2016年度公務労協情報 38 2016年10月13日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が公務員部長交渉を実施し、地方公務員の給与改定等に関わる最終回答を引き出す−10/13
−地方公務員給与は、各自治体の自主的・主体的判断で決定されるべき、と強く求める−

 公務労協地方公務員部会は、10月13日、地方公務員給与の改定等に関わり、高市総務大臣に提出した申入書に対する最終回答を引き出すため、総務省交渉を実施した。地方公務員部会からは福島企画調整委員代表(自治労書記長)ら書記長クラス交渉委員が出席し、総務省からは原公務員部長らが対応した。
 冒頭、福島企画調整委員代表が、地方公務員部会の要求に対する最終回答を求めたのに対し、原公務員部長は以下のように答えた。

(1) 地方公務員の給与については、地方公務員法の趣意を踏まえ、各団体の議会において条例で定められるものである。総務省としては、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきものとの考えに立ち、必要な助言を行っていく。
(2) 技能労務職員等の給与については、一般行政職と異なり、労使交渉を経て労働協約を締結することができる。その上で、給与の種類、基準については条例で定めるものとされている。一方で、職務の性格や内容を踏まえつつ、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与等を考慮することが法律上求められているもの。しかしながら、技能労務職員等の給与については、同種の民間事業の従業者に比べ高額となっているのではないかとの国民等の厳しい批判があるところ。各地方公共団体においては、このような考え方に立って、給与に関する情報の開示を進めながら、住民の理解と納得が得られる適正な給与とすることが重要と考えている。
(3) 今般の地方公務員の臨時・非常勤職員の実態調査については、本年4月を調査時点として、平成26年の公務員部長通知のフォローアップも含めて実施し、9月に速報として結果を公表した。
  現在、「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」において、この実態調査の結果や民間における「同一労働同一賃金」の議論、国における取組などを踏まえ、必要な検討を行っている。
  総務省としては、年末に予定されている研究会の報告などを踏まえ、地方の臨時・非常勤職員等の適正な任用・勤務条件の確保に向けて取り組んでまいりたい。

 これに対し、福島企画調整委員代表は次のように意見・要望を述べた。
(1) 地方公務員の給与について。言うまでもなく、地方公務員の給与は、地方自治の本旨と地方分権の理念に基づいて、当該地方自治体の条例で定めるべきものであり、その自治体の自主的・主体的判断で決定されるべきものであり、その点を改めて強調しておく。
  また、扶養手当の見直しについて、見直し勧告あるいは検討にとどまった人事委員会があるが、これに関しても、地域の実情や地方自治体の支給実態等が異なることから、地方自治体における自主的、主体的な決定を尊重すべきだと考える。
(2) 臨時・非常勤職員の処遇改善、雇用安定について。9月に公表された臨時・非常勤職員の実態調査では、前回調査に比べ、4万5千人増加で約64万人。質の高い住民サービスを提供する上で、欠かせない存在となっている。しかし、「パート労働法」や「労働契約法」も適用除外であり、また、地方公務員関係諸制度との関係で、いわゆる「法の谷間」に置かれていることは周知の通り。
  2014総務省通知を活用しながら、処遇等の改善に向けた労使交渉・協議を各地方で行っているところだが、この通知をもってしても、臨時・非常勤職員をめぐる状況を根本的に改善するには至っていない。
  一方、政府は、「ニッポン一億総活躍プラン」において、同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善が提起され、欧州諸国に遜色のない水準をめざすとしている。
  7月より「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」が開催され、年内をめどに最終とりまとめを行うことを念頭に議論が進められていると伺っている。地方及び職員団体からの意見も踏まえ、臨時・非常勤職員の処遇改善、雇用安定につながるものとなるよう、要請しておきたい。あわせて、今後も、十分な意思疎通を図りながら、引き続き意見交換等をお願いしたい。

  なお、本年の国家公務員の給与改定に関する取扱いは、10月14日に開かれる第2回給与関係閣僚会議、及びその後に開催される閣議で決定される見込みであり、この閣議決定後、地方公務員の給与改定に関する取扱いについて、総務副大臣通知が発出される見込みである。

以上