2019年度公務労協情報 31 2019年8月5日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

委員長クラスが人事院総裁と最終交渉し回答引き出す−8/5
−官民較差は0.1%を割込み、一時金は勤勉手当を0.05月増の見込み−

公務員連絡会柴山議長ほか委員長クラス交渉委員は、8月5日14時30分から一宮人事院総裁と交渉し、6月19日に提出した本年の人勧期要求書に対する最終回答を引き出した。
公務員連絡会は、この回答を受けて6日に代表者会議を開催し、公務員連絡会としての態度を確認し、声明などを決定する予定である。

交渉の冒頭、柴山議長が「6月19日に本年人勧期の要求書を提出し、今日まで事務レベル交渉を積み上げてきた。直前でもあるので、本日は総裁から最終的な回答を頂きたい」と求めたのに対し、一宮総裁は次の通り回答を示した。

1.給与改定について
  勧告日は、8月7日(水)となる予定である。
(1) 民間給与との比較について
月例給の民間給与との較差は、0.1%を割込むこととなる見込みである。
特別給は、0.05月分の増加となる見込みである。
増加分は、今年度については、12月期の勤勉手当に充てる。
来年度以降については、0.025月分ずつ、6月期と12月期の勤勉手当に充てる。
(2) 給与改定の内容について
行政職俸給表(一)について、民間の初任給との間に差があること等を踏まえ、総合職試験及び一般職試験(大卒程度)に係る初任給を1,500円、一般職試験(高卒者)に係る初任給を2,000円引き上げることとし、これを踏まえ、30歳台半ばまでの職員が在職する号俸について改定する。
その他の俸給表については、行政職俸給表(一)との均衡を基本に改定する。なお、専門スタッフ職俸給表及び指定職俸給表については改定しない。
 
(3) 諸手当について
 諸手当に関しては、住居手当について、公務員宿舎使用料の上昇を考慮し、令和2年度から、手当の支給対象となる家賃額の下限を4,000円引き上げ、現行の12,000円から16,000円とし、 これにより生ずる原資を用いて、民間の状況等を踏まえ、手当額の上限を1,000円引き上げ、現行の27,000円から28,000円とする。
なお、手当額が2,000円を超える減額となる職員については、1年間、所要の経過措置を講じる。

2.公務員人事管理に関する報告について
報告では、公務に対する国民の信頼が損われる事態となっていることに対し、職員の倫理感・使命感の醸成や職務に対する責任の自覚を働きかけるなど一層の対応に努めていくことを述べた上で、キャリア形成に強い関心を持つ若手職員が増加し、育児、介護等の事情を抱えた職員が顕在化する中で、多様な有為の人材を公務に誘致し、これらの人材が活躍できる公務職場の実現に向けた取組を推進するため、次のことについて言及することとしている。
○ 長時間労働の是正については、
・ 本年4月から設定した超過勤務命令の上限等に関して、制度の運用状況を把握し、必要に応じて各府省を指導すること
 等について言及することとしている。
○ ハラスメント防止対策については、
・ 現在開催している有識者による「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」での議論の結果も踏まえて、パワー・ハラスメントに対する新たな防止策を措置すること
等について言及することとしている。
○ 非常勤職員の適切な処遇の確保については、
・ 非常勤職員の休暇について、民間の状況等を踏まえ、夏季休暇を新設すること
等について言及することとしている。
○ 定年の引上げについては、
・ 昨年8月の本院の意見の申出を踏まえ、定年の65歳への段階的な引上げを実現するための措置が早期に実施されるよう、改めて要請すること
等について言及することとしている。
 このほか、
・ 人材の確保及び育成
・ 能力・実績に基づく人事管理の推進
・ 仕事と家庭の両立支援
・ 心の健康づくりの推進
・ 障害者雇用に関する取組
についても言及することとしている。

以上の回答に対し、柴山議長は以下の通り公務員連絡会としての見解を述べ、交渉を締めくくった。
(1) いま、本年の月例給については、初任給の引上げと30歳台半ばまでの職員が在籍する号俸について引上げるとの回答があった。このことは、公務における人材確保や非常勤職員の待遇改善に寄与することから、一定の評価はできるものの、俸給表全体を改定するための較差に至らなかったとはいえ、われわれが求めた全世代への配慮の面からは決して満足のいくものではない。
一時金については6年連続で支給月数増となり、組合員の期待に一定程度応えたものと受けとめたい。
また、住居手当の見直しについては、手当が減額される職員への一定の配慮がなされたものといえる。基礎控除額の引上げに伴い手当が減額となる職員が生じることはなお遺憾ではあるが、交渉・協議の到達点として受け止める。
長時間労働の是正については、引き続き、各省の現状を適時適格に把握し、強力な指導助言を行うなど、実効ある超過勤務の縮減に向けた、より一層の対応を強く求める。
パワー・ハラスメント防止対策については、民間法制度が先行しているもと、とくにパワー・ハラスメントの定義や実効ある紛争解決機能の措置に向けて、われわれとの建設的な議論をお願いする。
(2) 今日の回答については、機関に持ち帰って報告し、われわれとしての最終的な態度を決定することとしたい。

以上