公務員連絡会は、人事院報告・勧告が7日に行われたことを受けて、宮腰国家公務員制度担当大臣、根本厚生労働大臣に対し、給与勧告の早期完全実施と定年引上げについて着実かつ確実に早期実施することを求める要求書(資料1参照)を提出した。
なお、政府は8日に給与関係閣僚会議を開催したが、引き続き、人事院勧告の取扱いについて協議していくこととしている。
要求提出の経過は次の通り。
<国家公務員制度担当大臣への要求書提出の経過>
宮腰国家公務員制度担当大臣への要求書提出は、7日17時30分から行われ、委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、柴山議長は、次の通り要請した。
(1) 人事院は本日、本年の給与に関する勧告・報告を行うとともに、公務における働き方改革をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行なった。
本年の月例給については、初任給の引上げと30歳台半ばまでの職員が在籍する号俸に限定して改定を行うものである。このことは、公務における人材確保や非常勤職員の待遇改善に寄与することから、一定の評価はできるものの、俸給表全体を改定するための較差に至らなかったとはいえ、われわれが求めた全世代への配慮の面からは決して満足のいくものではない。
また、一時金については6年連続で支給月数増となった。しかし、再任用職員の改定が見送られることは、政府の骨太方針2019に明記された「人生100年時代を迎え、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高齢者の活躍の場を整備することが必要である」との方針からしても遺憾といわざるを得ない。
2013年以降、義務的再任用を措置している政府に対し、高齢職員の士気を確保するための配慮を求める。
このように、本年の給与に関する勧告・報告は、われわれの要求にあまねく応えたものとはいえないが、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや、民間給与に影響する観点を踏まえ、経済の好循環を図るためにも、勧告通り実施すべきものと考える。
(2) また、長時間労働の是正については、本年4月から新たな制度のもとで取組が進められており、国家公務員の超過勤務が確実に縮減されるよう、労使がともに責任をもって取り組んでいくことが強く求められるが、各府省における他律的業務の部署の指定状況等を勘案すれば、超過勤務の縮減に向けた実効性の確保がはかられているとはいえず、政府をあげて本気で取り組んでいるのか疑問を感じざるを得ない。改めて、政府とくに大臣におかれては、主体的な対応を強く求める。
(3) さらに、段階的な定年引上げについては、昨年の人事院の意見の申出から、すでに1年が経過するもと、着実かつ確実な早期実施が喫緊の課題だ。
(4) 大臣におかれては、公務員の使用者としての責任において、われわれとの十分な交渉・協議、合意に基づいて、公務員労働者が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、要求事項の実現に向けて最大限努力されるよう求める。
これに対し宮腰大臣は次の通り回答した。
公務員の方々が国民全体のために献身的に職務に当たられていることに対し、敬意を表する。
本日、人事院から給与改定に関する勧告が提出されたところであり、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。
国家公務員の給与については、国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から、その取扱いの検討を進めていく。
その過程においては、皆様方の意見も十分にお聞きしたいと考えている。
また、定年の引上げについては、人事院の意見の申出も踏まえ、皆様方の意見も十分に伺いつつ、引き続き検討していく。
<厚生労働大臣への要求書提出の経過>
根本厚生労働大臣への要求書提出は、8日10時50分から行われ、委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、柴山議長は、要求の趣旨を説明し、「労働行政を所管する大臣におかれては、公務員労働者が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、要求事項の実現に向けて最大限努力されることを要求する」と求めた。
これに対し根本大臣は次の通り回答した。
本年の人事院勧告では、初任給・若年層に重点を置いた月例給の引上げや、ボーナスの引上げが勧告されたところである。
この人事院勧告については、現下の経済・雇用情勢を踏まえ、様々な角度から真剣かつ慎重な検討が加えられ、出されたものであると認識している。
私としては、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を維持・尊重する立場に立って対処すべきであると考えている。
昨年の意見の申出における国家公務員の定年の引上げは、昨年6月に閣議決定された骨太の方針2018を踏まえるとともに、質の高い行政サービスを維持するための高齢層職員の能力・経験の活用という観点から盛り込まれたものであると承知している。
いずれにしても、高齢化が進む中で、働く意欲のある高齢者全体が、公務員を含めて、年齢にかかわりなく活躍できる社会を整備することが重要と考えており、こうした高齢者の雇用の確保に向けて、昨年の意見の申出を尊重し対処していくべきであると考えている。
(資料1)政府宛要求書
2019年8月7日
内閣総理大臣
安 倍 晋 三 様
公務員労働組合連絡会
議 長 柴 山 好 憲
本年の人事院勧告・報告に関わる要求書
常日頃、公務員労働者の待遇改善にご努力いただいていることに敬意を表します。
さて、人事院は本日、月例給を0.09%、387円引き上げ、一時金の支給月数を0.05月引き上げる給与に関する勧告・報告を行うとともに、公務における働き方改革をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行いました。
本年の給与改定に関する勧告は、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや民間企業や造幣局、印刷局の春季交渉結果を踏まえたものであることに加えて、賃上げによる経済の好循環を図るためにも、勧告通り実施すべきものと考えます。
長時間労働の是正については、本年4月から新たな制度のもとで取組が進められていますが、国家公務員の超過勤務が確実に縮減されるよう、労使がともに責任をもって取り組んでいくことが強く求められています。
また、段階的な定年引上げについては、昨年の人事院の意見の申出から、すでに一年が経過するもと、着実かつ確実な早期実施が喫緊の課題となっています。
貴職におかれましては、公務員労働者が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、下記事項の実現に向けて最大限努力されることを要求します。
記
1.本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出すること。
2.定年引上げについて、早期に着実かつ確実に実施すること。
以上
2019年8月8日
厚生労働大臣
根 本 匠 様
公務員労働組合連絡会
議 長 柴 山 好 憲
本年の人事院勧告・報告に関わる要求書
常日頃、公務員労働者の待遇改善にご努力いただいていることに敬意を表します。
さて、人事院は本日、月例給を0.09%、387円引き上げ、一時金の支給月数を0.05月引き上げる給与に関する勧告・報告を行うとともに、公務における働き方改革をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行いました。
本年の給与改定に関する勧告は、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや民間企業や造幣局、印刷局の春季交渉結果を踏まえたものであることに加えて、賃上げによる経済の好循環を図るためにも、勧告通り実施すべきものと考えます。
長時間労働の是正については、本年4月から新たな制度のもとで取組が進められていますが、国家公務員の超過勤務が確実に縮減されるよう、労使がともに責任をもって取り組んでいくことが強く求められています。
また、段階的な定年引上げについては、昨年の人事院の意見の申出から、すでに一年が経過するもと、着実かつ確実な早期実施が喫緊の課題となっています。
貴職におかれましては、公務員労働者が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、下記事項の実現に向けて最大限努力されることを要求します。
記
1.本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出すること。
2.定年引上げについて、早期に着実かつ確実に実施すること。
以上