公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、2日15時30分から、2017年人勧期要求に関わり千葉人事院給与局長と2度目の交渉を行った。
冒頭、吉澤事務局長が「7月25日の交渉では、較差などについて明確な回答がなかった。本日は、前回議論を踏まえた現段階の検討状況を回答願いたい」と求めたのに対し、千葉給与局長は以下の通り答えた。
1.勧告について
勧告日は、来週の前半で調整中である。具体的な日程は、総裁会見の際にお伝えすることができると思われる。
2.官民較差について
(1) 官民較差と月例給について
官民較差については、現在、最終的な詰めを行っているところであるが、今年の民間企業の春季賃金改定状況を反映して、昨年を下回るもののプラスとなる見通しである。
(2) 特別給について
特別給についても、現在、最終的な集計を行っているところであるが、民間企業のボーナスの支給状況を反映して、支給月数が引上げとなる見通しである。
なお、支給月数の引上げがある場合には、勤勉手当に配分することを考えている。
3.本年の改定の考え方について
仮に、引上げ改定を行うとした場合には、基本的な給与である俸給の引上げを考えている。
その場合、本年も、給与制度の総合的見直しにおける俸給表水準の引下げに伴い経過措置額を受ける職員については、俸給表の引上げ改定を行っても実際に支給される額が増加せず、なお較差が残ることから、この較差を解消するため、給与制度の総合的見直しを円滑に進める観点から、本府省業務調整手当の手当額の引上げの一部を本年4月に遡及して実施することが考えられる。
4.諸手当について
国の医療施設に勤務する医師に対する初任給調整手当について、医療職俸給表(一)の改定状況を勘案し、医師の処遇を確保する観点から、所要の改定を行うことを考えている。
5.給与制度の総合的見直しに係る平成30年度に実施する事項
平成30年度においては、職員の在職状況等を踏まえ、次の施策について所要の措置を行うことを考えている。
(1) 本府省業務調整手当について
本府省業務調整手当の手当額を、係長級は基準となる俸給月額の6%相当額に、係員級は同4%相当額に、それぞれ引き上げることを考えている。
(2) 昇給抑制の回復措置について
今申し上げた本府省業務調整手当の改定を行っても、なお制度改正原資に残余分が生じた場合には、その原資を用いて、若年層を中心に、平成27年1月1日に抑制された昇給の回復を行うことが考えられる。
回答に対し、吉澤事務局長は、次の通り局長の見解を質した。
(1) 本俸重視を基本として、第一に、高齢層を含めて全世代へ配慮した配分を求める。第二に、残った較差で本府省業務調整手当を引上げるとのことだが、出先機関や制度準拠が強要される地方自治体に課題が生じることは申し上げておく。第三に、非常勤職員に配慮し、初任給や若年層職員重視を求める。
(2) 一時金を引上げるとのことだが、民間の厳しい調査結果との整合について説明を求める。人事院として社会的・政治的説明責任について十全に対応されたい。
(3) 一時金の引上げを勤勉手当に充てると、育児休業の職員や非常勤職員の処遇に問題がある。先日、非常勤職員給与決定指針が勤勉手当も支給するよう改正され、各府省では来年4月からの実施に向け必要な検討がなされている。改正指針を踏まえ、さらに勧告に基づき本年から非常勤職員の処遇を改善すべきだ。各府省に対する人事院の対応如何。
(4) 来年4月1日で給与制度の総合的見直しが完成するが、今後の給与制度に関する検討の有無如何。公務員批判などの政治的・社会的圧力による一方的な変更は断じて認められるものではない。
これに対し、千葉給与局長は次の通り回答した。
(1) 較差の配分方法については要望として承った上で作業を進めていく。
(2) 春闘の早い段階で製造業の大手が厳しいとされていたが、非製造業が対前年比で伸びているとの報道もあった。民調の場合、全体の6割を非製造業が占めており、夏冬の実情を調べたところ、引上げの見通しとなった。人事院としてはきっちり説明していきたい。
(3) 本年7月に非常勤職員給与決定指針を改正し、期末手当に加えて勤勉手当を支給するよう努めるものとしたところであり、人事院としては、指針に基づいて非常勤職員の処遇が着実に改善されるよう、引き続き各府省を指導してまいりたい。
(4) 定年に関わっての給与を検討することにしているが、給与制度全体の新たな見直し等について特に報告で指摘する事項はない。
最後に吉澤事務局長が、配分については別途議論するよう求め「最終の総裁回答交渉では、ギリギリまでわれわれの要求に応えていただきたい」と強く要請し、この日の交渉を締めくくった。
以上