政府は、4日朝、第2回給与関係閣僚会議を開き、本年の人事院勧告を勧告通り実施する方針を決定し、その後の閣議において「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(資料1)を決定した。
公務員連絡会は、この閣議決定に先立ち、3日、国家公務員制度担当大臣と委員長クラスが最終交渉をもち、本年の人勧取扱いに対する要求についての回答を受けた。
この閣議決定により、今後、所要の法案が国会に提出され、国会段階の法案を巡る取組みに移ることとなる。このため、公務員連絡会は、対政府要求に基づく国会対策を強化していくことにしている。
閣議決定に関する官房長官談話は資料2の通り。
なお、同日の閣議で、河野担当大臣は、平成25年3月の雇用と年金の接続に関する閣議決定及び国公法改正法附則第42条に基づく、平成28年4月からの年金支給開始年齢の62歳への引上げ時における雇用と年金接続に関する政府方針について、引き続き、任命権者が再任用することにより対応することを表明し、確認された。
これに先立ち、公務員連絡会は、2日に行った書記長クラスによる内閣人事局人事政策統括官交渉において「平成25年3月の閣議決定に基づき、今後も、年金支給開始年齢引上げ時期ごとに、定年延長も含めた雇用と年金接続の在り方について検討を行う」ことを確認しており、今後も、定年延長の実現をめざし、政府との交渉・協議を継続していくことにしている。
資料1−人勧取扱いの閣議決定内容
公務員の給与改定に関する取扱いについて
(平成27年12月4日閣議決定)
1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月6日の人事院勧告どおり改定を行うものとする。また、本年4月から実施している給与制度の総合的見直しを着実に推進する。
2 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の適用を受ける国家公務員の勤務時間については、去る8月6日の人事院勧告どおり、平成28年度から、適切な公務運営の確保に配慮しつつ、原則として全ての職員を対象にフレックスタイム制を拡充するものとする。
3 特別職の国家公務員の給与については、おおむね1の趣旨に沿って取り扱うものとする。
4 1、2及び3の措置に併せ、次に掲げる各般の措置を講ずるものとする。
(1) 国の行政機関の機構及び定員については、「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」(平成26年7月25日閣議決定)に沿って、厳格に管理を行う。
(2) 独立行政法人(総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第13号に規定する独立行政法人をいう。)の役職員の給与改定に当たっては、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)を踏まえ、適切に対応する。
また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準となるよう厳しく対処するとともに、必要な指導を行うなど適切に対応する。
5 地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切に対応するとともに、厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、既に地域における国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を図るため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
また、国家公務員における給与制度の総合的見直しを踏まえ、地方公務員給与についても、地域民間給与のより的確な反映などの見直しを着実に推進するよう要請するものとする。
さらに、地方公共団体の適正な定員管理及び人件費の抑制に支障を来すような国の施策を厳に抑制するとともに、地方公共団体に対し、行政の合理化、能率化を図り、適正な定員管理の推進に取り組むよう要請するものとする。
6 地方公務員の勤務時間におけるフレックスタイム制の拡充については、国家公務員における取組を踏まえ、各地方公共団体の実情に即し、適切に取り組むよう要請するものとする。
資料2−官房長官談話
内 閣 官 房 長 官 談 話
(平成二十七年十二月四日閣議決定)
一 政府は、本日の閣議において、一般職国家公務員の給与改定及びフレックスタイム制の拡充について人事院勧告どおり実施することなどを内容とする本年度の公務員の給与改定の方針を決定しました。
二 本年の勧告は、平成二十七年度の給与について、現下の民間の給与実態を反映し、昨年に引き続き俸給及びボーナスの引上げ等を行う内容であります。
三 政府は、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告を尊重し、国の財政状況、経済社会情勢など国政全般との関連を考慮しつつ、国民の理解を得られる適正な結論を出すべく検討を行った結果、本日、勧告どおり実施することを決定したところであります。また、本年四月から実施している給与制度の総合的見直しを着実に推進していくこととしております。
四 なお、国家公務員の配偶者手当については、先般、総理から人事院総裁に対して行った要請を踏まえ、「すべての女性が輝く社会」の実現に向け、政府が率先して、働きたい人が働きやすい環境整備を進めていけるよう、人事院において具体的検討を速やかに進めるようお願いします。
五 また、国家公務員のフレックスタイム制の拡充については、職員がその能力を十分に発揮し、高い士気をもって効率的に勤務し、公務能率の一層の向上につながるよう努めることが必要です。
六 地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切に対応するとともに、国家公務員における給与制度の総合的見直しを踏まえ、地方公務員給与についても、地域民間給与のより的確な反映などの見直しを着実に推進するよう要請することとしております。
また、地方公務員の勤務時間におけるフレックスタイム制の拡充については、国家公務員における取組を踏まえ、各地方公共団体の実情に即し、適切に取り組むよう要請することとしております。
七 公務員諸君においては、一人一人が国民全体の奉仕者であることを強く自覚するとともに、改めて厳正な服務規律の確保と公務の適正かつ能率的な運営を図るよう強く期待するものであります。