2017年度公務労協情報 8 2017年2月15日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が、総務大臣に対し春季要求書を提出-2/15

 公務労協地方公務員部会は、2月15日、高市総務大臣に対して2017春季要求書を提出した。交渉は15時30分から総務省で行われ、地方公務員部会からは川本副議長のほか委員長クラス交渉委員が出席した。
高市総務大臣(左)に要求書を手交する川本副議長(右)
 冒頭、川本副議長は要求書(資料1)を提出し、次の通り述べるとともに、3月下旬には誠意ある回答を示すよう強く求めた。

(1) 政府は、2017年度予算案において、財政健全化計画に基づく2020年度のPB黒字化に向け、一般歳出及び社会保障費それぞれの伸びを歳出改革の目安の範囲内に収めるとともに、一億総活躍社会の実現に向けた子育て支援や介護サービス等の施策の充実を図るとしている。また、地方財政については、概算要求段階で見込んだ地方交付税の減少と臨時財政対策債の増加を圧縮し一般財源総額も確保されたが、地方の財政状況は依然として厳しい状況にある。
(2) 一方、昨年12月に公表された、地方公務員の臨時・非常勤職員等に関する研究会報告書では、臨時・非常勤職員の任用根拠を厳格化した上で、一般職非常勤職員制度の新たな仕組みを構築するとし、制度の立法的措置を視野に入れ、今後さらなる課題解決に向けた検討を進めるという方向性を示したところ。自治体では、3人に1人が臨時・非常勤職員との実態であり、当該職員の処遇改善、雇用安定の実現は重要な課題だ。
(3) 質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障とともに、賃上げによる処遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現など職員の士気を確保することが不可欠であることから、下記の通り、賃金改善、労働条件等をはじめとする2017年春季の要求を提出する。
  高市大臣におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただくよう要求する。

 これに対し、高市総務大臣は「ただいま要求書を受けとり、要求内容について承った。各要求事項については、検討の上、しかるべき時期に回答させていただく」と応え、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。

(資料1)

2017年2月15日

総務大臣
 高 市 早 苗 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 永井 雅師


要 請 書

 貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
 公務労協地方公務員部会は、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の処遇改善等の実現をめざして取組みを進めています。
 さて、政府は、2016年12月、2017年度予算案を閣議決定しました。財政健全化計画に基づく2020年度の基礎的財政収支の黒字化に向け、一般歳出及び社会保障費それぞれの伸びを歳出改革の目安の範囲内に収めるとともに、一億総活躍社会の実現に向けた子育て支援や介護サービス等の施策の充実を図るとしています。また、地方財政については、概算要求段階で見込んだ地方交付税の減少と臨時財政対策債の増加を圧縮し一般財源総額も確保されましたが、高齢化に伴う社会保障費の増加等、地方の財政状況は依然として厳しい状況にあります。
 一方で、2016年12月、総務省は、「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」で、臨時・非常勤職員の任用根拠を厳格化した上で、一般職非常勤職員制度の新たな仕組みを構築するとし、制度の立法的措置を視野に入れ、今後さらなる課題解決に向けた検討を進めるという方向性を示しました。自治体では、3人に1人が臨時・非常勤職員となっている実態であることから、当該職員の処遇改善、雇用安定の実現は重要な課題です。
 このような中、少子・高齢化対策、教育環境整備、地域医療の確保、環境保全など、質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障とともに、賃上げによる処遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現など職員の士気を確保することも不可欠です。
 地方公務員部会は、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2017年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。


1.2017年度の賃金改善等について
(1) 地方公務員の賃金の改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。
(2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・合意を尊重すること。

2.労働時間、休暇及び休業等について
 公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の拡充などを実現すること。
(1) 両立支援制度について、制度が円滑に活用されるよう対応すること。
(2) 各自治体におけるメンタルヘルスを含む職員の健康管理体制や職場の労働安全衛生体制の確立等が一層推進されるよう対応すること。とりわけ、メンタルヘルス不調を未然に防止するため、全ての職員にストレスチェックを実施するよう対応するとともに、必要な財政措置を講ずること。

3.臨時・非常勤等職員の雇用確保と処遇の改善について
 臨時・非常勤職員制度について、パート労働法等民間労働法制の趣旨を踏まえ、雇用の安定と均等待遇原則に基づく労働条件となるよう法律上位置づけること。とりわけ、研究会報告書に基づく立法的措置を講ずること。

4.公共サービス基本法に基づく適正な労働条件確保等について
 公共サービス基本法に基づいて、良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することとし、環境整備を図ること。

5.新たな高齢雇用施策の充実について
 段階的定年延長に関わっては、地方自治体においても国に遅れないよう制度設計を進めること。当面、年金支給開始年齢の段階的引上げにともない、希望する職員全員の雇用を確保するため、全ての自治体における再任用制度の確立を喫緊の課題として対応すること。

以上