公務労協・地方公務員部会は、9月8日、地公法及び地方自治法改正等を背景とした臨時・非常勤職員の処遇改善や、今後の歳出削減圧力等による地方財政への影響など、地方公務員を取り巻く情勢等に対する認識共有と学習をはかることを目的に、2017年地方公務員部会学習会を開催した。13時30分から東京・自治労会館で行われた集会には、全国から約200人が参加した。
冒頭、二階堂地方公務員部会議長(全水道委員長)が主催者挨拶に立ち、「本年の人事院勧告は、月例給、一時金ともに4年連続での引上げとなった。今後、秋の臨時国会において給与法改正案が審議されることになるが、政府が掲げる財政健全化や与党の人事院勧告に対する見直し提言、更には国家公務員の退職手当の取扱いなど、取り巻く政治情勢は非常に厳しく、予断を許さない状況だ。地方においては、今後、人事委員会勧告が出され、賃金確定の最大の山場を迎えることとなるが、国と同じく取り巻く情勢は厳しい。各構成組織における取り組み強化をお願いしたい。他方、地方財政について、本年5月の経済財政諮問会議では、地方公共団体の基金残高に対する指摘がなされるなど、更に圧力が強まることが懸念されるところ。この間、地方自治体は厳しい財政実情の中、行革等により人件費・人員を削減するなどし、ギリギリの状況で運営しているのが現状だ。質の高い公共サービスを提供していくためにも、国の動向を注視し、強い危機感をもって必要に応じた対策を講じていくとともに、職員の賃金・労働条件確保のためにも、労使交渉を強化していくことが不可欠だ。あわせて、臨時・非常勤職員の処遇改善も喫緊の課題だ。改正地公法等に基づき、2020年4月の施行に向け条例整備等を進めていく必要があるが、臨時・非常勤職員制度の改正について認識不足であったり、消極的あるいは否定的である当局があるなど、課題は山積している。これまで積み重ねてきた労働諸条件の維持は当然のことながら、労使交渉により、抜本的な処遇改善につなげていかなければならない。そのためには組合が主体性を持って取り組みを進めていくことが重要であり、各構成組織における取り組みをお願いしたい。これらを含め、公共サービス労働者を取り巻く課題は多岐にわたるが、連携し取組みを進めていこう」と訴えた。
続いて、総務省自治財政局財政課の君塚財政企画官から、「地方財政の状況について」と題し講演を受けた。君塚企画官は、国・地方の財政の現状や地方財政の果たす役割や来年度概算要求に係る地方財政の課題や指摘がなされている基金残高の状況、地方財政措置に関する各府省への申入れ内容に触れつつ、「引き続き、皆様からのご意見も踏まえつつ、地方公共団体が適切に事業を行えるよう、必要な予算の確保に向け尽力していく」と述べた。
さらに、総務省自治行政局公務員部の笹野給与能率推進室長から、「臨時・非常勤職員制度の改正について」と題し講演を受けた。笹野室長は、地方自治体の状況等に触れつつ、地方公共団体へも説明した地公法等改正法に基づく臨時・非常勤職員制度の改正に関わる重要なポイントとして、@早急に職員団体との協議等の開始、A施行日に向けた早急な全体の任用根拠の適正化や会計年度任用職員制度の整備、B現行臨時・非常勤職員の任用根拠・勤務実態の把握、C特別職から一般職へ移行する職の例示、D臨時的任用職員の運用厳格化、E職務給の原則、均衡の原則を踏まえた適切な給付、等を挙げて説明をおこなった上で、「引き続き、地方公務員部会や地公関係労働組合の皆様と意見交換しつつ連携を図ってまいりたい」と述べた。
つぎに、加藤地公部会事務局長がまとめを行い「今後、賃金確定の取組みに加え、退職手当の見直し、先の臨時・非常勤職員の処遇改善、働き方改革等々、喫緊の課題が山積している。早い段階から当局との労使交渉を強化していただきたい。地方公務員部会は、引き続き、給与について地方自治体の自主的・主体的な決定を尊重すること、また、地方財政確立にかかる要請行動や会計年度任用職員制度の円滑な導入などの現場の交渉・協議を支援するため、総務省対策を強化していく」と、諸課題に対する取り組み強化の必要性を訴えるとともに、地公部会としての決意を述べた。
最後に、福島地公部会企画調整代表(自治労書記長)の団結がんばろうでこの日の学習会を終えた。
以上