2020年度公務労協情報 13 2020年3月13日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2020年春季要求で書記長クラスが内閣人事局と交渉−3/12


 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、3月12日11時30分から、内閣人事局人事政策統括官との交渉を実施し、2020春季要求に対する現段階における回答を引き出した。
 冒頭、吉澤事務局長が現段階の回答を求めたのに対し、堀江人事政策統括官は次の通り答えた。

1.2020年度賃金について
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
 本年の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 平成29年5月に、非常勤職員の基本給・特別給・給与改定に係る平成30年度以降の取扱いについて各府省間で申合せを行っている。この申合せに沿って各府省で取組みを行った結果、期末手当や勤勉手当について、平成28年の内閣人事局の調査では2〜3割弱の支給率であったが、平成30年度においては9割超の非常勤職員に対し支給されており、着実に処遇改善が進んでいる。皆様とも引き続き意見交換を重ねつつ、この申合せに沿った処遇改善が進むよう、必要な取組を進めてまいりたい。

3.労働時間、休暇及び休業等について
 長時間労働の是正については、平成26年10月に取りまとめた「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、政府一丸となって、
 ・長時間労働を前提とした働き方を改める意識改革
 ・業務の見直し・効率化や、部下職員の超過勤務時間見込みの事前把握等、管理職のマネジメント改革による超過勤務の縮減
 ・テレワークやフレックスタイム制等による働く時間と場所の柔軟化
等に取り組んできたところ。
 今後とも、働き方改革に積極的に取り組み、全ての職員が存分に能力を発揮できる環境づくりに努めてまいりたい。
 なお、人事院規則の改正により、平成31年4月から、超過勤務命令については、原則として、1箇月につき45時間かつ1年について360時間の範囲内で行うこととされたところであり、政府としては、同制度の適切な運用をはかるとともに、その運用状況を見ながら、必要に応じて、適切に対応してまいりたい。

4.障害者雇用について
 「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、障害者の多様な任用形態の確保、障害者雇用マニュアルの作成などにより、障害のある職員が意欲と能力を発揮し、活躍できる環境の整備に取り組んできたところ。
 また、職場実習の実施や講習会の開催など、各府省における障害者雇用の推進に係る支援等にも努めており、今後とも、関係機関と連携しながら、各府省において障害者雇用が適切に進むよう、取り組んでまいりたい。

5.女性公務員の労働権確立について
 男女双方のワークライフバランス及び女性職員の活躍については、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、各府省の取組を引き続きフォローアップし、その取組を促進させるようなサポートを行うことにより、職員のワークライフバランスを実現し、女性活躍の動きを更に加速してまいりたい。

6.福利厚生施策の充実について
 平成28年3月に改正した「国家公務員健康増進等基本計画」に基づき、職員の心身の健康の保持増進等に努めているところであり、引き続き、各府省における基本計画の実施状況を把握し、必要な措置が講じられるよう取り組んでまいりたい。
 また、パワー・ハラスメント防止対策については、民間におけるパワー・ハラスメント防止の法制化に伴い、国家公務員についても、人事院においてパワー・ハラスメント防止に関する人事院規則等を制定する予定であり、この規則等に基づき、各府省及び人事院において取組を行うことと承知している。
 人事院規則等の内容を踏まえ、関係機関とも連携しながら、公務におけるパワー・ハラスメント防止対策について対応してまいりたい。

7.公務員制度改革について
 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、引き続き意見交換をさせていただきたい。
 
 回答に対して、吉澤事務局長は以下のとおり、人事政策統括官の見解を質した。

(1) 長時間労働の是正にかかわり、昨年4月に超過勤務時間の上限等に関する人事院規則が改正されて、まもなく1年が経過する節目となるが、各省の取り組み状況について政府の認識は如何。

(2) 現場からは、定員も増えない中で超過勤務を減らすことはできない、という切実な意見があがっている。一方で、改正された超過勤務時間の上限等に関する人事院規則に関しても、他律的業務や特例業務を命令する側の各省が指定しながら事後に超過勤務の必要性等について検証・分析・整理するという課題もある。そういう面で、環境も仕組みもまだまだ不十分ではあるが、この1年間を検証した上で、次のステージを迎えるべきだ。この点については、実態が明らかになった時点で、あらためてしっかり議論したい。

(3) 2020年度賃金、給与改定について、これまでの政府の姿勢に変わりはないことを確認するが見解如何。

(4) 非常勤職員の処遇改善について、人事管理運営方針における「常勤職員との権衡」をはかるという観点から、まずは、非常勤職員の一時金の支給月数について、国として統一した水準にすることを求めるが見解如何。

 これに対して、堀江人事政策統括官は次の通り回答した。

(1) 超過勤務時間に係る上限規制については人事院規則で定められているとおり、各省各庁においては、超過勤務時間の上限規制を超えて超過勤務した場合には、要因の整理・分析・検証をしなければならない。
 昨年の臨時国会の審議においても、人事院総裁が、基本的には各省できちんと運用されており、制度の運用状況について検証等の結果も含めてフォローアップを行い、必要に応じて各府省を指導していく、という主旨の答弁もなされたところであり、基本的には今申し上げた ような仕組みのもとで、適切に対応されていくものと考えている。引き続き、人事院、各府省と連携しながら必要な取組を続けてまいりたいと考えている。

(2) 内閣人事局としても各省での検証や、それに対する人事院の評価を注視していく。

(3) 何も変わっていない。政府として、労働基本権の制約の代償措置としての人事院勧告制度を尊重する。その一方で、国の財政状況、経済状況など国政全般との関連も考慮しつつ、国民の理解を得られるような結論を出していきたいと考える。

(4) 常勤職員との権衡とは、当該非常勤職員の職務の種類、複雑困難性、責任の度合い、勤労の強度、勤務時間を考慮し、これらの条件が類似している常勤職員、そういった職員とのバランスでという考え方と承知している。
 非常勤職員の給与そのものについては、常勤職員との権衡ではあるが、中身としては職務内容であるとか、そのために必要となる知識、実務経験等は様々であり、勤務時間も同様である。そういったことから、各府省により適切に対応していただければと考えている。統一した支給水準をという皆さんの問題意識は承った。

 最後に、吉澤事務局長は「18日の国家公務員制度担当大臣との交渉においては、改めて要求に沿った前向きな回答がされるよう求めておく」と強く要請し、本日の交渉を終えた。

以上