらいたい。
(5) ワーク・ライフ・バランスの推進、女性の労働権確立の前提条件は、超勤の縮減、ディーセントワークの確保だ。それを土台として、各府省ごとに定めた取組計画に基づいて進めていくことになるが、1年後のフォローアップを待たずに、意見交換、交流の場があってもいいのではないか。
(6) 年金と雇用の接続については、新年度に向けて、職員の希望通りの再任用が実現している状況になっているか、認識を伺いたい。定員事情によって、各府省間で処遇に大きな差が出るのは理不尽であり、内閣人事局として公平性の確保に留意してもらいたい。
  年金支給開始年齢が62歳になるのは来年4月であり、もう時間もあまり残されていないが、どのような検討を行っているのか。政府として定年延長を実施する方向で早急に決断をしていただきたい。
(7) 公務員制度改革の検討は政府の責務だ。この2月の、ILOの条約勧告適用専門家委員会の報告でも、政府に対してILO条約の原則に基づいた改革が要請されている。今後とも、われわれとの交渉・協議を継続し、労働基本権の回復を実現していただきたい。

 これらに対して、川淵内閣審議官らから次の通り回答があった。
(1) 総人件費については、総人件費に関する基本方針等をふまえて内閣人事局としての責務を果たしていく。また、賃金に対する期待は伺った。賃上げについては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重して対応してまいりたい。
(2) 定員確保については、限られた資源の中で、公務の責務を果たすための人員配置の在り方、働き方の見直しなど、意見交換も一つの過程であり工夫しながら対応していく。
(3) 非常勤職員については、多種多様な職種にわたることから、皆様からも幅広くご意見をいただきながら、適切な処遇改善に努めるよう各府省に周知してまいりたい。
(4) 超勤縮減については、適切な勤務時間管理の徹底などに取り組んでまいりたい。取組計画に基づき、各府省では仕事の仕方や会議の在り方など、従来の固定観念を捨てた大胆な試みなども策定されたところである。今後も皆様と意見交換しながら、取組みを推進してまいりたい。
(5) ワーク・ライフ・バランスの推進等について、超勤縮減等が必要であることは認識しており、1年後のフォローアップだけではなく、随時進捗状況の把握に取組むとともに、情報交換しながら必要なサポートを行う。また、新たに設定した、7〜8月の「ワークライフバランス強化月間」では、超勤縮減、テレワーク、休暇取得促進等を集中的に行うこととし、ご意見を伺っていく。
(6) 再任用の調査については、4月から人事院と共同で行う予定となっている。
(7) 雇用と年金の接続の具体的検討はこれからとなるが、国家公務員の定年後就労意向調査や、有識者ヒアリングを行っており、皆様のご意見もお聞きしながら、内閣人事局としてスピード感をもって検討を行ってまいりたい。
(8) 心の健康づくりについては、個人の問題だけではなく、職場環境等が要因の一つでもあるため、管理職のマネジメントも含め、必要な対策を講じてまいりたい。

 最後に、大塚副事務局長は「今日の回答は、まだまだ具体性がなく、方向性が見えてきていない。今後、さらに議論を積み重ねて、11日の統括官との交渉では、具体的かつ前向きな回答をお願いしたい」と強く要請し、交渉を終えた。

<人事職員団体審議官交渉の経過>
 人事院の川崎職員団体審議官との交渉は、14時35分から行われた。
 冒頭、大塚副事務局長が「重点事項についての中間的な回答を伺いたい」と求めたのに対し、川崎審議官は「現在、最終回答に向け、検討を行っているところである。現段階における状況について、回答させていただく」と述べ、次の通り答えた。

