公務労協地方公務員部会は、2月21日、野田総務大臣に対して2018春季要求書を提出した。交渉は16時15分から総務省で行われ、地方公務員部会からは二階堂議長のほか委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、二階堂議長は要求書(資料1)を提出し、次の通り述べ、3月下旬には誠意ある回答を示すよう強く求めた。
(1) 政府は、2017年12月、2018年度予算案を閣議決定し、これまでの歳出改革の取組を強化しつつ、経済再生と財政健全化を両立するとしている。地方財政については一般財源総額が確保されたが、高齢化に伴う社会保障費の増加等、地方の財政状況は依然として厳しい状況にあり、地方公共団体が提供する様々な公共サービスへの影響が危惧される。
(2) 他方で、2017年5月に成立した「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律」により、会計年度任用職員制度が創設された。地方自治体では、2020年4月の施行に向け、制度導入に係る条例の整備などの検討が進められており、臨時・非常勤職員の待遇改善及び雇用安定につながるよう、制度の周知徹底と円滑な導入が求められている。
(3) 質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障とともに、賃上げによる待遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現など職員の士気を確保することが不可欠であることから、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2018年春季の要求を提出する。
野田大臣におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただくよう要求する。
これに対し、野田総務大臣は「ただいま要求書を受けとり、要求内容について承った。各要求事項については、検討の上、回答させていただく」と応え、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。
(資料1)
2018年2月21日
総務大臣
野 田 聖 子 様
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男
要 請 書
貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
さて、政府は、2017年12月、2018年度予算案を閣議決定しました。「経済・財政再生計画」の集中改革期間の最終年度の予算として、これまでの歳出改革の取組を強化しつつ、経済再生と財政健全化を両立するとしています。地方財政については、景気回復に伴い地方税の増収が見込まれるため、地方交付税の減少と臨時財政対策債の増加が圧縮され、一般財源総額も確保されました。しかし、高齢化に伴う社会保障費の増加等、地方の財政状況は依然として厳しいことから、地方公共団体が提供する様々な公共サービスへの影響が危惧されます。
他方で、2017年5月に成立した「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律」により、臨時・非常勤職員の任用根拠が厳格化され、会計年度任用職員制度が創設されました。地方自治体では、2020年4月1日施行に向け、制度導入に係る条例の整備などの検討が進められています。臨時・非常勤職員の待遇改善及び雇用安定につながるよう、制度の周知徹底と円滑な導入が求められます。
公務労協地方公務員部会は、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の待遇改善等の実現をめざして取組を進めています。少子・高齢化対策、教育環境整備、地域医療の確保、環境保全など、質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障とともに、賃上げによる待遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現など職員の士気を確保することも不可欠です。
地方公務員部会は、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2018年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。
記
1.2018年度の賃金改善等について
(1) 地方公務員の賃金の改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。
(2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・協議・合意を尊重すること。
2.労働時間、休暇及び休業等について
公務における超過勤務縮減、ワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の拡充などを実現すること。
(1) 総労働時間の短縮に向け、厳格な勤務時間管理や超過勤務縮減目標等の設定など、上限規制を含むより実効性のある超過勤務縮減の具体策が講じられるよう地方自治体を支援すること。
(2) 各自治体におけるメンタルヘルスを含む職員の健康管理体制や職場の労働安全衛生体制の確立等が一層推進されるよう対応すること。とりわけ、メンタルヘルス不調を未然に防止するため、全ての職員にストレスチェックを実施するよう対応するとともに、必要な財政措置を講ずること。
3.臨時・非常勤等職員の雇用確保と待遇改善について
臨時・非常勤職員制度についてパートタイム労働法等民間労働法制の趣旨を踏まえ、雇用の安定と均等待遇原則に基づく労働条件となるよう法律上明確に位置づけること。とりわけ、改正地方公務員法等の審議及び附帯決議を踏まえ、臨時・非常勤職員制度の改善に向けた全般的かつさらなる見直しを引き続き検討すること。
4.公共サービス基本法に基づく適正な労働条件確保等について
公共サービス基本法に基づいて良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件の確保することとし、環境整備を図ること。
5.新たな高齢雇用施策の充実について
定年延長に関わっては、国の動向等に注視し、地方自治体においても国に遅れないよう制度設計を進めること。定年引上げまでの間は、希望する職員全員の雇用を確保するため、全ての自治体における再任用制度を確立するとともに、高齢期の生活を支える給与、適切な労働条件を確保するよう対応を図ること。
以上