2016年度公務労協情報 15 2016年2月22日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が、総務大臣に対し春季要求書を提出-2/19

 公務労協地方公務員部会は、2月19日、高市総務大臣に対して2016春季要求書を提出した。交渉は17時30分から総務省で行われ、地方公務員部会からは永井議長のほか委員長クラス交渉委員が出席した。
青山会長(右)に要請書を手交する永井議長(左)
 冒頭、永井議長は要求書(資料1)を提出し、次の通り述べるとともに、3月下旬には誠意ある回答を示すよう強く求めた。

(1) 政府は、財政健全化計画の初年度となる2016年度予算案を閣議決定し、現在国会で審議されているところ。予算案は、2020年度の基礎的財政収支の黒字化に向け、一般歳出及び社会保障費それぞれの伸びを歳出改革の目安の範囲内に収めるとともに、国債新規発行額はリーマン・ショック前の水準となっている。しかし、地方財政については、一般財源総額は確保されたものの、景気回復による地方税収の増を見込み、地方交付税総額の減、交付税の「別枠加算」の廃止等が示されており、地方における格差拡大につながることが懸念される。
(2) 一方、地方創生の観点からも、地方の活性化は不可欠である。少子・高齢化対策、教育環境整備、地域医療の確保、環境保全など、質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障と、職員の士気を確保する賃上げによる処遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現などが求められる。また、自治体における臨時・非常勤職員が3人に1人という実態から、当該職員の処遇改善、雇用安定の実現は重要な課題である。
(3) 職務にあたる者の士気を確保し、良質な公務・公共サービスを提供していくために、下記の通り、賃金改善、労働条件等をはじめとする2016年春季の要求を提出する。
  高市大臣におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただくよう要求する。

 これに対し、高市総務大臣は「ただいま要求書を受けとり、要求内容について承った。各要求事項については、検討の上、しかるべき時期に回答させていただく」と応え、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。

(資料1)

2016年2月19日

総務大臣
 高 市 早 苗 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 永井 雅師


要 請 書

 貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
 公務労協地方公務員部会は、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の処遇改善等の実現をめざして取組みを進めています。
 さて、政府は、2015年6月に閣議決定した経済財政運営に関する「骨太方針」を踏まえ、同12月、財政健全化計画の初年度となる2016年度予算案を閣議決定しました。2020年度の基礎的財政収支の黒字化に向け、一般歳出及び社会保障費それぞれの伸びを歳出改革の目安の範囲内に収めるとともに、国債新規発行額はリーマン・ショック前の水準となっています。しかし、地方財政については、一般財源総額は確保されたものの、景気回復による地方税収の増を見込み、地方交付税総額の減、交付税の「別枠加算」の廃止等が示されており、地方における格差拡大につながることが懸念されます。
 一方、地方創生の観点からも、地方の活性化は不可欠です。少子・高齢化対策、教育環境整備、地域医療の確保、環境保全など、質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障とともに、職員の士気を確保する賃上げによる処遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現などが求められます。また、自治体における臨時・非常勤職員が3人に1人という実態から、当該職員の処遇改善、雇用安定の実現は重要な課題です。
 地方公務員部会は、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2016年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。


1.2016年度の賃金改善等について
(1) 地方公務員の賃金の改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。
(2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・合意を尊重すること。
(3)公共サービス基本法に基づいて良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することとし、環境整備を図ること。

2.労働時間、休暇及び休業等について
 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の拡充などを実現すること。
(1) 各自治体におけるメンタルヘルスを含む職員の健康管理体制や職場の労働安全衛生体制の確立等が一層推進されるよう対応すること。
 @ ストレスチェックの義務化にあたっては、労働者50人未満の事業場も含め、全ての職員に実施するとともに、必要な財政措置を講ずること。
 A 「東日本大震災に関連するメンタルヘルス対策5か年事業」について、被災地域の職員の安全と健康を確保するため、円滑に推進されるよう対応すること。
(2) 地方自治体におけるフレックスタイム制の実施について、現場の実情を踏まえ、導入の是非も含め各自治体における自主的判断であること、あくまで職員の申告制であることなどを踏まえ、円滑に推進されるよう対応すること。

3.改正地方公務員法について
 人事評価制度の導入及び等級別基準職務表の条例化等にあたっては、職員への理解と周知を徹底するとともに、各自治体における主体的決定を尊重すること。

4.臨時・非常勤等職員の雇用確保と処遇の改善について
(1) 臨時・非常勤職員の処遇改善、雇用安定に向け、2014総務省通知の趣旨の周知徹底についてさらに努力すること。
(2) 臨時・非常勤職員制度について、パート労働法等民間労働法制の趣旨を踏まえ、雇用の安定と均等待遇原則に基づく労働条件となるよう法整備を図ること。

5.新たな高齢雇用施策の充実について
 段階的定年延長に関わっては、地方自治体においても国に遅れないよう制度設計を進めること。当面、年金支給開始年齢の段階的引上げにともない、希望する職員全員の雇用を確保するため、全ての自治体における再任用制度の確立を喫緊の課題として対応すること。

以上