2016年度公務労協情報 24 2016年4月14日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院と民調作業方針をめぐって交渉

 人事院は、本年の民間給与実態調査に関する方針が固まったとして、賃金・労働条件専門委員会にその骨格を示した。
 冒頭、前薗職員団体審議官付参事官は、以下の通り基本的な骨格を明らかにした。

1.調査期間
 5月1日(日)〜6月17日(金)の48日間。
2.調査対象事業所
 昨年と同様に、国・地方の公務、外国政府・国際機関等を除く民間のすべての産業の中で、企業規模50人以上でかつ事業所規模50人以上の母集団事業所54,000(昨年は55,000)より12,000(昨年と同じ)を抽出して行う。なお、母集団事業所の従業員数(正社員)は平成26年経済センサスにおける従業員数(正社員)の6割を超える。
3.調査の方法
 人事院、47都道府県、20政令指定都市、特別区及び和歌山市の69人事委員会の職員が分担し、実地調査で行う。調査員は1,100人(昨年と同じ)である。
4.調査の内容
 事業所単位で行う調査事項については、@賞与及び臨時給与の支給総額、A毎月決まって支給する給与の支給総額、B本年の給与改定等の状況(ベース改定、定期昇給、賞与の支給状況等)、C諸手当の支給状況(住宅手当・家族手当の支給状況等)、D時間外労働の割増賃金率の状況、E定年退職後の継続雇用制度等の状況、等について調査する。
 昨年からの変更点については、家族手当の支給状況について、状況変化に伴い見直す場合の動向等を、定年退職後の継続雇用制度等の状況については、転居を伴う異動や各種手当の支給状況等を、新たな設問として追加した。従業員別に行う調査事項については、昨年と同じである。

 これに対し、渡辺賃金・労働条件専門委員長は以下の通り質問、意見を述べた。
(1) 5月1日、日曜日から調査することにする理由如何。
(2) 企業規模、事業所規模、役職定義については昨年と同じということでよいか。
(3) 事業所単位で行う調査について、本年の給与改定状況、住宅手当、時間外労働の割増率の状況については、昨年と同様か。
(4) 家族手当については、人事院で勉強会、厚生労働省では検討会が開催され、一定の整理が行われているが、公務先行ではなく、あくまで民間準拠が基本。昨年からの変更点について、更に詳しくご説明いただきたい。
(5) 定年退職後の継続雇用制度の状況等についても、昨年からの変更点について詳しい説明を。
(6) 昨年の調査結果では、45時間を超え60時間までの時間外労働の割増賃金率を30%以上としている従業員の割合は、過半数に達していなかったが、超勤を縮減するためには引上げが必要だ。しっかりと把握し、引上げを念頭においた検討を求める。
(7) 公務員宿舎の削減がほぼ完了し、この4月には宿舎料の2段目の引上げが行われた。この間の国公実態を見ると住居手当受給者が増えており、限度額の受給者が7割に達している。公務の側の事情の大きな変化や、民間企業とは異なる異動実態も踏まえて、改善に向け、早急な検討を求める。

 これに対し、前薗参事官は、以下の通り答えた。
(1) 過去10年以上にわたり5月1日から調査を行い、民間にも浸透しているところであり、本年も同日を調査開始日とした。なお、調査期間について、昨年同様とすると土曜日となるため、民間への影響も考慮し、1日短くした。
(2) 企業規模、事業所規模、役職定義については、昨年と同様である。
(3) 事業所単位で行う調査に関する質問についても、昨年と同様である。
(4) 家族手当について、昨年の支給状況に加え、H25年1月以降の見直しの有無及び内容、また、今後の見直し予定や検討する場合の状況変化(税・社会保障制度の見直しの動向等)についての設問を新たに追加した。他方、配偶者と子3人の場合の手当月額については、昨年調査で概ね把握できたことから、本年は調査しない。なお、人事院としては民間準拠が基本であるとの認識に変更はない。
(5) 定年退職後の継続雇用制度の状況等について、定年制の有無等に加え、フルタイム再雇用者の転居を伴う異動の有無及び実態と各種手当の支給状況を新たに追加した。
(6) ご意見については承った。

 見解を受け、渡辺賃金・労働条件専門委員長は「民間給与実態調査は官民比較の基礎であり、しっかり調査を行って、夏の勧告では納得できる結果を出していただきたい。そうした観点から、配分等についてもしっかりと議論させていただきたい。そのためにも、毎年申し上げてきたが、調査の進展や集計状況について、是非とも途中段階を含めて前広に説明してもらいたい」と求め、この日の交渉を終えた。

以上