1.賃金要求について
 今年の春闘では、連合は定期昇給・賃金カーブ維持相当分の確保を前提とし、過年度の消費者物価上昇分や企業収益の適正な分配の観点、経済の好循環を実現していく社会的役割と責任を踏まえ、すべての構成組織が取り組みを推進していくことを重視し2%以上の要求を掲げ獲得をめざし、取り組みを進めていくとしている。
 一方、日本経団連は、賃金の引き上げについて、ベースアップは賃金を引き上げる場合の選択肢の一つとして考えるべきとし、賃上げをベースアップに限定せず、年収ベースの引き上げと捉えて、賃金については、総額人件費の適切な管理のもと、自社の支払能力に基づき決定することが原則であるとしている。
 こうした状況の中、3月中旬以降、経営側からの回答・妥結が行われるので、その動向を注視しているところである。
 国家公務員の給与について、人事院としては、本年も情勢適応の原則に基づき、民間給与の実態を精緻に調査した上で、民間給与との精確な比較を行い、必要な勧告を行うという基本的スタンスにかわりはない。
 諸手当の見直し・検討について、住居手当をはじめ各種手当については、民間の手当の状況、官民較差の状況等を踏まえ、職員団体の意見も聴きながら、総合的に検討して参りたい。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件等の改善について
 非常勤職員については、適切な処遇等を確保するため、その任用、給与、休暇等について、職員団体や各府省等関係方面の意見等も聴きながら、民間の状況等を踏まえ、法律、人事院規則等を必要に応じて改正し対応してきたところである。今後とも同様の考え方を基本に必要な見直しを行って参りたい。
 また、非常勤職員給与決定指針の達成状況については、随時フォローアップを行っているところであり、今後とも、指針に沿った給与の適正な支給が図られるよう取り組んで参りたい。
 平成22年10月に導入した期間業務職員制度については、各府省において、本制度を設けた趣旨に則った適切な運用がなされるよう、制度の周知徹底や助言指導を行うなどして取り組んでいるところであり、人事院として引き続き、より適切な運用が図られるよう努めて参りたい。
 非常勤職員の休暇制度についても、民間の状況や常勤職員との均衡等を踏まえ、必要な措置を行ってきているところであり、引き続き民間の動向等を注視して参りたい。
 なお、昨年8月の人事院勧告の際の報告文で言及した非常勤職員の夏季における弾力的な年次休暇の付与については、4月1日から施行されることとなっている。

3.労働時間の短縮等について
  超過勤務の縮減については、厳正な勤務時間管理の徹底、業務の改善・効率化などの取組の推進が肝要であるとの観点から、人事院として、各府省と協力して取り組んできたところである。管理職員の意識啓発等、引き続き各府省と連携を図りながら、超過勤務、在庁時間の縮減に取り組んで参りたい。
 また、平成26年には、民間企業の勤務条件制度等調査において総労働時間の短縮に向けた取組を調査するとともに、公務においても超過勤務に関する職員の意識調査を実施したところであり、今後、これらの調査結果を踏まえ、関係機関と連携しながら、より実効性のある超過勤務の縮減について検討を進めて参りたい。
 職員の休暇、休業制度等については、民間における休暇制度等の普及状況等を踏まえて、これまで適宜見直しを行ってきたところであり、今後も社会情勢を踏まえつつ、制度の改善や環境整備に努めていきたいと考えている。
 短時間勤務制度については、育児を行う職員を対象とした制度が既に設けられているが、民間の状況等を注視しつつ、各府省における業務遂行体制や行政サービスへの影響、現行の組織管理や定員管理の在り方、職員の勤務条件の在り方などを含め、引き続き幅広い観点から検討が必要と考えている。今後とも、職員団体の意見も聴きながら検討して参りたい。

4.ワーク・ライフ・バランス、女性の労働権確立について
 人事院は、これまで両立支援策の拡充や超過勤務の縮減の推進など、男女ともに働きやすい勤務環境の整備を積極的に進めているところである。今後も引き続き、職員が働きやすい勤務環境の整備について、所要の検討を進めて参りたい。
 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画については、各府省において策定指針に則り計画が策定され、実行に向けた取組が進められているものと認識している。
 人事院は、職業生活と家庭生活の両立支援策に関して、平成22年6月に配偶者の就労状況にかかわりなく夫婦が同時に育児休業を取得できる制度等を導入し、平成23年11月に1か月以下の育児休業を取得した職員の期末手当の見直しを行うなど、両立支援制度の充実を図ってきているところである。
 育児や介護のための両立支援制度については、毎年各府省の人事担当者を集めて「仕事と育児・介護の両立支援に関する連絡協議会」を開催して意見交換を行うなど、制度の利用促進に努めてきたところであり、今後とも様々な機会を通じて各府省の着実な取組を促していきたいと考えている。

