公務労協は23日13時30分から、東京・TOC五反田メッセで「2018春季生活闘争・公共サービスキャンペーン開始2.23中央集会」を開催した。
この集会は、@連合の春季生活闘争への積極的参加と、各構成組織における取組の強化に向けた基盤を形成する、A熊本地震や東日本大震災などの災害への対応について、公務・公共に従事する労働組合としての社会的責任と役割の具体化に向けて認識の共有をはかる、B2009年通常国会において成立した公共サービス基本法の理念の対峙と国及び地方自治体における措置の具体化に向けて認識の共有はかることなどを目的に行ったものであり、全国から約300人の仲間が結集した。
集会冒頭、主催者を代表して泉公務労協議長は「連合は今次春闘において、引き続き「底上げ・底支え」「格差是正」を掲げ、賃金の引上げ、そして、すべての労働者の立場に立った働き方を実現するための取組を進めていくこととしている。われわれ公務公共サービスに従事する労働組合としても、民間等における春闘の成果を、人事院勧告期、給与確定期へとつなげていくとともに、官民問わず重要な課題となっている働き方改革を進めていくため、連合に結集し、全力をあげて取り組んでいかなければならない。他方、公務員労働者は災害への対応をはじめ、国民の期待に応えるため、それぞれの持ち場で日夜自らの職務に全力を尽くしているが、その勤務環境は要員不足等による超過勤務が一向に改善されないなど、厳しいものとなっている。良質な公共サービスを着実に実施していくためにも、公共サービス基本法を踏まえた適正な賃金・労働条件、人員の確保がはかられなければならない。熊本地震及び東日本大震災の復旧・復興・再生に向けて、公務・公共サービスに従事する労働組合としての社会的責任と役割の具体化に向けて、認識の共有を図り、震災を風化させないよう取り組む必要がある。公務労協としても、被災県を訪問し、復興状況や公共サービス基本法の基本理念・基本的施策が十分に生かされているかなど、被災地の課題を把握し、政府との交渉・協議につなげていく。本集会を契機として2018春季生活闘争と2018良い社会をつくる公共サービスキャンペーンをスタートし、構成組織、地方組織が連携を深めながら、全力で取組を進めていこう」との決意を述べた。
挨拶に続き、山里復興庁参事官、小島熊本市副課長がそれぞれ講演を行った。
山里参事官は、「東日本大震災からの復興について」と題し、「東日本大震災から本年3月で7年を経過するなか、復興庁としては、@風化への危惧と風評対策、Aハードからソフトへの復興事業の移行、B震災の教訓を踏まえたより良い復興、この3つが特に重要なテーマであると考えている。被災地ではインフラ復旧が概ね終了し、住宅再建も着実に進捗している。他方、避難者数や仮設住宅等への入居等は減少しているものの、避難生活の長期化や災害公営住宅への移転の進展に伴う心身のケアや孤立防止、新たなコミュニティ作り等の支援が重要な課題となっており、人とのつながり等の「心の復興」を含め、様々な課題へのきめ細やかな対応が不可欠だ。また、生産設備はほぼ復旧したが、業種によって売上にばらつきがあり、観光復興や風評の払拭等も今後の課題となっている。さらに、原発事故の影響が大きい福島県では、帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除され、本格的な復興へと進もうとしているが、住民の帰還に向けた除染やインフラ復旧、生活関連サービスなどの環境整備、産業・生業の再生が大きな課題だ。あわせて、他県以上に重要なのが風評被害対策であり、食品の徹底した放射性物質検査や様々な媒体を利用した正確な情報発信等の強化などを通じて、農林水産業の再生を支援していく必要があると考えている。これらの取組を推進し、震災の教訓を糧として、被災者のためのより良い復興へとつなげていくことが重要だ。あわせて、今後、2020年の東京オリンピック等が「復興五輪」として復興の後押しとなるよう、被災地と連携した取組を進めることとしており、引き続き、国の責任組織である復興庁として、道半ばである東日本大震災からの復興・再生に向け、全力を挙げて対応していく」と述べた。
小島熊本市副課長は、「被災自治体の現状と課題」と題し、「2016年4月に発生した熊本地震は、各地に甚大な被害を及ぼした。熊本市においても、地域防災計画において災害に対する様々な想定をしていたが、それを越える避難者が市役所に殺到し、職員はその対応に追われ、初動を含めた具体的対応についての体制構築に時間がかかり、数日間混乱が続く事態となった、また、その後の災害対応においても、様々な課題が浮き彫りとなった。発災後、他の自治体職員やボランティア、NPOなど多くの方々に支援いただいたことについては改めて御礼申し上げるところであるが、市側の受援体制整備が不十分であり、避難者ニーズとのマッチングが難しいなど、必ずしも効果的な支援とはなっていなかったのが現状だ。さらに、市職員も限られた人員のなか先頭に立って災害対応にあたったが、避難所運営や支援物資の配布・管理、子どもや高齢者、要援護者などの、いわゆる災害弱者への対応など、求められる役割も非常に多く、職員も徐々に疲弊していくなど、多くの課題が山積していた。これらの課題については、一定期間経過後には様々な改善策を講じることができたが、改めて災害対応の難しさを実感せざるを得なかった。現在、自治体からの応援については、中長期派遣へと移行しているが、派遣職員の交代に伴う業務が頻繁に発生する一方、応援職員をいかに確保するかが大きな課題となっている。あわせて、膨大な震災関連業務が発生し、深刻な人員不足と過重労働が顕著となるなか、事務事業の見直しによる人員の再配置や人的体制の再構築を行ったことにより、一定の成果を出すことができたが、復興はまだ道半ばであり、行政内部の取組を継続していかなければならない。ライフラインや商業施設など、復旧は進んできているが、学校における対応や被災者の生活再建支援など、復興・再生に向けては課題が多くあるのが現状である。熊本市では「熊本市震災復興計画」を策定し、その中で復興重点プロジェクトを設定するなど、様々な取組を進めているところであり、引き続き、行政に求められている役割をしっかりと果たしていく」と述べた。
最後に吉澤事務局長が、春季生活闘争をめぐる情勢・課題について触れた上で「財政問題が深刻化するなか、国民生活に直結する公共サービスの再構築をめざし、取り巻く情勢とわれわれ公務・公共サービスに従事する労働組合に課せられた社会的責任や役割についての認識の共有を図るとともに、今次春闘を全力で取り組むことが不可欠だ」との基調提起を行い、全体の拍手で確認したのち、泉議長の団結がんばろうで中央集会を締めくくった。
以上