公務労協地方公務員部会は、10月15日13時15分から、地方公務員給与の改定等に関わり、高市総務大臣に提出した申入書に対する現時点での検討状況を質すため、総務省交渉を実施した。地方公務員部会からは幹事クラス交渉委員が出席し、総務省からは田中給与能率推進室長らが対応した。
冒頭、加藤事務局長は「8月7日に地方公務員の給与改定、公営企業及び技能労務職員の給与、臨時・非常勤職員の任用・処遇について要求し、その後2か月余りが経過した。臨時国会の見通しが持てない中ではあるが、現時点での検討状況を聞かせてもらいたい」と求めたのに対し、田中室長は以下のように答えた。
(1) 地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨を踏まえ、各団体の議会において条例によって定められるもの。総務省としては、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきもの、との考え方に立ち、必要な助言を行っていく。
(2) 技能労務職員等の給与については、一般行政職とは異なり、労使交渉を経て労働協約を締結することができる。その上で給与の種類、基準については条例で定めるものとされている。一方で職務の性格や内容を踏まえつつ、同一または類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与などを考慮することが法律上求められている。しかし、技能労務職員などの給与については、同種の民間事業の従事者に比べ、高額となっているのではないかという国民等からの厳しい批判がある。各地方公共団体においては、このような考え方に立って、給与に関する情報の開示を進めながら、住民の理解と納得が得られる適正な給与とすることが重要である。
これに対し、加藤事務局長が「今回、臨時国会が召集されるかどうか、未だ不透明な状況だ。しかし、地方公務員の給与改定については、地方自治体が自主的、主体的に決定するということでよいか」と質したのに対し、田中室長は「地方公務員法上、地方公務員の給与決定に当たっては、民間事業の従業者の給与等とともに、国家公務員給与も考慮事項の一つとされている。国家公務員給与は法律(一般職給与法)で定められており、国会における審議を経て、その取扱いは定まるもの。したがって、地方公共団体における給与改定の実施については、国における給与法の改正の措置を待って行うべきものと考える。」と答えた。
さらに、地方公務員部会側は意見・要望として以下のように求めた。
(1) 「必要な助言」とは、地方公務員法、地方自治法にある「技術的助言」にあたるものと考えるが、そのことによって、地方自治体の自己決定に支障が出るとすれば、地方自治の本旨、地方分権の理念とは一体何なのか。今後、各自治体において、賃金確定に向けた労使交渉に入り、人事委員会勧告・報告などを含め、自治体ごとでの検討・協議が行われることとなる。先ほどの回答にもあったが、地方公務員の給与は、地方議会の条例で定めるのが原則であり、地方自治体が自主的、主体的に決定するということを、改めて強調しておく。
(2) 国家公務員の給与について、早期に人事院勧告通りの実施を閣議決定し、給与法が国会に提出されるよう、総務省、総務大臣の立場からも尽力いただきたい。
最後に加藤事務局長が「いくつか指摘したが、しかるべき時期に公務員部長から回答をいただきたい。全ての項目について前向きな検討をお願いしたい」と求めたのに対し、田中室長がこれを了としたことから、本日の交渉を締めくくった。
以上