5.高齢期雇用等について
 高齢期雇用について、平成25年3月26日の閣議決定では、現行の再任用の仕組みにより、希望者を原則再任用するものとされたところである。
 このため、職員の能力と経験を公務内で活用できるよう、業務運営や定員配置の柔軟化や60歳前からの退職管理を含む人事管理の見直しなどを進めていく必要があり、また、フルタイム中心の勤務を公務で実現していくためには、関連する制度と合わせて雇用と年金の接続の在り方を検討していく必要があると考える。
 また、昨年4月に公布された国家公務員法等の一部を改正する法律の附則では、政府は平成28年度までに人事院の意見の申出を踏まえつつ、雇用と年金の接続のための措置を講ずることについて検討するものとされており、人事院としても、引き続き、再任用の運用状況や問題点等の把握に努めるとともに、民間企業における継続雇用等の実情、定年前も含めた人事管理全体の状況等を詳細に把握し、意見の申出を踏まえ、雇用と年金の接続のため、適切な制度が整備されるよう取組む所存である。
 再任用職員の給与の在り方については、今後も民間給与の動向等を注視するとともに、各府省における今後の再任用制度の運用状況を踏まえ、職員団体の意見も聴きながら必要な検討を行っていくこととしたいと考えている。

6.福利厚生施策の充実について
 心の健康づくりをはじめとした健康管理対策やセクシャルハラスメント、パワーハラスメント対策の推進については、公務全体の共通の課題として、各職場においてきめ細かい対応が重要であるとの認識に基づき、これまでも各府省と協力して、人事院として積極的に取り組んできたところである。各府省においてもこうした取組の必要性の認識は高まっており、人事院としても引き続き、各府省と連携しつつ、適切に対応して参りたい。
 人事院における取組の一環として、心の不調者の発生を未然に防ぐ1次予防の観点から、職員がセルフケアに関する知識を身につけるための自習用の教材として、e−ラーニング教材を1月末に各府省に配布したところであり、各職場で活用してもらいたいと考えている。
 また、いわゆるパワー・ハラスメントについても、今後、公務における実態とともに、平成24年3月の厚生労働省の職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議における提言やパワー・ハラスメントに関する裁判例など社会的な動向等にも留意しつつ、パワー・ハラスメント防止のための施策等について検討するとともに、パワー・ハラスメントをわかりやすく解説するハンドブックを作成するなど、職員の意識啓発に努めて参りたい。

