2018年度公務労協情報 22 2018年4月11日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地公部会が、全人連に対し民間給与実態調査等に関わる要請書を提出-4/11

 公務労協地方公務員部会は、4月11日、全国人事委員会連合会(全人連)に対して、民間給与実態調査等に関する要請を行い、要請書に対する回答を引き出した。
青山会長(右)に要請書を手交する二階堂議長(左)
 14時30分から都内で行われた全人連への要請には、地方公務員部会からは二階堂議長(全水道委員長)のほか、事務局長、幹事が出席し、全人連からは青山会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。

 冒頭、二階堂議長は要請書(資料1)を提出し、次の通り述べた。

(1) 連合の2018春季生活闘争は、昨年に引き続き「底上げ・底支え」「格差是正」と「全ての労働者の立場に立った働き方」を同時に実現し、「経済の自律的成長」「包摂的な社会の実現」「ディーセント・ワークの実現」に向け、継続して賃金の引上げを求めて交渉を繰り広げている。先行・大手組合は5年連続の賃金引上げを獲得し、それを中小組合、地場に広げていくための闘いが進められている。地方公務員部会も、連合に結集し、公務・公共部門で働く全ての職員の待遇改善をめざし、職員の賃金引上げをはじめとして、人員確保と超過勤務の着実な縮減、定年の引上げと生活水準の確保、臨時・非常勤職員制度の改正などを最重要課題として位置づけ、具体的な取組を進めてきた。
(2) 一方、各自治体職場においては、災害への対応をはじめ、住民の期待に応えるべく、それぞれの持ち場で日夜自らの職務に全力を尽くしているが、その勤務環境は大変厳しく、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠だ。
(3) そのため、各人事委員会が、労働基本権制約の代償機関の立場から、中立かつ公正な第三者機関としての使命を十分に果たされるよう強く求める。
 続いて、加藤事務局長が要請書の趣旨を説明した。
 地方公務員部会の要請に対し、青山全人連会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>

平成30年4月11日


 全人連会長の青山です。
 私から全国の人事委員会を代表してお答えいたします。
 
 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、全国の人事委員会にお伝えします。
 
 さて、最近の経済状況ですが、3月の月例経済報告においては、「景気は、緩やかに回復している」とされる一方、先行きについては、「雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される」としつつも、「海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある」としております。
 
 また、民間における春季労使交渉の状況でございますが、3月中旬の主要企業の一斉回答では、ベースアップを5年連続で実施し、賃金の引上げ幅は前年を上回る回答が相次いだものの、大幅な引上げ回答に慎重な企業も目立ったと報道されています。
 
 一方、中小企業につきましては、引上げ額が前年を上回る水準で推移しているとの報道もありますが、まだ多くの企業で労使交渉が続いていることから、引き続き今後の動向を注視する必要があると考えております。
 
 こうした民間における賃金の状況を的確に把握するため、毎年、各人事委員会は、人事院と共同で民間給与実態調査を行っております。本年も、例年と同様の日程で実施する予定であり、5月初旬からの調査開始へ向けて、現在、準備を進めているところです。
 
 本日、要請のありました個々の内容は、各人事委員会において、調査の結果や各自治体の実情等を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討していくことになるものと思います。
 
 申し上げるまでもなく、私ども人事委員会の重要な使命は、中立かつ公正な第三者機関として、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した、適正な水準を確保することであると認識しております。
 
 全人連といたしましては、今後も、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、各人事委員会や人事院などと十分な意見交換に努めてまいります。
 
 私からは、以上です。
(資料1)

2018年4月11日

全国人事委員会連合会
 会 長  青 山  ●(やすし) 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男


民間給与実態調査等に関わる要請書

 各人事委員会の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、連合の2018春季生活闘争は、昨年に引き続き「底上げ・底支え」「格差是正」と「全ての労働者の立場に立った働き方」を同時に実現し、「経済の自律的成長」「包摂的な社会の実現」「ディーセント・ワークの実現」に向け、継続して賃金の引上げを求めて交渉を繰り広げています。先行・大手組合は5年連続の賃金引上げを獲得し、それを中小組合、地場に広げていくための闘いが進められています。
 地方公務員部会も、連合に結集し、公務・公共部門で働く全ての職員の待遇改善をめざし、職員の賃金引上げをはじめとして、人員確保と超過勤務の着実な縮減、定年の引上げと生活水準の確保、臨時・非常勤職員制度の改正などを最重要課題として位置づけ、具体的な取組を進めてきました。
 一方、各自治体職場においては、災害への対応をはじめ、住民の期待に応えるべく、それぞれの持ち場で日夜自らの職務に全力を尽くしておりますが、その勤務環境は大変厳しいものとなっています。職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
 そのためには、各人事委員会が、労働基本権制約の代償機関の立場から、中立かつ公正な第三者機関としての使命を十分に果たされるよう強く求めるとともに、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。


1.2018年度の民間給与実態調査にあたっては、現行の比較企業・事業所規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう抜本的な改善を検討すること。   また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。
  
2.民間賃金実態について、公民較差を精確に把握するとともに、勧告にあたっては給料表の改善を中心に公民較差を解消すること。

3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

4.公立学校教員の給与に関わり、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成・提示すること。また、作成に当たっては、関係労働組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

5.人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

以上