2016年度公務労協情報 16 2016年2月29日
公務公共サービス労働組合協議会

2016春季生活闘争・公共サービスキャンペーンを本格的に開始-2/26

 公務労協は26日、@連合の春季生活闘争への積極的参加と、各構成組織における取組みの強化に向けた基盤を形成する、A「公共サービスの産業化」等の新自由主義的な財政健全化に抗し、国民が安心して暮らすことのできる社会を支える公共サービスの再構築に向けた認識の共有を図る、B公共サービス基本法の理念と措置の、国及び地方自治体における具体化に向けて認識の共有と取組みの意思統一を図ることなどを目的に「2016春季生活闘争・公共サービスキャンペーン開始2.26中央集会」を開催した。
主催者を代表してあいさつする加藤議長
 13時30分から東京・TOCビルで行った中央集会には、全国から約300人の仲間が結集した。
 集会の冒頭、加藤公務労協議長が主催者を代表して挨拶し、今春季生活闘争について「デフレスパイラルから脱却するためには、国民の収入、可処分所得を高めていくことが不可欠だ。民間産別・公務労協内の協約締結権を有する組織が進める「格差是正」「底上げ・底支え」「月例賃金の引上げ」に向けた取組みを、公務労協総体で連携し、支えていこう。3月16日を最大のヤマ場とする民間春闘の成果と私たちの春闘期の取組みを人勧期、秋の確定闘争に繋げ、その成果を民間の地場産業で働く仲間の賃上げ、処遇改善に繋げていくことが私たちの重大な使命であることを確認し合いたい。公務員の総人件費削減の政治的掛け声が先行し、働く者の生活をどう高めていくかという姿勢が無い状況にある。公共サービスのあり方を確立していく中で、国民の生活基盤とそれを担う公務労働者をどう確立していくのかという視点が無い限り、公務においても、賃金の低位平準化になっていく危険性があることを指摘せざるを得ない。春闘と公共サービスキャンペーンの取組みを一体的に取り組む意味を確認し、全力で進めていこう」と、決意を表明した。

 議長挨拶に続き、井手英策慶応義塾大学経済学部教授、逢坂誠二衆議院議員がそれぞれ講演を行った。
井手英策 慶応大教授
 井手教授は、「分断の政治を終わらせる「相利創発社会」の構想」と題し、「共働き世帯は増える一方、1995年から世帯所得は17%減、6割の世帯が平均所得以下となった。また女性の社会進出を掲げ、これが進み、育児・保育・養老は社会で担う必要が生じているのに「自助」を持ち出す。さらに、日本は他国に比べ他者に対する信頼度が低く、格差是正に対する関心も低い。40年近く変わらない「自助・共助・公助」を中心とした福祉のあり方は崩れてきている。困っている人だけに給付を行う社会は、結果として格差拡大を招く可能性があるというデータもある。所得制限を付け貧しい人を助ける「救済型再分配」は人々の分断を招く。そうではなく、必要とするすべての人々にサービスを提供する「共存型再分配」へと転換し、誰もが受益者となれる社会に変えていくことが、結果として格差を是正するのではないか」と述べた。

逢坂誠二 衆議院議員
 逢坂議員は「公務・公共サービスとは、国民の皆さんやそれぞれの地域実情、その時代背景などによって、生きていく上で必要不可欠であり、たとえ不採算であったとしても、やらざるを得ないものだ。安倍首相は、経済が第一であり、経済が良くなれば、全てに好影響がでるようなことを言っているが、自由な経済活動は、必ず従業員の賃金を含む企業間格差や地域間格差を生むことになり、放置すれば格差が広がることになる。そうした格差を含む社会のひずみ等に対処し、必要な所に手を差し伸べるなどの重要な役割を政治・公務は担っている。また、昨今の安保関連法案の審議の際、「立憲主義」が話題となったが、憲法は国民を縛るものではなく、時の権力者に対する抑制だ。憲法99条は「(略)国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と規定しており、公務員は一定の権力を有している。このように、社会の重要な役割を担うとともに、国民に対する一定の権力を有している公務・公共サービスを、利益や効率化のみに重点をおいて、簡単に民間開放しようとする議論がなされており、公務・公共サービスのあり方や必要性について、しっかりと国会の場で追及していく。さらに、公共サービス基本法について、成立してから約7年が経過し、政府内での認識も甘くなっている。再度命を吹き込むべく、公務・公共サービスに従事する皆さんのご意見も賜りながら、取り組んでまいりたい」と述べた。

 次に、吉澤事務局長が、春季生活闘争をめぐる情勢・課題について基調提起を行った。最後に団結がんばろうを行い、中央集会を締めくくった。

以上