 これに対して、大塚副事務局長は、次の通り人事院の見解を質した。
(1) 本年の春季生活闘争は昨年を上回る賃上げの実現が課題だ。職場では、給与制度の総合的見直しや物価上昇で生活が厳しいとの声が多く、とりわけ地方に勤務する組合員の賃上げに対する期待は大きい。「民間準拠」ではあるが、夏に向けて、昨年を上回る賃上げ勧告を行う積極的な姿勢で臨んでもらいたい。
  あわせて比較企業規模については、改めて現行通りという考えに変わりはないことを確認しておきたい。
  また、諸手当については、公務員宿舎が削減される中で、住居手当の改善要望が高まっている。配偶者に対する扶養手当見直しについては原則を踏まえた対応を重ねて求めておく。
(2) 非常勤職員について、国公法上明確に位置付けることが、権利の保障、適切な処遇の確保の基礎だ。給与指針について、手当を含めれば「いまだ」という状況であり、社会保険への加入を含めて各府省に徹底してもらいたい。また、非常勤職員の時給37円の賃上げ要求は連合の格差是正要求をふまえたものであり、改善を求める。
  非常勤職員の休暇制度について、年次休暇の夏季における弾力的な取得をふまえ、さらに両立支援の観点から、改善を検討していただきたい。
(3) 超勤縮減について、720時間以上の超勤は禁止すべきことなどを求めてきた。職場からの声は圧倒的に要員不足だ。人事院も昨年の白書の特集でその旨明記しているところ。良好な勤務条件を確保する、職員の健康を守る、そういった観点から、人事院にはその役割をしっかりと果たしてもらいたい。その際、勤務時間の客観的な把握が大事ではないかと思うがどうか。
  加えて、行った超勤に対してはその分の手当を必ず支払うという当たり前のことも徹底してもらいたい。
(4) 両立支援にもかかわって、男性の育児休業そして介護への対応が喫緊の課題だ。フレックスタイム制度の拡充やテレワークを含めて、改善に向けて十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて進めてもらいたい。
(5) ワーク・ライフ・バランスの推進、女性の労働権確立は、超勤縮減、ディーセントワークの確保が前提だ。次世代育成、取組方針、採用登用指針それぞれの趣旨に若干の違いがあるが、労使ともに、本府省から出先まで、しっかりと取り組めるよう、採用登用拡大指針に基づく計画も含めた整理をお願いしたい。
(6) 新年度における再任用の見通しについて、現時点での人事院の認識を伺う。
  2015年度の定年退職者から年金支給年齢が62歳になる中で、昨年の勧告時報告において、積極的に取り組むとされているが、定年延長の実施に向けて人事院としてどのような取組みを行っていくつもりか。
  また、再任用職員の給与について、さらに住居手当を含めて改善を求める。
(7) 心の健康づくりについては、仕事の仕方、働き方、職場環境等複合的な課題であることを踏まえて、無理のない勤務条件、余裕を持って仕事ができる職場環境を整えてもらいたい。

 これに対し、川崎審議官は次の通り答えた。
(1) 賃金要求については、民間の状況を把握し、情勢適応の原則に基づき適切に対応するというスタンスに変わりはない。比較企業規模については、平成18年度に見直された現行の取扱いが、広く民間の実態を把握する上で適当であると考える。住居手当の要望については、民間の住宅手当の動向と宿舎の削減、宿舎料が値上げされていることを踏まえ、実態を精査しながら検討してまいりたい。配偶者扶養手当については、民間準拠という人事院のスタンスに変わりはない。
(2) 非常勤職員の処遇改善については、仕事の専門性の違いや勤務時間の長短等、多種多様な雇用形態・勤務内容となっている。これらを1つの指針で一括りにできるかという問題はある。あくまで任命権者は各府省の長なので、適切になるよう各府省に対応していく。
  平成20年の指針について、「基本給ベースで最低でも1級1号俸」という点については全府省でクリアしているが、通勤手当や期末手当の取扱いの違いがあるなどの実態となっている。予算との関係があるが、できるだけ改善できるようフォローアップを進めている。
(3) 超過勤務縮減に対する意識は、ここ数年で急激に変わってきている。超過勤務に対する意識調査の結果も踏まえて、より積極的な対応をしてまいりたい。
(4) フレックスやテレワークの検討は、働き方の柔軟性というテーマにどこまで取り組んでいくのかという点や、業務管理・勤務時間管理をどうするのかという点など課題は沢山あると考えている。
(5) 再任用に関して、大量の苦情が来ているということはない。従来部分年金が出ていたときには、短時間勤務による再任用が多かったが、昨年4月から無年金期間が発生することに伴い、フルタイム再任用を増やしたり、級を上げたり、勤務日数を週4日にするなど、各府省による取組みによって改善があった。
  定年延長については、昨年の勧告時報告において「積極的に取り組む」としており、その姿勢は変わっていない。
(6) 労働安全衛生法の改正に合わせ、国家公務員についても、受動喫煙、ストレスチェックなど所要の取組みを同時に進めている。

 最後に、大塚副事務局長が「今日の回答は、まだまだ具体性がなく、方向性が見えてきていない。今後、さらに議論を積み重ねて、12日の各局長との交渉では、われわれの要求について具体的かつ前向きな回答をお願いしたい」と要望し、本日の交渉を締めくくった。

以上