公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、31日13時30分から、2015年人勧期要求に関わり古屋人事院給与局長と2度目の交渉を行った。
冒頭、吉澤事務局長が「7月28日の交渉では、較差などについて明確な回答がなかった。本日は、前回議論を踏まえた現段階の検討状況を回答願いたい」と求めたのに対し、古屋局長は以下の通り答えた。
1.勧告について
勧告日は、来週の後半で調整中である。具体的な日程は、総裁会見の際にお伝えすることができると思われる。
2.官民較差について
(1) 官民較差と月例給について
官民較差については、現在、最終的な詰めを行っているところであるが、今年の民間企業の春季賃金改定状況を反映して、若干のプラスとなる見通しである。
(2) 特別給について
特別給についても、現在、最終的な集計を行っているところであるが、民間企業のボーナスの支給状況を反映して、支給月数が引上げとなる見通しである。
なお、支給月数の引上げがある場合には、勤勉手当に配分することとしたい。
3.本年の改定の考え方について
仮に、引上げ改定を行うとした場合には、基本的な給与である俸給を、再任用職員を含め引き上げることを考えている。
その場合、本年は、大半の職員が、給与制度の総合的見直しにおける俸給表水準の引下げに伴う経過措置額を受けており、俸給表の引上げ改定を行っても、多くの職員に実際に支給される額は増加せず、民間給与との較差がなお残ることも想定され、給与制度の総合的見直しを円滑に進める観点から、平成28年度以降に予定していた地域手当の支給割合の引上げの一部を、本年4月に遡及して実施することが考えられる。
4.諸手当について
(1) 初任給調整手当について
国の医療施設に勤務する医師に対する初任給調整手当について、医療職俸給表(一)の改定状況を勘案し、医師の処遇を確保する観点から、所要の改定を行うことを考えている。
(2) 配偶者に係る扶養手当について
扶養手当については、基本的に民間賃金の実態を踏まえて定めることとしている。本年の「職種別民間給与実態調査」の結果を見ると、民間では、配偶者に対して家族手当を支給し、その際、配偶者の収入による制限を設けている事業所が一般的である。
今後とも、民間企業における家族手当の見直しの動向や、税制及び社会保障制度に係る見直しの動向等を注視しながら、扶養手当の支給要件等について、必要な検討を行って参りたい。
5.給与制度の総合的見直しに関わる今後の対応について
平成28年度においては、職員の在職状況等を踏まえ、地域手当の支給割合を引き上げるとともに、単身赴任手当の基礎額及び加算額の限度について引き上げることを考えている。
回答に対し、吉澤事務局長は、「最近の物価上昇等の影響は世代を問わず、また世代間配分の見直しにより高齢層が厳しいのが現状であるため、月例給与は全世代に配分すべきだ。加えて、非常勤職員給与への配慮の観点も含め、初任給、初号への配分を重視すべき」との基本的考え方を述べた上で、次の通り局長の見解を質した。
(1) 月例給を引上げても、経過措置適用者の実際の支給額には変化がないとのことだが、世代間問題については昨年、現給保障で一定整理をしたものの、この間の物価上昇等を鑑み、月例給の較差について経過措置適用者にも配慮をすべきだ。
なお、退職手当に反映されるとともに、経過措置適用者には、経過措置終了時点で、影響が緩和されるとの理解で良いか。
(2) 一時金引上げ月数の配分は、昨年同様勤勉手当ということだが、育児休業中の職員、非常勤職員への配慮が課題だ。育児休業、非常勤職員について、制度的な観点でこの問題を考え直すべきではないか。公務員連絡会と前向きな議論をお願いしたい。
これに対し、古屋局長は次の通り回答した。
(1) 経過措置は、給与制度の円滑な見直しを行うために、俸給表水準が引下げとなる職員に手当てをしたものであることが前提となることから、配慮するのは困難だ。
退職手当への反映や経過措置終了時の影響緩和については、ご指摘のとおりである。
(2) 非常勤職員に対し、一部では勤勉手当に相当する手当を支給しているところもある。人事院としては、こうした実態を各府省にフィードバックしていきたい。
最後に吉澤事務局長が、配分については後日、職員団体審議官と別途議論するよう求めたのに対し、給与局長がこれを了としたことから、「最終の総裁回答交渉では、厳しい環境で必死に奮闘している組合員の期待に応える前向きな回答を求める」と強く要請し、この日の交渉を締めくくった。
以上