2017年度公務労協情報 20 2017年4月17日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院と民調作業方針をめぐって交渉

 人事院は、本年の民間給与実態調査に関する方針が固まったとして、賃金・労働条件専門委員会にその骨格を示した。
 冒頭、前薗職員団体審議官付参事官は、以下の通り基本的な骨格を明らかにした。

1.調査期間
 5月1日(月)〜6月16日(金)の47日間。
2.調査対象事業所
 昨年と同様に、国・地方の公務、外国政府・国際機関等を除く民間のすべての産業の中で、企業規模50人以上でかつ事業所規模50人以上の母集団事業所約57,700(昨年は約54,000)より約12,400(昨年は約12,000)を抽出して行う。なお、母集団事業所の従業員数(正社員)は平成26年経済センサスにおける従業員数(正社員)の6割を超える。
3.調査の方法
 人事院、47都道府県、20政令指定都市、特別区及び和歌山市の69人事委員会の職員が分担し、実地調査で行う。調査員は約1,100人(昨年と同じ)である。
4.調査の内容
 事業所単位で行う調査事項については、@賞与及び臨時給与の支給総額、A毎月決まって支給する給与の支給総額、B本年の給与改定等の状況(ベース改定、定期昇給、賞与の支給状況等)、C諸手当の支給状況(住宅手当・家族手当の支給状況等)、D時間外労働の割増賃金率の状況、E定年退職後の継続雇用制度等の状況、フルタイム再雇用者の給与水準等、について調査する。  昨年からの変更点については、定年退職後の継続雇用制度等の状況について、フルタイム再雇用者の転居を伴う異動の有無及び実態、各種手当の支給状況は調査しないこととしたほか、定年前給与減額の仕組みの有無及びその給与種目、継続雇用者の定年前の役職、資格の変化及びその給与水準に関する設問が新たに追加される。また、家族手当の支給状況については、子に対する手当の見直しは調査しないこととし、配偶者に対する手当の見直しについては、基本的に昨年と同じ調査内容である。
 従業員別に行う調査事項については、昨年と同じである。

 これに対し、渡辺賃金・労働条件専門委員長は以下の通り質問、意見を述べた。
(1) 母集団事業所数、調査対象事業所数が増えたのは日本郵政関係が新たに対象となったという理解でよいか。その他の企業規模、事業所規模、対象事業所、役職定義は昨年と同じということでよいか。
(2) 本年は官民を問わず、働き方改革が重要な課題となっており、民調とは別に先進的な民間企業のヒアリングなどを行い、公務でも活用できるものは活用する、国が率先して推進していく観点からも人事院の役割を果たすよう求める。
(3) 公務員宿舎の削減が完了し、来年4月には宿舎料の3段目の引上げが見込まれる状況の中で、住居手当受給者が増えて、負担感が高まっている。民間企業とは異なる異動実態も踏まえて、支給方法や手当でカバーする範囲の問題を含めて、改善に向けて、幅広く、早急な検討を求める。

 これに対し、前薗参事官は、以下の通り答えた。
(1) 母集団事業所数、調査対象事業所数の増加については、日本郵政関係が加わったことが大きな要因である。また、企業規模、事業所規模、役職定義については、昨年と同様である。
(2) ご意見については承った。
(3) 住居手当については、来年4月に行う公務員宿舎料の引き上げなどの公務の実態や民間の状況を踏まえて検討したい。

 見解を受け、渡辺賃金・労働条件専門委員長は「民間給与実態調査は官民比較の基礎であり、しっかり調査を行って、夏の勧告では納得できる結果を出していただきたい。そうした観点から、配分等についてもしっかりと議論させていただきたい。そのためにも、毎年申し上げてきたが、調査の進展や集計状況について、是非とも途中段階を含めて前広に説明してもらいたい」と求め、この日の交渉を終えた。

以上