2016年度公務労協情報 5 2015年12月3日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が公務員部長交渉を実施し、地方公務員の給与改定等に関わる最終回答を引き出す−12/3
−差額支給にあたり、給与条例施行後速やかに対応すべく所要の準備を行うことが重要、と回答−

 公務労協地方公務員部会は、12月3日、地方公務員給与の改定等に関わり、高市総務大臣に提出した申入書に対する最終回答を引き出すため、総務省交渉を実施した。地方公務員部会からは福島企画調整委員代表(自治労書記長)ら書記長クラス交渉委員が出席し、総務省からは北崎公務員部長らが対応した。
 冒頭、福島企画調整委員代表が、地方公務員部会の要求に対する最終回答を求めたのに対し、北崎公務員部長は以下のように答えた。

(1) 地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨を踏まえ、各団体の議会において条例によって定められるもの。総務省としては、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきもの、との考え方に立ち、必要な助言を行っていく。
(2) 技能労務職員等の給与については、一般行政職とは異なり、労使交渉を経て労働協約を締結することができる。その上で給与の種類、基準については条例で定めるものとされている。一方で職務の性格や内容を踏まえつつ、同一または類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与などを考慮することが法律上求められている。しかし、技能労務職員などの給与については、同種の民間事業の従事者に比べ、高額となっているのではないかという国民等からの厳しい批判がある。各地方公共団体においては、このような考え方に立って、給与に関する情報の開示を進めながら、住民の理解と納得が得られる適正な給与とすることが重要である。
(3) 臨時・非常勤職員の任用や勤務条件については、各地方公共団体が法令に基づき、任命権者として、責任を持って適切に対応いただくべきもの。総務省では、各地方公共団体において、臨時・非常勤職員について制度の趣旨、勤務の内容に応じた任用や勤務条件が確保されるよう、昨年7月に公務員部長通知を発出したところ。総務省としては、今後とも会議等の場を通じて、通知の内容の周知徹底に努めるとともに、法令の適切な運用の観点から、必要な助言等を行ってまいりたい。
  また、パート労働法は、公務員については、国民や住民の意思である法令、条例に基づいて勤務条件が定められていることから、その適用が除外されているところ。しかしながら、先ほどの通知の中で、パート労働法の趣旨を踏まえ、臨時・非常勤職員の報酬等については、常勤職員の給与と同様に、職務給の原則を踏まえ、職務の内容と責任に応じて適切に決定すべきこと、研修・厚生福利については、業務の内容や責任の程度に応じた適切な対応を図るべきこと等の助言を行っているところ。

 これに対し、福島企画調整委員代表は次のように質した。
(1) 今年は、臨時国会が召集されず、国家公務員の給与決着が遅れている。地方の給与決定については、国の給与決定を踏まえ労使交渉で決着を図るところだが、総務省からの「給与法の措置を待って」という強い指摘もあり、労使交渉が進まない自治体も多い。ついては、地方におけるこのような動向をどのように認識しているか。
(2) 地方においては、少なくとも、2月、3月議会への給与条例改正案提出を間に合わせなければならない以上、人勧の取扱いが閣議決定されれば、地方での労使交渉についても速やかに終わらせる理解でよいか。

 これに対し、北崎公務員部長は次のように答えた。
(1) 現在までのところ、国家公務員の給与改定の取扱い方針は政府において決定されておらず、一般職給与法改正案も国会に提出されていない。
  地方公務員法上、地方公務員の給与決定に当たっては、民間事業の従業者の給与等とともに、国家公務員給与も考慮事項とされている。国家公務員給与は一般職給与法で定められており、国会における審議を経て、その取扱いは定まるもの。従って、地方公共団体における給与改定の実施については、国における給与法の改正の措置を待って行うべきものと考える。
  その上で、給与改定に伴う差額の支給にあたっては、各団体における給与条例の施行後、速やかに対応するよう助言したい。
(2) 既に述べたとおり、各団体において、地方公務員法の趣旨を踏まえて、適切に給与を決定するべきもの。
  その上で、給与改定に伴う差額の支給にあたっては、各団体における給与条例の施行後、速やかに対応することができるよう、所要の準備を行っていただくことは重要と考えている。

 さらに、福島企画調整委員代表は次のように意見・要望を述べた。
(1) 昨年11月の給与法改正法案成立時に、地方公務員の給与改定等に関し、「地方公務員法に基づき地方公共団体における自主的・主体的決定が適正になされることを旨とする」との附帯決議が採択された。
  しかし、現時点で、国家公務員の給与改定の取扱い方針が未だ決定されない中で、地方公共団体の給与決定における当局との労使交渉に対し、「技術的助言」と称して、自治体・人事委員会への指摘を強め、自治体の自己決定に介入したことは遺憾であると言わざるを得ない。
  言うまでもなく、地方公務員の給与は、地方自治の本旨と地方分権の理念に基づいて、当該地方自治体の条例で定めるべきものであり、その自治体の自主的・主体的判断で決定されるべきものであり、その点を改めて強調しておく。
(2) 自治体や教育現場で働く臨時・非常勤職員は、「パート労働法」や「労働契約法」も適用除外であり、また、地方公務員法は常勤で任期の定めのない職員を前提にしていることから、いわゆる「法の谷間」に置かれていることは周知の通り。
  昨年7月に発出された総務省通知を活用しながら、改善に向けた労使交渉・協議を各地方で行っているところだが、この通知をもってしても、臨時・非常勤職員をめぐる状況を根本的に改善するには至っていない。「雇い止め」は依然として深刻であることも踏まえ、今後も、十分な意思疎通を図りながら、臨時・非常勤職員の処遇改善、雇用不安の解消に向けて、引き続き意見交換等をお願いしたい。
(3) 閣議決定の日程について様々な報道もされている。地方における給与改定の実施は国における給与法の改正の措置を待って、というのは大前提ではあるが、「遅れないように準備をする」という意味で、各自治体で年内の労使交渉等を行っていくことに、理解と尊重を求める。

 なお、本年の国家公務員の給与改定に関する取扱いは、近日中に開かれる第2回給与関係閣僚会議で確認、その後に開催される閣議で決定される見込みであり、この閣議決定後、地方公務員の給与改定に関する取扱いについて、総務副大臣通知が発出される見込みである。

以上